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おきらくゴク楽自己くんれん

その27 軽トラモバイルシャックの快適化

JF3LCH 永井博雄

2023年7月3日掲載

皆さん、こんにちは。軽トラモバイルシャックも移動運用が可能となってから初めての夏を迎えようとしています。

軽トラモバイルシャックには現在のところ空調装置の類のものは装備できていません。製作開始のコンセプトに「換気ファンを装備する」という項目を入れてはいたのですが。

これは早く移動運用でシャックとして使いたい想いが一杯いっぱいで寒くなっていく時期に換気する必要性がなかったのと、筐体にでっかい穴をあけなければならず、間違いがあると取り返しがつかなくなるのが怖くて先送りになっていました。床以外の全面に保温材を使った室内は、寒さにはある程度強く、夏の炎天下でもある程度の快適さを保てるのではないかとの甘い期待も持っていました。


壁センターに取付けた換気(吸気)ファン

1. 移動用144MHz帯アンテナのテスト時に

先月の本連載で紹介した144MHz帯ツインデルタループアンテナのテスト運用をしていた時、高い山の上だったのですが、写真のように時おり日が射す時に室内の温度が急上昇しうちわが欲しくなることがあり、保温材効果への甘い期待が打ち砕かれました。今はまだこの程度ですが真夏になれば我慢できなくなるくらいに熱くなるに違いない、急いで対策をしないといけないと感じる出来事でした。


時おり当たる日差しに対応を求められる

2. 換気ファンの選定

昨年、シャック製作開始時に換気ファンの搭載は計画していて、使用するファンも用意していました。日本橋のジャンク屋さんで600円程度の価格で売られていたDC24Vで羽根径125mmというPC用とは違うような気がします。制御盤内の冷却用でしょうか? 比較的レアなサイズがネックだったのか売れ残ったのでしょう。普通この大きさのファンは2000円以上するものだと思います。格安で目的に合いそうなので購入しました。

軽トラックに自作箱を載せてキャンピングカーとしている人の多くは、家庭用AC100Vで動作する口径100mmのパイプファンを使っている方が多いようです。それ以外では、窓部分にPC用ファンを付けた窓アダプターを作って、使う時にだけ取り付けるものや他にもいろいろな方がおられます。大体の方は排気ファンでの換気としておられます。私の場合インバーターなどを使うことになりがちなAC100V電源の物は使いたくないです。窓取り付けタイプは面倒ですし、元々窓が小さいケチケチ設計なのでできれば避けたいと考えていました。

DC24V盤冷却用ファンは定格電圧で使用した時、すごい勢いで回り余りある風量が得られます。それに比例して運転音はかなりうるさいものです。定格電圧でテストしてみましたが、やはりかなり大きな音を立てて回ります。これをDC12Vで使った場合はどうでしょう? いつも無線機用電源として使っている12.8Vのリチウムイオンバッテリーで回してみました。回転数が落ちてかなり静かになりました。風量も減りましたが小さめの家庭用扇風機の「弱」よりも強い風を感じました。狭いモバイルシャックの換気用としては十分な風量だと思いました。


DC24Vのファンを12Vで使う

動作電流はバッテリー電圧が13.2Vの時に約0.2Aでした。バッテリーの限られた容量でもこのくらいの電流であれば安心して回し続けることができそうです。この実験でこのファンがDC12.8V電源しかないモバイルシャックの換気ファンとして使える性能であることが確認できました。

【くんれんコラム】

今回のモバイルシャックの換気では第二種換気方式を採用しました。色々な軽トラシェルの製作事例を見て疑問に思っていたのは、皆さん第三種換気方式(普通の排気による換気)を採用されておられます。そこで考えたのは私の使用方法の場合、ふさわしい換気方法はこれでいいのだろうかと言う事でした。勿論室内の空気の新鮮さを保つにはそれでいいのですが、今回私のシャック換気の目的は、暑い時に少しでも温度が低い外気を直接体に当てて涼むことが最大の目的です。


第三種換気方式のイメージ

第三種換気方式の場合、人の周りの空気の流れは緩やかになります。空気の流れを実感しにくく、涼しさを感じることはほぼ無理です。逆に寒い時はこうでないといけないとは思います。


第二種換気方式のイメージ

今回は壁のど真ん中に付けたファンで外気を直接身体に吹き付けます。エアコンを使わないならベストの暑さ対策だと思います。この方式の欠点は室内に結露が発生しやすくなるということらしいですが、一般家庭と条件が違うので使いながら結露などを注意していこうと思います。えっ、排気口はどこにあるかって? それは素人づくりならではの隙間が沢山あるので心配はないです(笑)。ちなみに第一種換気方式は吸気と排気の両方にファンを用いる方式を言います。

3. 換気口の選定

まずは吸込み口をどうするかです。室内側用ですがネットで最適な125mm口径の換気レジスターをみつけました。ステンレスの防虫網(1.3mmメッシュ)付きで未使用時は全閉、真ん中のつまみを回して半開、つまみを引き出して全開、網の清掃時にはカバーを丸ごと引き出して網にアクセスできるというよく考えられた品物です。価格は2000円もしませんでした。それに加え今回採用の最大の要件は125mm口径スリーブ部分の奥行が67mmと壁の厚さに近い寸法であったということです。普通の換気フードなどでは100mm以上の奥行となるので室内側にはみ出してしまいます。この一点だけで採用! となる要素ではありました(笑)


四変化する使い勝手のいい換気用レジスター


ステンレスの防虫網付き

室内用レジスターですので防水性能はありません。窓枠の下でキャビンとの隙間も狭いので雨が吹き込むこともないだろうと判断し雨水対策は特に行ってはいません。

4. 穴あけ作業

換気ファンはシャック箱の前面(キャビン側)にある明かり取り窓の下に取り付けることにしました。くんれんコラムにあるようにシャック前部の壁のど真ん中に付けたファンから外気を直接室内に取り入れて、風を感じることができるようにする目論見です


窓の真ん中下に125mmの換気口を開けます


多数の小穴をあけ丸く抜く

ドリルで3mmの穴を多数あけて引廻しノコを使い切り開いていくと、難なく125mmの大きな穴をあけることができました。考えていたよりもあっけなく穴あけ完了!


レジスターを取付けて外は完了

5. ファン取り付けと試運転

室内側に開いた穴の周りに18mmの角材でファンと同寸法の枠を作り、そこにファンを押し込めば完了です。ファンをはめ込んでいるだけで固定はしていませんが、ガタのないように取り付けができれば多少の事では外れないと思います。

この方法であればファンが故障しても道具なしで予備ファンに交換が可能です。またケーブルの処理を上手くすればファンを逆さまにつけることで排気ファンとすることもできます。


室内のファン取り付け状況

電源をつなぎ試運転をします。レジスターの開口度合を変えて運転状態をチェックします。ツマミを回しただけのスリット部分のみ、つまみを引き出したフルオープンの状態、それぞれの状態で結構風量に違いがあることがわかりました。暑い季節は常にフルオープンしておいた方がよさそうです。また冬でもツマミを少し開放しておけば中でガスコンロを使っても一酸化炭素中毒を予防できると考えています。


試運転


ファンの電源は直流分電盤から

とりあえずファンの電源は室内の直流分電盤にバナナプラグで挿しています。現在のところON/OFFはプラグの抜き挿しで行っていますが、今後はスイッチボックスを取り付けるなど考えて行こうと思っています。

就寝時の具合を確認する為に頭を前方向にしてソファベットに寝てみます。換気ファンが頭に近くなり、吹き出す風を首筋などに直接当てることができ狙い通りになりました。暑さで寝苦しい首筋に汗をかきやすい時など威力を発揮すると思います。風を当て続けて寝るのも良くないので風向を変える風向ガイドみたいなものを作ってみようかと思います。

6. 専用ハシゴの製作

換気ファン以外にも改善した点があります。これまでのモバイルシャック出入り口に必要な小さな脚立を助手席に積んで移動していたのですが、小さいとは言え狭いキャビンでは結構場所をとるので何とかしたいと思っていました。

しかし何故かアルミの脚立を外に付けて走るのは格好が悪いような気がしていた(個人の感想です)のでハシゴを自作しました。このところ価格が落ち着いてきた2×4材を使い、シャックの骨組みにも使った100均のステンレスL字金具や大量に購入していた余ったコースレッドで留めて作ったおきらく仕様です。

これをシャック後部の出入口横にぶら下げてることができるようにしたので運転席キャビンは広くなり使い勝手が大変良くなりました。


自作した専用はしご


専用はしご運搬時の状況

このように少しずつ快適な移動運用ができる体制を整えてきました。シャック環境を改善して目標が達成できると試しに移動運用したくなる。運用中また改善点が浮かんでくる。今のところは好循環で活動を続ける原動力となり続けています。

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