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Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その45 IC-705を使ってみて 2

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

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皆さま、こんにちは。IC-705を使ってみた感想を交えたレビュー2回目になりました。今回もこのIC-705という人気沸騰中のリグについて、いくつか感想も交えながらあまり他の人に語られていないところをひっそりとレビューしてみたいと思います。


前回はバッテリーのセーブ機能について見てみました。かゆいところに手が届く節電機能が良くお分かりになったかと思います。今回は少し別の角度でこのリグを見てみたいと思います。このリグの大きな魅力のひとつは、単体でボイスメモリーやCWのメモリーキーが内蔵されていることだと思います。私はこのリグを使うまではボイスメモリー、メモリーキーヤー機能を持たないリグであったために、CWのメモリーキーとボイスメモリー、およびそのための電池を別に持って山に登っていました。移動運用に持っていくものが多いと重量が気になる山岳移動では大変です。それだけではなくモノの数が増えると当然忘れ物をする可能性が増えます。

その点すべて内蔵されているIC-705では安心です。このボイスメモリーとCWメモリーキーヤーでは信号送信のために外部パッドも使えるようですがCWのキージャックを外部パッドとのインターフェース端子として使うためCWで運用する局は二股のケーブルを作るなどの工夫が必要になってしまいますが、マイクについているボタンで対応することができます。これは「MENU」から「SET」を選び、「機能設定」から「リモコンマイクキー」を選定します。



ここで[A]ボタン、[B]ボタンに「ボイス/キーヤー/RTTYメモリー1」もしくは2を選ぶとマイクのA,Bボタンにメモリー送出の機能を持たせることができます。


さらにファームウェアのVer 1.20から、[A]ボタン、[B]ボタンに加え、アップ[△]ボタン、ダウン[▽]ボタンにもメモリーキーの送出の設定ができるようになりました。

IC-705の本体側に入れることのできるメモリー数は8個ですが、ほとんどの人はメモリーのお世話になりたいのはCQ送出のところだけでしょうから4個もメモリーがマイクボタンに設定できれば十分だと思います。また、このようにマイクのボタンを使ってメモリー送出をすることで、スペアナの画面を表示しながらメモリーの送出ができます。これは山でCQ連呼などにはとても便利な機能だと思います。

さてマイクの話になりましたので、ここでちょっと紹介しておきますが、このIC-705に標準で付属しているマイクはこのようにリモコン機能もありとても便利なのですが、PTTのスイッチが結構重いです。


これは大したことないように思えますが、長時間使っていると結構手の指が痛くなります。既にIC-705を使っている人でも送信中に次第に手の力が緩んでPTTがOffの状態になって受信状態になってしまったという経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか? 自分自身もそうなった経験がありますし、相手局がそうなった時も何度かありました。これはこのPTTスイッチが重いだけではなく、PTTを押し込んでいった最後の瞬間にマイクロスイッチのOn/Offが作動するような構造になっているところが関係しているものと思います。重いPTTをギューっと押して行って最後にカチッとマイクロスイッチがOnになります。このため少し力が抜けただけでもすぐにマイクロスイッチがOffになり、受信状態になってしまいます。このPTTを何とかしたいと思っていました。

マイクを分解してみます。マイクの背面の4つのネジを外します。回転型のベルトクリップを横にすると楽に外せると思います。


背面カバーを外すとこんな感じになっています。


赤丸部オレンジ色の部品がマイクロスイッチです。この状態でPTTを押してみます。

下の写真の状態ではマイクのPTTには何も力をかけていない状態です。


そして下の写真はPTTがOnになる位置です。


写真のマイク右下に見えるPTTの留め具との位置の差を見ていただくと、どれだけ押し込んでいるかが良く判るかと思います。PTTボタンをだいぶ押し込む必要があることと、結構バネの力が強いです。つまり最後のマイクロスイッチのひと押しのために大きな力で大きな角度でPTTスイッチを押し込んでおく必要があります。

このPTT部分をマイク本体から外してみると、下の写真の赤丸部にバネの左側にマイクロスイッチを押す突起がありますが、これがもう少し高いとちょうどいいのではないかと思いました。


このため、ここに2mmの小さな木ネジを付けてみます。ちょうどマイクロスイッチを押す突起には穴が開いているのでそこに木ネジを取り付けます。木ネジは2mm(太)x6mm(長)くらいがいいと思います。太さ2mmでも突起の穴には大きいので突起部分のプラスチックを割らないように注意が必要です。


こんな感じでバネのホルダーよりも少しだけ高くします。


この状態で再度取り付けますが、実はバネはもう必要ありません。バネ無しでも十分にマイクロスイッチだけでPTTスイッチは戻ります。組立後どれくらいの動作でPTTがOnになるか見てみます。

下の写真がPTTに何も力をかけていない状態です。


そして下の写真がPTT Onの状態です。


先ほどと同じくマイク右下のPTTの留め具との位置の差を見ると、ほとんど動作角が無いように見えると思います。この改造でPTTが本当に楽になります。しかし、くれぐれもプラスチック部品を壊さないように注意してください。また保証対象外になりますので自分の判断でお願いします。

マイクでの提案ですが、このIC-705の標準マイクはスピーカーマイクでスピーカー機能もあるのですが、スピーカーマイクとして使う人はあまり多くないのではないかと思います。スピーカー端子だけ外しておけばいいのですが、是非マイクだけの機能のもので、さらにもう少しこのPTTの押す力が軽いものを発売してもらえないかなと思います。

今回の提案
1.マイクのPTTの軽さ改良、バネの強さ、マイクロスイッチを押す位置との関係
2.スピーカー機能を除いたマイクだけの製品化

今回はIC-705のマイク関連の機能について検討してみました。

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