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楽しいエレクトロニクス工作

第87回 雨量計

JA3FMP 櫻井紀佳

アマチュア無線の移動運用をする時天気が気になりますが、雨天の時の雨はどのように測るのか気になったので調べてみました。その雨量計はいくつか種類はあるようですが、転倒マス型雨量計に興味を引き作ってみようかと思いつきました。この雨量計は、雨がマスに一定量たまると日本庭園によくある鹿威しのように転倒して対向するマスに入れ替わるようになっていて、その転倒回数で雨量を計測するものです。


多くの雨量計は雨量0.5mm毎に測っているようですが、手元に詳しい資料はなく、インターネットの写真だけをたよりに考えてみます。雨量計の外観を円筒型で考えて直径200mm以下として、雨を受ける部分を半径90mmとすると、0.5mmの雨の水量はπr2 x 0.5で12,723mm3になります。

この水量を測れるマスは写真を元に何回か図面で試行錯誤の結果、三角形の部分は49mm x 29mmで幅を18mmにして、斜辺を上に水平にすると容積が12,789mm3になり、後は微調整でなんとかなりそうです。


このマスに雨水を注ぎ鹿威しのように転倒させるためには、この状態で三角形の部分を左右に分けて平衡する点を探して支点にすればいいと思います。これで雨水を注いでいくと最初は左側の方の水量が多く、次第に右側の方の水量の割合が増えてある点で平衡し、更に増えると重心が支点より右側となり転倒するはずです。その左右に分けた分岐点は図のようになり、その垂直延長線と底辺の延長線との交点をマスの回転軸としました。

この条件でマスを試作してみます。1mm厚のスモークのアクリル板を次のように2枚切って側板を作り、支点に当たる所に取りあえず1mmの穴をあけ、後で3mmに拡大して軸が通るようにしました。マスの底に当たる部分はアクリル板を18mm x 110mmと少し長めにしてマスの傾きの調整に使います。また真ん中の仕切り板は18mm x 30mmにします。


組み立てたマス

マスの転倒回数を検出するためにリードスイッチを使います。リードスイッチは小さなガラス管に入れられた接点に外から磁力をかけるとONになるもので、ガラス管の中に不活性ガスが入れられていて長期間安定に動作します。


転倒で左右に揺れるマスの経路の下部にリードスイッチを固定して、マスの底に付けた小さな磁石がその経路を通過すると、その都度リードスイッチがONになって転倒回数を計測できます。リードスイッチは昔ジャンク屋で多数売っていたものを買っていてまだ残っていました。また小さな磁石は不要なイヤホンを分解して取り出したものです。この磁石をマスの中心より回転軸の対称の部分にアクリル板を取付けて切れ目を入れて挟み込むように付けました。


この雨量計の全体図は次のようになりました。


    完成図               雨水取り込みカバーなしの内部 

雨水を取り込むための部分は、正確な寸法が必要なため直径180mmの外周565.5mmに合わせた150mm幅のアクリル板を用意して、まるく丸めて20mm x 150mmの当て板で止めて円筒を作りました。半径90mmより若干大きめのアクリル板の円盤の中心に30mmの雨水取り込み穴をあけて、先に作った円筒の上部20mmの所に無理やり押し込みます。大きめに作った分そのままでは入らないので外周から中心に向かって1カ所切れ目を入れておきます。無理やり入れているので中心部が膨らみ少し漏斗状にできます。

透明なアクリル板にしたのは中が透けて見えると面白いと思ったからです。しかし円盤と円筒の接着に瞬間接着剤アロンアルファを使ったので気化する時の白化現象で接着面近くがまだらに白くなり仕上がりが美しくなくなりました。

転倒マスを支える部分の上側には、上部雨水を集めて取り込み、転倒マスに注ぎ込む漏斗を取付けます。この漏斗は書類などを挟み込むクリヤーファイルを適当に切って、瞬間接着剤で貼り付けて作りました。この漏斗で真上からマスの片側に雨水を注ぎ込み、マスが転倒すると反対側のマスに雨水を注ぎ込むことになります。

転倒マス部の構造は先に作ったマスの支点を支える部分と、転倒するマスの位置を決める部分が必要です。転倒するマスの位置を決める部分には転倒するポイントを微調するネジをつけます。内部に3mmの雌ねじを切ったスタッドを転倒するマスの端の下に接着剤で取付けました。このマスの容量の調整は、精度の高い計量カップで12.7ml測るか、g単位まで測れる秤で水を12.723g測って上部より注ぎ込み丁度マスが転倒するよう調整ネジを調整します。
雨量の計測はリードスイッチのON-OFFの情報をマイコン等コントローラで取り込み、ソフトのタイマーで計算するとほとんどソフト処理だけで計測できます。

ハードを重視して独立したユニットを作るのであれば、次のような回路でその転倒回数をカウントして雨量を計測します。この回路でマスが転倒するごとにリードスイッチをON-OFFしてCP1にパルス状の電圧を与えます。最近は豪雨が増えてはいますが、1時間当たりの雨量を最大200mmとするとマスの容量が0.5mmなので400回になり、カウンターはBCD 3桁あれば十分です。


基板と電池ボックス


この回路でマスからの転倒信号をCP1から入力するとIC1FとIC1Aで波形成型されIC3AのCKAに入力されます。IC3AのAブロックで1/2に分周されQAより出力されてIC2AのCKAへ入力します。IC2A~IC3AはBCDの10進カウンターですが、IC3Aは残りの5進を使うので最大雨量の400までカウントできます。最初にIC3AのAブロックで1/2に分周するのは計測単位が0.5mmなのでmm単位の表示に合わせるためです。

これらのカウンターからの出力QA~QDの出力はIC4~IC6の表示ドライバーのA~Dに入力されBCD-7セグメント変換でカソードコモン型のLED表示器DS1~DS3をドライブして表示します。雨量最小単位の0.5mmの表示はIC3AのQAからQ1のトランジスターをドライブしてLEDの最小桁のDP(デシマルポイント)を点灯させます。

この表示器で1時間当たりの雨量を測定するためには1時間のタイマーが必要です。IC1Dのゲートと32.768kHzの水晶の発振回路を源信としてIC7とIC8で分周して1秒の信号を作ります。その信号をIC9で1/3600に分周して1時間のタイマーを作っています。IC10AとIC10Bで取り出した信号で1時間毎にIC9にリセットをかけてカウンターを元に戻し、その信号でIC2A~IC3Aのカウンターにリセットをかけて1時間毎の計測をします。1時間単位の雨量でなく累計の雨量を測る場合はS2を切り替えます。1時間単位の雨量の測定にはJSTに合わせてリセットスイッチS1を押す必要があるかも知れません。

この計測ユニットの電源は単三電池2個の3Vにしました。ホームセンターで買ってきた単三用の電池ホルダーを基盤の裏側に両面テープで貼り付けて、ユニット単体で持ち出せるようにしました。出来上がってまだ降雨が少なく実際に使ってみると意外にカウントが上がりません。大雨になるとカウントアップが早いと思われるので期待して待っています。









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次号は 8月16日(月) に公開予定

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