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アパマンハムのムセンと車

第10回 モービル&アパマン運用に役立つヒント

JF1KKT 横田勝彦

2023年7月18日掲載

連載10回目となります。最近すっかりと暑くなってきました。移動運用も楽しめる季節ではないかと思います。まあ日中は暑くてたまりませんので、今回は夜間に楽しめるローバンド用の釣り竿アンテナを作ってみました。

釣り竿を使ったローバンド対応移動用アンテナ

設計指針として、次の通り、考えました。

  • (1) 運用できるバンドは、1.8~7MHzとする。
  • (2) 釣り竿は手持ちの6m物を利用する。
  • (3) コイルは釣り竿に直に巻くと細いため大変になるので、雨どい用パイプに巻き付け、その中に釣り竿を通す形にする。
  • (4) バンド切り替えは送信側からのリード線をつなぎ替える事で行う(ギボシを使用する)。
  • (5) 1.8MHzはSSBでもCWでも、また1.9MHzでも使えるように、いくつかタップを出す。

このような設計指針のもとで作ってみました。



アンテナ全景 コイルは釣り竿のベース部分にある

こちらが、今回製作したアンテナ全景です。コイルは根本に入りますので、ベースローディングになります。バンドの切り替えは、コイルにあるタップを切り替えることで行います。微調整は144MHzの1/4λホイップアンテナにつなぐところを調整して、SWRを下げます。


アンテナ一式。この状態で車内にて保管


コイル部分。1.8MHz~7MHzまでをカバー。ボビンは雨どい用パイプ


タップ部分。いちばん上はエレメントへ


微調整用の144MHz 1/4λアンテナ。ミノムシクリップの位置を変更してSWRを下げる


釣り竿を支える塩ビパイプ。コの字型の金具を2個使って、倒れにくくしている

前回ご紹介したように、両面テープを使ってコイルを保持します。調整が終わったら、巻き始めと巻き終わりを結束バンドで固定し、その上からビニールテープで巻いて保護します。今回もエレメントに使っているIV線をそのまま使っています。ただし1.8MHzだけはコイルが多くなるので、少し細めのIV線を使って巻きました。

巻き方は非常にアマチュア的で、アンテナアナライザーを使って共振点を追い込み、インピーダンスがあわない部分は、今回はアンテナチューナーに任せることにしました。本当ならコンデンサを入れてマッチングを取るのが良いのですが、時間の関係で今回は無視しています。これでもIC-7100MにつないだAT-180で、十分SWRは落ちています。

実際に早朝に移動して7MHzのCWで運用してみましたが、短時間ながらたくさんの方とQSO出来ました。パイルアップになっていたので、電波は強かったのではないかと思います。また、ハムフェア記念局8J1HAM/1の3.5MHzの運用に使ってもらいました。こちらも珍局(?)ということを差し引いても、呼んでいただけたのではないかと思っています。

釣り竿あれこれ

HFの移動用アンテナを作ろうとすると、まず釣り竿のお世話になると思います。その釣り竿ですが、最近はほとんどカーボン製になってしまい、昔ながらのグラスファイバー製がなかなか見つからなくなってしまいました。Amazonや楽天市場などで探すと、グラスファイバー製の釣り竿がまだ見つかりますが、安い物は、クオリティが悪いところが目に付きます。特に長さは期待しない方が良いと思う程です(苦笑)。

そこでカーボン製釣り竿に目が行くワケですが、直接給電は短縮率が1を超えるので、同調を取って使おうと思うと、物理的な長さが長くなってしまい、結構やっかいだったりします。ATUで同調を取ればそういう心配もないのでしょうが。ですので、現在はカーボンの釣り竿にIV線をはわせて、あたかもグラスファイバーの竿の如く扱うことを試しています。

現状、実質8.5mほどの竿に9.5mのIV線を軽く巻き付けると、ちょうど7MHz に同調しました(IV線だけに給電し、竿自体には給電しない)。この状態で、グラスファイバーの竿と比べて、約1m短くなっています。これがカーボンの影響+巻き付けの影響だろうと考えています。

釣り竿の先端は非常に細いので2本抜いていましたが、1本だけ戻し、一番先端の細い部分だけ使わない状態にして、全長を約9mにして再度実験しました。

この時はできる限り巻き付けないでテストしたところ、グラスファイバーの竿の時とほぼ同じ長さで7MHzに同調しました。実際の飛びに関してですが、気持ちの問題かも知れませんがIV線を併用する方法のほうが、飛びは良いように思います。

物理的な扱いやすさは、もちろんカーボンに軍配は上がります。軽いし、細いし、まっすぐ建てられるので、グラスファイバーよりも扱いやすいです。考えてみれば、10mのグラスファイバー製の竿を片手で持つことは、通常ではちょっと考えられないですがカーボン製なら簡単です。それに、今後グラスファイバー製の竿が入手困難になる中で、カーボン竿直接給電ではないカーボン竿の利用方法を試しておくことも、大事ではないかと思います。


カーボン竿の例。右側2本がカーボン(7mと10m)、左側はグラスファイバー。3本ともAmazonで入手

ヘッドホンを使う

コンテストなど、狭い場所で複数波の同時運用を行う場合は、どうしてもヘッドホンが必要になります。またSSBやFMの運用であれば、当然マイクも必要になります。このような運用スタイルであれば、ヘッドホンの部分は密閉型が、またマイクは感度が少し低めのダイナミック型がベストになります。

ヘッドホン選びで大事なことは、密閉型でも外の音が漏れ聞こえることがあるので、できれば実際に試着して、音を聞いてみると良いと思います。密閉型であっても、外部の音でCWがちゃんと聞き取れない、ということがありました。こればっかりは、実際に試してみないとなんとも言えません。なお、単独での運用なら、オンイヤー型が難聴にもなりにくく、ベストだと思います。

ヘッドホン、ならびにそれに組み合わせるマイク~いわゆるヘッドセット~について、これから少し研究をして行きたいと考えています。


密閉型ヘッドホンの例



オンイヤー型ヘッドホンの例

メッセージキーヤーとボイスメモリー

IC-7300やIC-9700を始めとする最近のトランシーバーには、メッセージキーヤーとボイスメモリーが搭載されています。これを活用することでCQの連発を容易に出来ます。特に空いているバンドや時間帯に活用することで、体力温存ができるかと思います。

先日行われた6m AND DOWNコンテストで、私はメッセージキーヤーを初めて使いました。トランシーバー単体で使用する場合は、メッセージ送出画面にしておき必要な時にタッチパネルをタッチして利用します。

ところがこの画面を出していると他の情報が読み取れません。そこで外部にスイッチを付けて使うことで、メッセージキーヤーとバンドスコープ、SWR計などが同時に表示できます。今回のコンテストでは、これで大分楽させてもらったと思います。


メッセージキーヤーの操作をするタッチボタン。ヤフオクで入手


接続用アダプター。IC-7300/IC-9700はマイク端子に接続する。こちらもヤフオクで入手

なおご意見、ご感想、ご質問等については、筆者である私宛(jf1kktアットマークgmail.com)へご連絡頂けますと幸いです。

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