Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

日本全国・移動運用記

第90回 沖縄本島全市町村移動(後編)

JO2ASQ 清水祐樹

2023年3月1日掲載

前編の概要: 年末年始の6泊7日で、沖縄本島の26市町村の全てで運用する計画を立てました。序盤は南部の那覇市周辺を回って、次第に北上するルートです。

(前号からの続き)

4日目(12月30日)大荒れの天気で、何とか持ちこたえる

サテライト通信に対応するため、浦添市の海岸に行くと、海側から猛烈な北風が吹いてきて、雨も激しくなりました。サテライト通信用の三脚に水を入れたポリタンクを吊して固定しても足りないほどの強風で、同軸ケーブルを足で押さえながら、運用は何とか持ちこたえました。

続く中頭郡嘉手納町の公園に移動すると、風雨は少し弱まりました。この町は運用できる場所が少なく、需要が多かったQTHです。特に10MHz帯と14MHz帯が猛烈なパイルアップになりました。しかし、衛星の時間の都合で次の場所に移動しなければならないため、残念ながら14MHz帯までで打ち切りました。また、周囲に建物が多い場所で衛星が聞こえる時間も短く、需要は十分に満たされませんでした。

うるま市は漁港で運用しました(写真1)。沖縄本島の西側にあったこれまでの運用場所と違って、同じ北風でも海からではなく陸側から吹いてくるため、風は弱く感じました。固定局がいるため7MHz CWは需要が少ないと考え、10MHz帯から上の周波数に素早く上がっていったところ、コンディションが良く28MHz帯で6QSOを記録しました。


写真1 うるま市での運用の様子

西海岸にある国頭郡恩納村に移動すると、再び風が強くなり、真っ直ぐ歩くことも難しい状態になりました(写真2)。10MHz CWがものすごいパイルアップになり、100QSOを超えました。中頭郡読谷村でも強風は変わらず、釣竿が激しく揺れてSWRが不安定になりながらも、設備は持ちこたえました。


写真2 国頭郡恩納村での運用の様子

5日目(12月31日)海の近くで、10MHz CWが好調

冬の沖縄は日の出が遅くなっています。まだ暗いうちに、国頭郡今帰仁(なきじん)村に移動すると、真っ暗なため運用場所を探すのに手間取り、その間に衛星が来てしまったので、まずはサテライトを運用しました。数km離れたコンビニエンスストアで朝食を確保し、その後、運用を再開しましたが、朝7時台ではHF帯の伝搬が不安定で、QSO数はあまり伸びませんでした。

国頭郡本部町の海岸に移動すると、再び海側からの猛烈な風に襲われました(写真3)。これまでの場所は、仮に車内の物が強風で飛ばされても海に落ちる心配はありませんでしたが、ここでは工程表(運用予定を印刷したもの)などが飛ばされて海まで飛んでいかないか心配で、養生テープで固定しながらの運用でした。ここでは10MHz帯と14MHz帯が好調でしたが、1日5か所の運用で移動距離が長いため、短時間の運用で打ち切りになりました。


写真3 国頭郡本部町での運用の様子

国頭郡宜野座村、金武町(きんちょう)は海岸で運用しました(写真4)。伝搬のコンディションは良くない感じで、10MHz帯では多くの局から呼ばれたものの、14MHz帯は少し弱い感じでした。夜は沖縄市の海岸近くにある公園に移動しました。大晦日の夜で市街地は交通量が多く、到着までに時間を要しました。


写真4 国頭郡金武町での運用の様子

6日目(1月1日)需要が多い国頭郡の北部へ

名護市に宿泊し、元日の朝を迎えました。名護市の公園で短時間の運用を済ませ、国頭郡大宜味村に向かいました(写真5)。7MHz CWのコンディションが良く、さらには10MHz帯、14MHz帯とも好調で、さらに上の周波数帯も行けそうな感じでしたが、時間の都合で次の国頭郡国頭村に向かいました。

国頭村では伝搬のコンディションが良く、21MHz帯では2日目の島尻郡八重瀬町と並ぶ44QSOを記録しました。28MHzでも確実にQSOできたと思われますが、この場所での運用に3時間以上を費しており、21MHz帯で打ち切って国頭郡東村に向かいました。


写真5 国頭郡大宜味村での運用の様子

東村はグラウンドの駐車場で運用しました(写真6)。この場所は海岸で遊ぶ人の出入りが多く、お正月ということで家族連れも多く見受けられました。10MHz CWがものすごいパイルアップになり、このままでは他のバンドを運用する時間が無くなってしまうので、7MHzにもQSYしたところ、ここでもパイルアップになりました。今回の移動運用で沖縄本島の全市町村での運用を達成できて、長期間の運用で疲れも感じられたため、早めに運用を終了しました。


写真6 国頭郡東村での運用の様子

7日目(1月2日)名護市で早朝の運用、最後はD-STAR

朝は、前日と同じ、名護市の公園で早朝の運用を行いました(写真7)。前日、1.9~7MHz帯の3バンドしか出来なかったので、10MHz帯から上を狙っていました。ところが前日に多くのQSOができた7MHz帯でも、正月休みで聞いている方が多いためか長時間呼ばれ続けて、10MHzにQSYしてからもパイルアップが続き、結局10MHz帯を運用した時点で時間切れとなってしまいました。

帰りは中頭郡中城村でサテライトのRS-44を運用して荷物を梱包し、那覇空港周辺が渋滞すると予想して早めに空港に向かいました。那覇空港では、飛行機の待ち時間に立体駐車場の屋上でD-STAR那覇430からD-STARを運用して、D-STAR QSO PARTY 2022参加局も含めて5QSOできました。


写真7 名護市での運用の様子

結果

結果を表1に示します。12月28日から1月1日まで、5日連続で1日1,000QSOを達成しました。時間の都合で、ハイバンドを十分に運用できなかった日もあり、十分な時間があれば28MHz帯でも相当な数のQSOが出来たと推測されます。


表1: QSO数。これ以外に、D-STAR那覇430のゲート越えで5QSOできた。

日本全国・移動運用記 バックナンバー

2023年3月号トップへ戻る

サイトのご利用について

©2024 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.