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おきらくゴク楽自己くんれん

その23 軽トラック荷台移動運用シャックにAH-730を搭載!

JF3LCH 永井博雄

2023年3月1日掲載


皆さん、こんにちは。前回はQSOパーティでの軽トラックシャック遠征を成功させてそれなりには使えた移動シャック。しかし懸案もまだ多くあり道半ばです。

1. 折りたたみテーブル・イスの変更

これまでの運用では床に一人用ソファーベッドを置いてソファーモードにして座っていました。テーブルの高さもそれに合わせて床から300mmの高さにしていたのですが、歳のせいもあるのでしょう長時間座っていると窮屈で足を曲げたままの状態が続くと足がつったり固まってしまい、立ち上がる時にすぐには動けなくなったりします。そこでこれを楽にするためにレイアウトを変更してみます。ソファーベッドをベッドモードで平らにし荷物運搬用のハードプラ製ケースを置きます。そしてソファの高さに合わせ折りたたみ式テーブルの高さを150mm上げました。


これまでの折りたたみテーブル


テーブル高さを上げソファをベッドモードにして長椅子に

これなら背もたれはありませんが座る位置の自由度が大きくなり快適にオペレーションを行うことができます。座りながらも横に動くことができるようになり、長時間の運用ではかなり楽になることを期待しています。少し心配なのは運用中眠くなったらそのまま横になることができるのが吉と出るか凶とでるかの懸念が残ります(笑)

2. AH-730導入

これまで移動運用時でロングワイヤーやバーチカルアンテナを使う時、オートアンテナチューナーは東京ハイパワー製のHC-100ATというモデルを使っていました。これは1.8~50MHz対応で耐入力は100Wのものです。私がHFでいろいろなバンドで運用を始めた頃このモデルはすでに生産終了していたのですが、中古で購入してこれまで使っていました。チューニング能力はリグ内蔵のチューナーとは比べ物にならないくらい強力ですが、卓上型のため屋外では使用不可です。卓上でチューニングをとるとアンテナまでの同軸ケーブルを含めて同調をとるので、アンテナの能力を十分に発揮しにくく効率がいいとは言えませんでした。過去に車の屋根に載せて使ったりしましたが、雨が降りだすと運用できなくなり実用的ではありませんでした。それに一度チューニングをとっても送信しているうちに整合状態が外れるなどして安定性に欠けるところがありました。

そこで今回思い切って移動シャックを一人で作り上げた自分へのご褒美として? アイコムから昨年発売されたオートアンテナチューナー「AH-730」を注文しました。これを手持ちのIC-7300Mと合わせて使い移動運用を快適にしようという算段です。このチューナーの魅力は7m以上の長さのエレメントで1.8MHz~50MHzバンドでチューニングが取れることです。HC-100ATでは1.9MHzで使うには30m以上のエレメントが必要でした。波長が160mもあるバンドに気軽に出られることはとても魅力的です。それだけ整合の能力が高いということは他のバンドでも期待が膨らみます。もちろん整合能力とよく飛ぶかどうかは別の問題だとはわかっていますが、気軽に色んなバンドの運用ができるということはHF移動運用を楽しむための重要なファクターだと考えています。


到着したAH-730

注文時AH-730は在庫がなく入荷を待っていましたが、販売店さんから予定よりも早く届いたとの連絡があり急いで受け取りに行きました。早速使いたいところですが、これを移動運用シャックのどこに取り付るかの問題がありました。検討した結果、何もないのっぺらぼう状態の運転席側の側面に取り付けることにしました。この面に本体を付けていると僅かながら一部分が車体の幅より外に出てしまいます。この状態で走行することは可能でしょうか?

2022年6月号の本連載「くんれんコラム」で書いたように、2022年5月13日の道路交通法改正によりそれまでは許されていなかった横へのはみ出しは片側で車幅の10%まで許されることになりました。したがって1,475mmある私の軽トラックでは147.5mmはみ出していいことになっています。実際に本体がはみ出るのは数センチですので、この問題はクリアになりました。私がHF帯で使用する多バンド対応バーチカルアンテナは、10mまで伸びるグラスファイバー製ポールにエレメント線を沿わして使用しています。チューナーを取付するシャック側面には、現在真ん中のポールを支える為の配管取り付け用金具を流用したものがあり、AH-730を真ん中に取り付けようとすると釣り竿と干渉するのでNGです。やや後方にも柱がありますので、釣り竿は後方の柱に移動しAH-730は中央の柱に付けるように変更しました。


この面中央にAH-730を取り付けます


取り付け用金具

厚めのアルミフラットバーを使い、AH-730の上下の取り付け金具にネジを留められるようにします。高さは私の身長でエレメント接続が脚立なしで無理なくできる高さにしました。上と下のどちらのバーも真ん中に隠れている柱にネジが留まるように取り付けました。


取り付け下部の様子

下部の支持材はアルミフラットバーに3か所穴をあけ、真ん中の穴はタップを切りこちら側にネジが来るように平頭のネジを切り、上下2か所に木ネジで柱に留めました。これでしっかりとナットで固定できますのであとはケーブル類の防水問題が解決できれば、取り付けたまま移動運用地各所を走って回ることができます。数か所を早回りで移動運用する時など設営・撤収の時間短縮につながり運用効率の大幅アップが期待できます。


側面に固定したAH-730

取り付けた場所までリグからの制御ケーブルと同軸ケーブルを引き回すのですが、付属の制御ケーブルは10mあるので余裕で届きます。


アースはトリイの取り付けボルト(運転席側)に

シャック本体は木製ですからアースは軽トラック車体に落とします。トリイ取り付けボルトにアース線をつなぎました。荷台に穴をあけて落とすことも考えましたが、それをやっても数十センチの距離があります。トリイからAH-730まで一度荷台床まで電線を下げれば、アオリの高さより低い部分のアース線は長くても影響はないだろうと考えこれで良しとしました。


竿を立てる位置を後方に変更

3. テスト運用を兼ねて運用リクエストに対応

かねてより知り合いの局から3.5MHzで和歌山県各所から出て欲しいというリクエストがありました。ちょうど良い機会なのでAH-730のテストを兼ねて和歌山県に遠征してみることにしました。いつもはエレメントにする電線は9.2mの物を使っているのですが、実はこの時持ってきたエレメントは7.2mと短いものでした。定格では7m以上長さがあれば1.8MHzで同調が取れるということですし、月刊FB NEWSの2022年4月号のテクニカルコーナーで掲載されたエレメント長の適性表で各アマチュアバンドの1/2波長の整数倍になってないことを確認しましたので問題はなさそうです。

移動地に到着、早速釣り竿を立ててワクワクしながら各バンドのチューンをとって確認してみます。ほぼすべてのバンドでIC-7300MのSWRメーターが振れることがなくなるくらいの状態に同調を取ることができました。

この日の3.5MHzのコンディションが良かっただけなのかも知れませんが、リクエストをくれた局との交信はいつもより信号が強かったような気がします。難なく交信を成立させることができてミッションクリアとなり、次のリクエスト地まで移動します。この日は念のため移動の度に本体を取り外しての移動運用としました。


和歌山県伊都郡九度山町での運用風景


和歌山県伊都郡かつらぎ町での運用風景

次の和歌山県伊都郡かつらぎ町で3.5MHzのミッションをクリアしたあと1.9MHz CWに挑戦してみました。誤って持ってきた短い7.2mのエレメントでしたが定格では大丈夫なはずです。1.9MHzに移ってリグのTUNERボタンを押すとあっけなく同調が取れました。もしリグのTUNERボタンを押し忘れても、電波を出すだけで不整合状態であれば自動的に同調動作をしてくれるので、不整合のまま運用をしてしまう心配もありません。CQを出して30分ほどで1・2・3・4・6・7エリアの局と交信することができました。こんな短いエレメントにもかかわらずなかなかの成果で満足いく結果でした。

この日は1.9・3.5・7MHzと低い周波数での運用が主でしたので、翌日は自宅近くで高いバンドに挑戦するために奈良県山辺郡山添村へ向かいました。


奈良県山辺郡山添村での運用風景

10MHzから始めたのですが、ここでパイルになってしまいひと段落した時点で疲れてしまいました。天気がよかったのもあり気分が休憩モードに入ってしまいました(汗)。上のバンドのコンディションもいまいちの様子。その後たまたま同じ場所にDXペディション(3Y0J)狙いで訪れていた某局とアイボール情報交換会となってしまいました(汗)。

後日、約10kmの距離をチューナーを搭載した状態での走行テストを兼ねて出掛けて、アンテナは9m長のエレメントを使って再び1.9MHzの移動運用に挑戦しました。


本来のエレメントで1.9MHzを運用

あいにくのお天気で雨の中でしたが数分で運用の準備をすることができました。1.9MHzをワッチするとコンディションが十分ではない様子で、CQを出して3局と交信できましたがその後空振りが続きます。そこで3.5MHzを運用することにします。このようにコンディションに合わせてリグのTUNERボタン一発でQSYできるのが快感です。

少しの間呼ばれ続けましたが間があいたので1.9MHzに戻りました。するとバンドスコープには先ほどよりバンド内が賑やかになっていて、元の周波数でCQを出すと先ほどとは打って変わってすぐに呼んでいただきました。その後続けて呼んでいただき、短い時間でしたが交信を楽しむことができました。このように目まぐるしく変わるコンディションの時にも臨機応変に運用バンドを選択できるようになり、ますます移動運用が楽しみになりました。

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