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MasacoのFBチャレンジ!

JH1CBX DXコンテストに初参戦

2023年11月15日掲載

CQ World Wide DXコンテスト

普段は国内QSOを楽しんでいるJH1CBX Masacoさんが、このたび世界戦にデビューしました。参戦したのは、世界最大のコンテストと言われている、CQ World Wide DXコンテストです。


CQ World Wide DXコンテストは、毎年10月最後の土日曜日に電話部門が、11月最後の土日曜日に電信部門が開催されています。開催時間は土曜日の0時UTC~日曜日の23時59分UTCまでの48時間開催で、開催バンドは1.8~28MHz帯のWARCバンドを除く6バンドです。

マルチバンドにエントリーして上位入賞を目指す場合、48時間戦う必要があり、設備やオペレーションテクニックだけでなく、スポーツ競技同様に体力も必要とします。一方、初心者がスコアよりも世界各国との交信を目指すのであれば、数あるコンテストの中でも一番参加者が多いと言われるこのコンテストに参加するのが、手っ取り早いとも言われています。その意味ではJH1CBXの世界デビューにはうってつけかも知れません。

2023年の電話部門は10月28日(土)~29日(日)に開催され、Masacoさんは移動運用でこのコンテストに参戦することにしました。事前に定めた目標は20エンティティとのQSO。20エンティティが達成できるまでがんばることとしました。

出発

10月28日、コンテストは日本時間の0900jからスタートしますが、開始早々はパイルが厳しいことが予想されるため、少し経ってから参戦することとしながらも、あまり遅い時間からの参戦になると、ハイバンドでの北米方面とのパスが終わってしまうため、1000j頃からの参戦としました。

朝0830jに大阪市内で月刊FBニュースのスタッフと合流したMasacoさんは、車で生駒山上を目指します。途中のコンビニで昼食を調達し、0930j頃に目的地に到着しました。現地では別のスタッフがすでにアンテナ(Hex Beam)の組み立てが完了しており、伸縮ポールを伸ばすだけの状態となっていました。このアンテナは各バンドで2エレメントのフルサイズアンテナとして動作するもので、今回は14/21/28MHzの3バンドのエレメント展開です。


現地に到着後、Masacoさんは、スタッフ一緒になって伸縮ポールを伸ばして、アンテナを上げ、愛機であるIC-7100Mを車内で素早く設営し、同軸を接続してSWRを確認すると、3バンドともバッチリ同調しており、臨戦態勢となりました。アンテナを北東に向けて28MHzからのスタートとし、IC-7100Mを28MHz USBモードにセットしました。

参戦開始

まずは、ダイヤルを回してバンドをワッチすると程よくオープンしており、北米を中心に多くの局が聞こえます。強い局をターゲットにまずは呼び周りからはじめました。しかしMasacoさんはFMとDVモードの運用が多いことと、SSBモードを運用する場合でも、空き周波数を探してCQを出す運用がほとんどのため、SSBモードで相手局に同調させることが難しい状況でした。HF各バンドのバンドプランも頭に入っていません。

しかも、7MHz SSBでの国内QSOでは多くの場合、7080.00kHzとか7083.00kHzといった切りの良い周波数で運用している局が多く、kHzの小数点以下を00に合わせることで、同調できるケースが多いところ、このコンテストでは、00で出ている局のほうが少ないため、いつものテクニックが通用しないことがわかりました。端から厳しいデビュー戦となりました。それでもゆっくりとダイヤルを回し、なんとか相手局に同調する操作はできたようです。

しかし、今度は相手のコールサインが聞き取れません。まずは相手局のコールサインがJから始まらないので、相手局がいつコールサインをアナウンスしたかが判断できません。さらにコールサインの長さが6文字ではない局が多く、いつコールサインをアナウンスし終わったかもわかりません。さすがに見かねたスタッフがアドバイスして、なんとか相手局のコールサインをピックアップ、はじめはKW7MM局でした。CBX「一文字足りなくない?」。スタッフ「それで正解、5文字の局です」。

ファーストコンタクト

コールサインは取れましたが、次はいつコールをしたら良いのかのタイミングが分かりません。国内のコンテストと比べると遥かに早いペースで進んでおり、慣れないことばかりで苦労の連続です。「いまだ!」というスタッフの合図で、Masacoさんはコールをはじめました。往路の車中で練習したできるだけ英語に近い発音で、「ジュリエット・ホテル・ワン・チャーリー・ブラボー・エックスレイ・ストローク・スリー」(JH1CBX/3)。


すると一発で、「ジュリエット・ホテル・ワン・チャーリー・ブラボー・エックスレイ・ストローク・スリー・ファイブ・ナイン・オー・スリー」と返ってきました。CBX「はあっ?」。スタッフ「5903や、5925を送れ!」。CBX「ファイブ・ナイン・トゥ・ファイブ」。KW7MM「サンキュー・KW7MM」。

これに対して、Masacoさんは、(ファイナルを送るために)再度PTTを押そうとしたのでスタッフが制止し、「もうQSOは終わっており、QRZになっているので、送信したら迷惑がかかる」とアドバイスしました。

あっけなく1st QSOが達成され、しかも相手局は米国。その間わずか10秒くらいので出来事だったので、直後はキョトンとしていたMasacoさんですが、すぐに米国と交信できたことを実感し、「やったー」となりました。幸先の良いスタートです。CBX「こんなにQSOが短いんですね」

しかし、ここまでのスタッフのアドバイスは、コンテストルールである、「競技中、コンテストに関わることはすべて一人で行わなければならない」というシングルオペレーターの定義にすでに抵触しており、マルチオペレーター部門へのエントリーを余儀なくされてしまいました。が、これはスタッフの想定内でした。


2局目はYL局

次の局に同調するまで3-4分かかりましたが、なんとかフィリピンのDU1IVTに同調しました。この局はYL局で、OM局と比べると声が高いために同調が難しかったようです。ビームはバック方向でしたが、強力に入感していたので、こんなもんやろという周波数でダイヤルを止めコールをスタート。「ジュリエット・ホテル・ワン・チャーリー・ブラボー・エックスレイ・ストローク・スリー」。しかし今度は呼び負けました。

通常はランニング運用やスケジュールQSOが主体のMasacoさんにとって、「呼び負ける」という経験がほとんどありません。よっていつもは相手から応答があれば、まず自局宛の応答なので、「今回、自分は呼び負けた」、ということの判断も困難な状況でした。ここでもスタッフのアドバイスでスタンバイし、当該QSOが終わるのを待って再度コール。また呼び負け。再度コール。今度は返ってきました。IVT「ジュリエット・ホテル・ワン・チャーリー・ブラボー・エックスレイ・ストローク・スリー・ファイブ・ナイン・トゥ・セブン」。CBX「ファイブ・ナイン・トゥ・ファイブ」。2局目ゲットできました。

紙ログ参戦のMasacoさんは、QSO完了後にログに記載しますが、「あれっ、ナンバーなんだったけ?」、スタッフ「27でしたよ」、といった感じで、完全にマルチオペ運用となっていました。

次はインドネシアの局にチューニング。コールを始めると、すぐにコールバックがありましたが、今度は「ストローク・スリー」(/3)が通じません。何度かのやり取りでようやく「ストローク・スリー」が通じましたが、相手局からは「ポータブル・スリー」と返ってきたため、Masacoさんは、何だいつもの「ポータブル・スリー」で通じたのか、となりました。無事にナンバー交換も完了し。3局目にして3エンティティを確保できました。

その後は、「ストローク・スリー」が通じない場合は、「ポータブル・スリー」とアナウンスすることを学習しました。また、当初、難儀していた同調操作にも次第に慣れていき、少しずつペースが上がっていきました。4局目、5局目は共に米国局。5局目のK3ESTからは、「ありがとうございました」と返答され、海外局から「ありがとう」だけでなく「ございました」まで言ってもらい、Masacoさんは感動。


わずか30分で4大陸ゲット

6局目にはアルゼンチンのAZ6Hをゲット。初の南米となり3大陸4エンティティとの交信を達成です。次はJF3PLF局にチューニング。CBX「日本の局は対象外でしたよね」。スタッフ「国内局同士のQSOは得点は0点ですが、マルチにはカウントできるので、呼んでもOK」。Masacoさんはすかさずコールして、ここまでで4大陸(北米、オセアニア、南米、アジア)の5エンティティをゲットしました。

その次は極東ロシアとハワイを追加し、開始から30分で、4大陸、7エンティティ、11QSOとなりました。ここまでは概ねS9+20dB以上で入感する局をコールしたため、比較的容易にQSOできましたが、非常に強力な局が少なくなっていき、コールしてもQRZ? すら返らないケースもちらほら出てきました。何度かコールしても応答がなかったメキシコとウルグアイを見送っています。

21MHzにQSY

その後28MHzで香港と中国を追加できたところで、1030jに北米の信号レベルが落ちてきた28MHzに見切りをつけ、21MHzにQSY。21MHzはまだまだ各局の信号が強力で、バンドの端から端までランニング局が並んでいます。ここではまず東マレーシアをゲット。次に、28MHzでとれなかったウルグアイもゲットしました。

運用開始後1時間が経過した頃には、Masacoさんも運用に慣れていき、送受信のテンポやタイミングもだいたい分かるようになりました。また、コールバックがありナンバーをもらった後の応答では、「ラージャ、ファイブ・ナイン・トゥ・ファイブ・サンキュー」とスムーズに返せるようになりました。また概ねS9以上で入感する局をコールすれば、応答があることもわかってきました。それ故、S8以下の局は基本見送ることにしました。

一方、自局のコールをミスコピーされるのはラストレターの「X」が多いことがわかり、「X」を特に丁寧に、かつ頭の「エ」にアクセントを付けて「エックスレイ」と発音するようにし、ミスコピーされる確率を下げていきました。エンティティは、その後、ブラジル、アラスカ、チリ、台湾、ベトナムを追加し、1時間半強の運用で、16エンティティとなりました。

午前中に19エンティティとQSO

1148jにJD1BQPを発見。CBX「日本はさっきやったので、スルーで良いですね」。スタッフ「いや、JD1は小笠原の局で、日本本土とは別カウントなので、呼ばないといけません」。日本なのでMasacoさんは日本語式の発音でコールしたところ、すぐに応答をもらえ、17エンティティ目になりました。その後はグアムのAH2R、東マレーシアの9M6NA、ミクロネシアのV6Yと、日本人による海外からの運用局と次々にQSOでき、12jを回っていたので、ここで一旦昼食休憩としました。

ここまでですでに19エンティティ40局とQSOできており、目標の20エンティティとのQSOはほぼ確実となっていました。

このコンテストの特長として、昼前後の時間は、夜間と比べて中だるみすることが多く、スタッフからの「目標達成は目前だし、ゆっくり休もう」という助言を受け入れ、Masacoさんはコンビニ弁当を平らげたあとは、近くの展望台まで散策にでかけました。



20エンティティとのQSO達成

とはいうものの、世界各国のアマチュア無線局と交信できる楽しみを知ってしまったMasacoさんは、休憩時間ももったいないと感じたらしく、13j過ぎから運用を再開。まずは28MHzを軽くワッチしたところ、BW2/JP1RIWにチューニング、CBX「変わったコールですね」、スタッフ「日本の免許をベースに海外で免許を受けた場合、国を表すプリフィックスの後に日本のコールを付加する場合があり、このようなコールサイン構成になります」。相手が日本人ということは明らかなため、Masacoさんは日本語(?)でナンバー交換。その後20エンティティ目となるVK4Aをゲットし、早々に目標を達成しました。

さらに慣れてきたMasacoさんは、「ラージャ、ファイブ・ナイン・トゥ・ファイブ・サンキュー・ありがと~」と、最後に「ありがと~」を付加してハイテンションで返すようになり、ときには相手局から裏返った声で「ありがと~」とリターンがありました。スタッフは、「サンキュー」のあとに「ありがとう」は要らんやろ、コンテストなんだから1秒を大事にしないといかん、などと思っていましたが、スコアが目的ではないMasacoさんにはそんなこと関係ありません。

28MHzには強い局があまりいなかったため、再度21MHzにQSYダウン。バヌアツ、タイ、西サモアを追加できました。その後3バンド目となる14MHzを覗いてみましたが、サンスポットナンバーがピークのこの時期は各局が21MHzや28MHzに上がる傾向があるため、14MHzは閑古鳥で0QSOに終わりました。

ランニング運用にチャレンジ

1330jになり、よしここらでCQを出してみよう、とスタッフからアドバイスがあり、21MHzに戻って空き周波数を探したMasacoさんは21.371付近で「CQコンテスト」を出し始めました。しかし、50W出力(車載バッテリー直結なので実際には30W程度)と、2エレではなかなか応答をもらえません。

発音が悪いので応答がないのかなとも思いつつ、5分間以上「CQコンテスト」を連発しても全く応答がないので、一旦止めることにしたまさにその時、R0AGYから応答があり、スタッフのヘルプもあって一発コピーしたMasacoさんはナンバー交換も無事に完了しました。その後28MHzも含めてCQコンテストを出してみましたが、後にも先にも、JH1CBXにCQに応答してくれたのは、この1局だけで終わりました。

呼び周りに戻ると、T2CのCQコンテストを発見。スタッフ「この局はDXペディション局で、普段は誰も運用していないツバル共和国から出ているのでこのチャンスにぜひやろう」。ビームをツバルに向け何度もコール。ほぼ誰も呼ばなくなったタイミングでついにコールバックをもらえました。

その後は同じビーム方向のH44RHを発見。オペレーターは関西人のJH4RHF田中さんなので「まいど」が返って来るかなと、スタッフは密かに思っていたそうですが、今回はコンテスト中なので、冗長なやりとりはなく、「ありがとうございました」で終了しました。このソロモン諸島までで25エンティティ56QSOまでログが進みました。

ヨーロッパは苦戦

その後、以前の取材でお世話になったJH3OXMを発見。バンドが異なれば、日本の局ともやってください、というスタッフのアドバイスでQSO。1430jになり、そろそろヨーロッパを狙ってアンテナを北西に向けようとなり、5大陸目となるヨーロッパ、さらには、うまく行けばアフリカも狙って、1DAY WACも達成しようとなりました。


ビームを振ると、ヨーロッパの局がたくさん入感してきたものの、時間が早めのため信号は総じて強くなく、S9を振ってくる局がいないため、コールしてもことごとく無視されます。JH1CBXの信号は彼の地ではかすってもいないようです。それでも粘ってOH5ZからQRZをもらい、数度のやり取りでナンバー交換できました。これで5大陸、27エンティティ目をゲット。

その後も聞こえたヨーロッパ局を呼んできますが、なかなか届きません。途中で聞こえたJで始まる局をスルーしようとしたMasacoさんにスタッフは、「JT5DXはモンゴルなので呼ばないといけない」。必死でコールしましたが、残念ながらJH1CBXの電波はモンゴルに届きませんでした。CBX「Jでも日本ではない局もいるんですね」。

かろうじてヨーロピアンロシアと、もう1局フィンランドをゲットしたところ、28MHzにQSY。28MHzでもヨーロッパは入感しているものの苦しい展開が続きます。QRZの後の数度のやり取りでもフルコピーしてもらえず、相手にギブアップされることも多々ありました。北米方向ではこんなに苦労しなかったので、欧州方向は大苦戦です。

途中、比較的強かった某アジア局からは、必死で英語の発音でJH1CBX/3をコールするMasacoさんに対して、「自分の国の言葉でコールされたらわからない、英語でコールしてくれ」と返答してくるありさま。数回のやりとりでMasacoさんがギブアップしました。

結果

その後1時間、28MHzで呼び周りし、かろうじて9QSO。ニューエンティティは、セルビア、ポーランド、ラトビア、リトアニア、そして、唯一のゾーン14だったドイツでした。このDF0HQとのQSOで33エンティティとなりました。1543jにUA4MとQSOして、JH1CBXのCQWW参戦は終了としました。

結果 (後日、紙ログをCTESTWINに入力したもの)


申告スコア (JH1CBX/3 M/S Low Power)


21MHz獲得エンティティ


21MHz獲得CQゾーン(灰色の数字)


28MHz獲得エンティティ


28MHz獲得CQゾーン(灰色の数字)

6大陸目のアフリカとはQSOできず、1DAY WACは達成できなかったものの、最終的に5大陸、33エンティティ、72QSOという結果で、目標とした20エンティティは軽々クリア。同時にコンテストスキルも少々身につけ、世界戦へのデビューとしては上々の結果に大満足したMasacoさんでした。


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