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アパマンハムのムセンと車

第5回 モービル&アパマン運用に役立つヒント

JF1KKT 横田勝彦

2023年2月15日掲載

連載5回目となります。今回は、アパマンハムのアンテナを中心に、運用面を含めて話題を提供したいと思います。

ロングワイヤーの長さは?

皆さんが頭を悩ませるところだと思いますが、アイコムのAH-730をはじめとする屋外型ATUとロングワイヤーの組み合わせで、エレメントの長さをいくらにするのか? という問題があります。


我が家の釣り竿アンテナ

私もロングワイヤーなんだから、長い方がいいに決まってる! と思っていました。でも、実際に使ってみると、長くても短くても具合は良くないと感じました。

私の環境は、ベランダの床に幅25cm×長さ3mのアルミ板を2枚、幅25cm×長さ1mのアルミ板を2枚、敷いています。


アースに使っているアルミ板の様子

マストは6mのグラスファイバー製釣り竿(Amazonで購入)に、エレメントは100均ショップで買って来たアルミの針金です。


釣り竿の例

結果的に私の場合は13mの時に一番調子が良かったです。特に、私がメインに運用している7MHz帯ではきれいにSWRが下がり、飛びもアパマンハムとしては及第点ではないかと思います。もちろんバンドによってSWRが下がらない場合もありますが、そんなときは手動のアンテナチューナーをトランシーバーとATUの間に入れて、SWRだけは下げています(邪道かも知れませんが)。もちろん普段はスルーにしてます。


手動アンテナチューナーの例

マスト(釣り竿)が6mですので、13mのエレメントをすべてはわせるには足りません。足りない部分は、水平に張ったり、ジグザグに張ったりして、長さを確保しています。ここで面白い現象があります。エレメントのアルミ線を、ただはわせるだけと、ヘリカルアンテナのように巻き付けるとでは、マッチングに差があります。どちらがいいのかはわかりませんが、風でバタバタしないように軽く巻いただけなのに違いがあるなんて、ビックリしました(笑)。もちろん雨の日と晴れの日でも変わります。


エレメントの釣り竿への固定方法(巻き付けたケース)

アースについては、飛びを左右しますので、慎重に作りました。設置にあたり、ネットで調べてみると、沢山の情報が掲載されていました。その中で、これはと思うことを、自分や知人の経験も含めてまとめてみます。

・ATUとアースの距離は近いほどよい。30cmは離れすぎと認識すべきである。


ATUとアースの接続

・同様の理由で、ATUは地面に直接置くくらいの気持ちで設置するとよい。でも防水は必要。


ATUの設置状況。上のプラスチック板が雨よけ

・金網は製造方法によってはアースに適さない場合があるので、避けた方が無難。
・グラウンドラジアルは、ワイヤーと短冊状の板とを比較すると、板のほうが良い。移動ならアルミホイルが扱いやすい。
・グラウンドラジアルは、重し等を使って床や地面にピタっとくっつけるべき。少しでも浮き上がると、カウンターポイズになってしまい、動作が変わってしまう。


重しの例。空ペットボトルに水を入れて使っています

・同様の理由で、地面が砂利の部分での運用は注意が必要。(道路以外の)舗装されたフラットな面を選ぶのがコツ。
・コモンモード対策はやったほうが良い。同軸ケーブルの編線側やコントロールケーブルが不要輻射の原因になる場合がある。


コモンモード対策の例。いわゆるパッチンコア

ロングワイヤーはアースが命ですので、アースがうまく取れない場合や、取る自信がない時は、ダイポール系のアンテナをおすすめします。短縮率が高いV型ダイポールでも、ロングワイヤーに比べると、安定して動作してくれます。


V型ダイポールの例

とはいえ、ATUと組み合わせることで、たくさんのバンドでQRV出来るのは、とても魅力的です。その分コストもかかりますが、うまくいけば十分に見返りがあります。それには成功のポイント(特にアース)を押さえることです。

なお、エレメントの長さは使用する波長の1/2λの整数倍は避けます。これを守らないと、最悪ATUを破損させてしまいます。注意しましょう(私が使っている13mはHF各バンドで、1/2λの整数倍にならない長さです)。

モービルホイップで広帯域に運用する

続いては移動運用やモービル運用でモービルホイップを使う場合の工夫です。HF、特に3.5MHz用や7MHz用は、エレメントをカットせず、調整だけですませようとすると、広帯域をカバーすることは難しくなります。例えば、7MHz帯でCW帯域に合わせてしまうと、SSB帯域の上のほうでは同調が取れない、ということになります。逆にSSB帯域で合わせてしまうと、CW帯域で同調が取れなくなってしまいます。

一番簡単に解決するには、上部エレメントを2本用意することです。しかし、このエレメントは意外と高価だったりします。そこで、下の写真のようなジョイントと短いステンレス棒を使って、エレメントの長さを可変することにしました。これならば、追加でエレメントを購入するよりも安価で、2つの共振点を作ることが出来ます。

エレメントのみでSSB帯域に、ジョイントと追加エレメントを加えてCW帯域に、という使い方が出来ます。さらに以前ご紹介した、イモネジを通常のネジに交換することで、工具を使わずにQSYが可能になります。

実はこのアイデアは、移動先で知り合ったOMさんに教えていただきました。エレメントを切りすぎてしまった場合にも応用できると思います。

第一電波工業(ダイヤモンド) HF40CLの場合(エレメントの直径: 3mm)
・ジョイント: https://amzn.asia/d/a4H4ian
・エレメント: https://amzn.asia/d/iexaqh3


ジョイントと追加エレメント(ネジは変更しています)


ダイヤモンドHF40CLに組み込んだところ

移動運用のススメ

アパマンハムに限った話ではないのですが、先日、平日の昼間に仕事で出掛ける用事があり、その帰り道に数カ所から移動運用をしてきました。その時は、延べ100局ほどQSOしました。運用後、ログを整理していて(今回は紙ログでした(苦笑))あることに気付きました。私にとってのファーストQSOの局長さんが、全交信局数の1~2%しかおられませんでした。それ以外の局長さんとは、以前にQSOしていただいていたのです。

無線人口が減っていますが、同じ方と何度もQSOしていただくには・・・
・移動して、あるいは移動されているところをコンタクトしていただく
・バンドやモードを変えてQSOしていただく
・hQSLやeQSL、LoTW等を活用し、相手のQSLカード発行にかかる手数やコストを削減する

このようなところがポイントになると思います。その中でも、今までのQSOとは違う、特別感が出せる移動運用が一番じゃないかな、と思います。もちろん、マルチバンド、多モードに運用出来る準備もあったほうがいいと思います。


移動運用をすれば世界が広がる


手軽にマルチバンド運用が出来るアンテナを用意しよう

次回予告

私事ですが、今まで移動運用に使っていた軽バンを、友人に譲ってしまった関係で、新たに移動用車両を作らないといけなくなりました。軽バンでは高速や山道が辛かったので、今回は軽乗用車のターボ車をチョイスしました。サイズ的には移動運用には向いているとは言い難いですが、こんな車でも移動運用が出来るんだ! って思っていただけるように作っていきたいと思います。


次の移動車はコレ!

オマケ

移動運用していて思うことですが、「JF1 ?」と指定しても、JF1でない方が応答してきたり、「KT ?」と指定しても、KもTも入っていない方が応答したりしてきます。

まぁ、パイルアップの中では指定が聞き取れないこともあるでしょうが、まったく関係ない方が応答し、指定した側も、それを拾ってしまうことが見受けられます。

指定を無視した局に応答してしまうと、今度は指定を守ってくれなくなります。またその方が効率の良い場合もありますが、毅然とした対応をお願いしたいものだと思います。

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