アマチュア無線の今と昔
2023年3月1日掲載
連載第4回目になります。今回は電波行政(といえば聞こえがいいですが、要するにライセンス関係です)について、昔と今で変わったところ、変わっていないところ、カムバックハムの目線で考察してみたいと思います。
私が開局した頃の国家試験は、関東地方では受験会場は1箇所だけでした。まあ、今でも1アマや2アマは1箇所なので、昔から変わっていないですが・・・。とはいえ、年に3回開催され、しかも1日で終わるので、そういった意味での敷居は低くなったと思います。
中でも3アマ、4アマは、CBT方式の採用で、受験できる場所が格段に広がりました。私が住んでいる神奈川県でも13箇所あります。このおかげで、気軽に受験することが可能になりました。でも、その割にはアマチュア無線人口が増えていないですけど・・・。
この記事をお読みの方は、あまり関係ないかも知れませんが、周りの方にぜひお勧めしてください!
公益財団法人 日本無線協会 https://www.nichimu.or.jp/
CBTS 受験者専用サイト https://cbt-s.com/examinee/
近場の受験会場でパソコンを使い受験できるようになった(イメージ画像)
3アマ、4アマの取得が容易になっただけじゃありません。今や2アマも講習会で取得できる時代です。しかも、自分のペースで学習できるeラーニングで受講できるので、忙しい方や自信のない方でも、資格取得が身近になったと思います。
講習会はJARDが実施しています。最後の修了試験は、上記と同じCBT方式になります。このような資格取得が容易になったせいか、4アマでHF帯を運用されている方が少なくなったような気がします。逆に、スロースピードのCW運用者が多くなっているようにも感じますし、10MHzバンドを7MHzバンドの延長みたいな感じで運用されている方も多くなりました。カムバック組の皆さんも、ぜひ2アマまでは取得して、運用を楽しまれてはいかがでしょうか?
一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会 https://www.jard.or.jp/
2アマも講習会で取得できるようになった(イメージ画像)
ずいぶんと前に1アマから和文がなくなったとは聞いていましたが、いまや電気通信術自体がなくなってしまいました。
問題用紙に「・-」と書いてあれば「A」、「C」と書いてあれば「―・―・」といったモールス符号と文字の連携が取れればOKとなりました(実際は文章で出題されます)。そのせいかどうかわかりませんが、実際にオンエアされているCWの通信スピードが遅くなったような気がします。
試験は法規の中に組み込まれました。しかも記述ではなく選択式なので、普段、CWで運用されている方であれば、間違いなく、この部分は満点取れます。賛否はあると思いますが、上級ハムへの道が緩和されたように思います。しかも、1アマ/2アマの国家試験は、年に3回、しかも週末に実施されるようになり、仕事の都合とかで受検が難しかった方にも門戸が広がった感じです。
現在、アマチュア無線に限れば、和文がまったく出来なくても、1アマが取得できる時代ですが、3.5MHzとか7MHz、144MHzには、和文の達人のOMがたくさんQRVされていますね。
とはいえ、この記事を読んでいるOM諸氏には、CWビギナーさんにもやさしく対応していただけると嬉しいです。私も出来る限りゆっくりとしたスピードのCQにもお声を掛けさせて頂いてます。余談ですが、CWはボケ防止にも効果あるとか(苦笑)。
公益財団法人 日本無線協会 https://www.nichimu.or.jp/
CWでQSOするために必要な電鍵(パドル)
1アマがあれば、HFは1kW、50MHzは条件付きで1kWがOKになりました。2アマはHFと50MHzは200Wまで、3アマは50Wまで扱えるようになりました。また、50~430MHzは4アマで20W、3アマ以上で50Wが扱えるように。200Wまでは技術基準適合機種であれば、申請だけで、落成検査、変更検査なしで使えます。自作機も保証認定をうければ検査は省略となります。
移動する局は相変わらず50Wまでになります。移動する局だけの免許でいいなら、3アマは「コスパ」が高いですね。10MHzと14MHzが使えないだけで、あとは1アマ持っていても50W以上は出せないので。
とはいえ、私は最近、10MHzは結構楽しいってことに気付いてしまいました。3アマでいいなんていわないで、eラーニングで2アマを目指してほしいと思います。
総務省 電波利用 電子申請・届出システム Lite https://www.denpa.soumu.go.jp/public2/index.html
1アマ取って1kWにチャレンジ! IC-PW2(出展:
アイコム・アメリカHPより)
先日、OMさんのご自宅にお邪魔した際に、大昔の無線従事者免許証を見せて頂きました。何でも第2回の国家試験で取得されたそうで、本籍地や有効期限が入ってました。有効期限はその後なくなり、そのままで終身免許になったそうです。
私が開局した時は、電話級アマ(今の4アマ)でも郵政大臣発行の二つ折りの免許証で、氏名とかは役人の方の手書きでした。その後、同じ二つ折りでも、自分の名前は自分で書くスタイルになり、さらにはラミネート加工ととなり、今ではクレジットカードみたいなプラスチックのホログラムカードになりました。皆さんの免許証は、どのスタイルですか? 無線従事者免許証は終身免許ですから、大事にしたいものです。
無線従事者免許証
左:かつての二つ折り型(年代により作りが違う) 右:現在のホログラム型
先にも述べましたが、国家試験の受験申請はすべてネットで完結出来るようになりました。試験に必要な写真もアップロードで提出出来ます。また、開局、変更、再免許の手続きもネットで出来ます。
開局、変更は、技術基準適合証明機種だけで申請の場合は、直接総務省のサイトから直接申請が出来ます。技術基準適合機種以外のものがある場合は、総務省のサイトではなく、JARDもしくはTSSでネットから保証手続きを行う事が出来ます。保証認定がない時代はもちろんですが、以前の保証認定に比べると、申請については相当楽になりました。しかもネットで完結出来る場合は費用も安くて済みますから、嬉しい限りですね。
便利になったのはそれだけじゃありません。総務省のサイトで無線局免許情報の検索が可能です。とはいっても個人情報なので、詳しい住所、免許人氏名などは伏せられていますが、免許されているバンドやパワーが表示されるので、違法運用がやりにくくなってるな、と感じます。そのお陰かどうかはわかりませんが、コールサインを名乗って運用する方のマナーがよくなった気がします。まあ、相変わらず無免許と思われる違法局はみかけますが・・・。
この検索サイトを使って、昔使っていたコールサインが空いているかどうかの確認も可能です。再割り当てが進んでいる1~3エリア、6エリアなどは、ここで昔のコールが空いているかどうかを確認し、それで再開局の手続きに進めばいいと思います。実は私も空いているのがわかって再開局を決意した(というか後押しされた)クチです(笑)
一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会 https://www.jard.or.jp/
TSS株式会社 保証事業部 http://tsscom.co.jp/tss/
総務省 無線局等情報検索 https://www.tele.soumu.go.jp/musen/SearchServlet?pageID=1
技術基準適合証明があるトランシーバー
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