Summits On The Air (SOTA)の楽しみ
2023年7月18日掲載
今年の梅雨は雨量も多く、各地で豪雨被害が出ているようです。被災された方には心よりお見舞い申し上げます。最近の雨は集中して同じ場所に長時間降るようで、雨が上がっても降雨が激しかった山では地盤が緩んでいる場所が多いと思います。くれぐれも安全に注意して登山を楽しみましょう。
さて今回は、前回のJG0AWE局、他3局によるマレーシアのキナバル山でのSOTA運用に続き、手前みそでありますが、私は6月末にオーストラリア、ケアンズ周辺の山を登ってSOTA運用を行ってきましたのでその様子をお伝えしたいと思います。
今回は私です
Fig.1 ウォルッシュピラミッド山
SOTA, Summits on the Airは2002年にUKで始まったプログラムですが、オーストラリアは2012年から一部の州を皮切りにSOTAプログラムへの参加が本部に承認されスタートしています。現在9つの支部、63のリージョン、5,303箇所の山頂が登録されています。オーストラリアの山はその大半が東部に集中しています。
Fig.2 VK SOTA全体図
しかし、ほとんどのSOTAアクティベーションは南部に集中しています。南部のヴィクトリアのNEリージョンですとこんな感じで、アクティベーションされていないところを探すほうが難しいです。赤枠内の数字が過去のアクティベーション数を表しています。
Fig.3 Victoria州NEリージョンのアクティベーション実績
一方で今回訪問したケアンズ周辺のクイーンズランド州NTリージョンはこんな感じです。ほとんどアクティベーションされた形跡はありません。有っても車でごく近傍まで行けるような場所です。
Fig.4 Queensland州NTリージョンのアクティベーション実績
この理由は気候によるところがあると思います。南部の冷涼な気候の中では登山、ハイキングも盛んに行われ、登山道も多くの山で示されていますが、北部は熱帯雨林気候で基本的にはジャングルです。登山道があるほうが少ない、むしろほとんど登山道がないというのが現状です。
今回も登山道らしきものが地図中に示されていても、実際にはジャングルの中を登るような形で道迷いには相当気を付けなくてはいけません。
そのような中で今回5座のアクティベーション、そしてそのうちの3座は初のSOTAアクティベーションとなりました。この様子は詳しくは私のブログに掲載しましたので、ここでの再掲はしませんが、まとめとして次のような結果となりました。
ケアンズ北部、空港からも見えるアクセスが楽な山です。往復7.2kmほどの行程です。標高は364mの低山ですが、アップダウンがあるため累計標高は723mを超えます。登山道は明確で標識も新しいものがある安全な山です。
・14MHz CW : 2 QSO (JA 1, ZL 1)
・18MHz CW : 9 QSO (JA 3, VK 6)
・21MHz CW : 8 QSO (JA 4, VK 3, ZL 1)
・28MHz CW : 4 QSO (JA 2, VK 1, ZL 1)
Fig.5 Mt. Whitfield案内図
Fig.6 Mt. Whitfield山頂標識
グレートバリアリーフの海岸トリニティビーチにある尖った山です。標高は215mの低山。過去にもアクティベーションの実績もある登山道が明確な山です。人気があるようで多くの人が登っていました。山頂からは眺望もあります。
・18MHz CW : 5 QSO (JA 1, VK 4)
・21MHz CW : 6 QSO (JA 3, VK 1, ZL 1)
Fig.7 Earl Hill山案内図
Fig.8 Earl Hill山頂からの写真
この山は地図上で登山道がありますが、一番困難だろうと思っていましたが実際にその通りでした。あまりお勧めできません。基本的にはジャングルの急登の山で道迷いする可能性が高いです。標高は1,017mでほぼ海抜0mからの登山となり、距離も片道で7km、時間は片道だけで4時間かかります。山頂には季節としては冬ですが多くのヒルが出てきました。
・18MHz CW : 6 (JA 2, VK 4)
・21MHz CW : 5 (JA 2, VK 2, ZL 1)
Fig.9 Mt. Williams全体写真
Fig.10 Mt. Williams山頂標識
この山はどこから見てもピラミッドの形をしており、美しい山容です。それだけに人気もありますが、グレード5の山です。ほぼ直登に近く、急登を4km弱登る形で、途中には岩場もあります。また途中で道迷いしそうな場所もいくつかありますので注意が必要。山頂からの景色は最高です。
・14MHz CW : 4 (W 1, VK 2, ZL 1)
・18MHz CW : 11 (JA 4, VK 6, ZL 1)
・21MHz CW : 13 (JA 7, VK 4, ZL 1, BV 1)
・21MHz SSB : 1 (ZL 1)
・24MHz CW : 1 (JA 1)
・28MHz CW : 6 (JA 5, ZL 1)
Fig.11 Mt. Walsh’s Pyramid案内図
Fig.12 Mt. Walsh’s Pyramid山頂からの景色
標高は605mですが、車でごく近傍までアクセスできます。駐車スペースからは15分くらいで簡単に登ることができます。ただし急登です。山頂にはマイクロ波の中継所があります。その先は中継所よりも数mほど高いところがあるようですがジャングルの中になり、ヒルもいますので中継所周りのヒルのいない乾燥したところで運用すると安心です。
・14MHz CW : 6 (JA 3, VK 3)
・18MHz CW : 6 (JA 3, VK 3)
・21MHz CW : 14 (JA 7, VK 3, ZL 4)
・21MHz SSB : 4 (JA 1, VK 3)
・24MHz CW : 5 (JA 4, VK 1)
・28MHz CW : 6 (JA 5, ZL 1)
Fig.13 Mt. Sheridan近くからのケアンズ市街
Fig.14 Mt. SheridanからのSOTA運用
ところで7月15、16日に開催された今年の関ハムでは、SOTA日本支部もブースを出展させていただきました。 たくさんの方に訪問いただきありがとうございました。 また、SOTAについて少し講演時間をいただくことができました。この中では今回のオーストラリアの山に登った時の未公開動画を公開させていただきました、この時の動画は下記でご覧いただけます。
VK4/JA1CTV/P SOTA activation in Australia VK4/NT-052 Jungara (Mt. Williams)
VK4/JA1CTV/P SOTA activation in Australia VK4/NT-078 Mt. Walsh's Pyramid
SOTA日本支部ではSlackを使ったコミュニティプラットフォームがあります。すでに100人以上のSOTA愛好家の方々が参加されています。このコミュニティに新たに参加をご希望の方は私宛のメール、ja1ctvアットマークjarl.comでも結構ですし、SOTA日本支部のホームページの問合せのページから連絡を頂いても結構です。登録案内を送らせていただきます。
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