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おきらくゴク楽自己くんれん

その41 軽トラモバイルシャック夏対策2

JF3LCH 永井博雄

2024年9月2日掲載

こんにちは。前回ツインデルタループアンテナで挑んだ6m AND DOWNコンテストでモバイルシャックの冷房にミニスポットエアコンで挑戦しましたが、インバーターがトリップしたり課題がたくさん生まれました。 元々部屋全体の冷房に使う機器ではないのですが、いろいろ実験と工夫を重ねて少ない費用で夏の夜に快適な空間を実現できるよう頑張ってみました。

1. 関西アマチュア無線フェスティバル屋外ブースに軽トラモバイルシャック

昨年の関西アマチュア無線フェスティバル(関ハム)にも軽トラモバイルシャックで行ったのですが、会場から離れた駐車場に停めていましたので誰にもシャックを見てもらうことができませんでした。

今年は会場屋外ブースに出展し会場内にモバイルシャックを入れさせてもらいました。当日早朝京都のOMさんを乗せて会場に入ります。暑い日になりそうなので、冷たい飲み物を十二分に用意してきました。持ってきたジャンク品が売れるよりも、見物に来られる方に沢山来ていただきFBなアイボールを数多くさせていただきました。

本連載記事を見たOMさんがポケットダイポールの製作方法を聞きに来ていただいたりして、有意義な2日間となりました。あと同行のOMさんが十年以上のブランクを破り会場でJARLに再入会されたことも会員増強の一助になったと喜んでいます。


関ハム屋外ブースに出展しました

この時もモバイルシャック内ではミニスポットエアコンを運転しておりました。吹き出す空気の温度は室温より2~3℃下がっていましたが、時間が経つとミニスポットエアコンの運転音が唸るような音に変化することがありました。 特に外気温が30℃を超える状態で運転すると消費電力も250W(定格215W)以上になり苦しい運転状態のようでした。

関ハム1日目を終え、一旦家に帰るより反対方向の知らない場所で一泊の冒険をすることにしました。どこに行くかは決めずにネットの地図を頼りに西へ向かい、途中見つけた天然温泉に入り同施設内で美味しい食事をいただいてから、少し離れた兵庫県西脇市内のトイレのある公園駐車場で一泊させていただきました。2日目はここから会場に向かいました。


公園駐車場で車中宿泊

この日の夜は雨が降り気温はそれほど高くはありませんでしたので、スポットエアコンが良く効くのではないかと考えていたのですが、思ったほど快適な温度にはなりませんでした。これはいよいよ何らかの対策をしないと使い続けることは難しいと改めて感じました。

2. ミニスポットエアコンの動作を研究する

ここで使用しているミニスポットエアコンについて説明します。MAC-10は大変小さくコンパクトですが下の動作図のように冷凍サイクルを持つ本格的な仕組みです。コンプレッサーモーターの出力が0.145kWと小さいですが、冷やす仕組みは家庭用のエアコンと同じものです。違うのは室外機がなくてすべてがひとつの箱の中にまとまっているということです。

この機種を選んだ理由としては安価で消費電力が少なかった事です。消費電力が少ないという事は冷房能力も少ないということですが、効率的に運転すれば小さなモバイルシャックの空間なら実用になるのではないかと考えています。電源である230Ahの電池で長時間の運転する為にはこの程度の能力でなければならないともいうのも理由の一つです。


ナカトミ MAC-10外観


スポットエアコンの動作図

圧縮機で圧縮されて冷媒ガス(R134a)は温度が上がり、凝縮器に送られて通る空気により冷やされ排出される空気の温度は上がります。その後冷媒は膨張弁を経て蒸発器で気化して熱を吸収しそこを通る空気が冷やされます。つまり冷風を作るために空気を冷やし、奪った熱を後ろのファンで吐き出す仕組みです。冷風を作るために奪った熱が後ろの排風口から出ていく仕組みです。一見モバイルシャックのような狭い空間で単独運転しても部屋全体は一定温度になるように感じますが、実際はエアコンを動かす為に使った電力(約200W)が熱となりますので室内の温度は上がってしまいます。これを避ける為に後方の排熱口と本来同軸ケーブルを通すために開けていた67mmの穴を段ボールダクトで接続して熱を室外に放出しようと考えました。


MAC-10 裏側

これまでの運転では外気温や室内温度が高い時などハードな運転条件になると消費電力が増えたり異音が出て騒がしくなったり運転効率が下がり段々冷えなくなってくる症状が現れてきました。当然室内で感じる冷房の効きも今一つです。点検してみると67mmの穴から出てくる空気の量が緩やかで少し排気が足りないような気がしました。時間と共に消費電力も上がってくることもわかりました。そこで思い切って穴を大きくすることにしました。


φ67φからφ100へスリーブを取替え排気量アップ


MAC-10 配置イメージ


現状の冷房動作イメージ

3. フィールドデーコンテストでテスト

一応の対策を行ったので、確認のための機会はフィールドデーコンテストとなりました。口径拡大の作業時間が押してしまったので、フィールドデーコンテスト開始時間には出かけることができませんでした。そこで思い切ってコンテスト開始は2日目朝からにして、いままで運用したことのない遠方で参加することにしました。知り合いの局が一度移動運用してみたかった洲本市の高台で移動していると聞いたのでお邪魔しました。コンテストの成績はおいておき、アイボールと改良したエアコンのテストに重点をおいた移動運用となりました。


フィールドデーコンテスト移動でテスト

現地ではご覧のように天気は良くなくそれほど暑くはなりませんでした。排出口径アップの効果もありエアコンの運転は安定していました。しかしここで新たな問題に気が付きます。これまで230AhのDC12.8VからAC100V変換に使っていた600W正弦波インバーターを壊してしまったので新たに1000W正弦波インバーターを導入したのですが、これの冷却ファンが熱により自動で回り出すと大変うるさい上に、インバーターからの排熱で室内の温度が下がらなくなるというマッチポンプな状態が生まれてしまいました。大きなインバーターは排熱も大きかったのです。

無線以外にも調理ができたりと、いろいろな用途に使える余裕がいいと思ったのが仇となりました。だからと言ってエアコンの運転を止める訳にもいかず(人が室内にいるだけでも室内温度は上がるので)、ただただインバーターの冷却ファンが止まるのを待つばかりでした。


1000W正弦波インバーター

4. 再度対策を要す

冷房の効率化を検討する時に気になっていたことが浮かんできました。今回の構成では排出される空気が室外に出て行く分外の空気が侵入し、外の熱を引き込んでいるのも対策する必要があるのではと考えました。

侵入する空気を集中的に凝縮器に通して熱交換させれば理想的ですが、蒸発器と吸い込み口が共通となっているので分けることは出来ません。そこで吸入空気を元からある吸入換気扇から入れて、外部空気を本体に導くダクトを作って取り付けてみました。これで幾分か冷房の効率が上がるのではないかと期待しましたが、ダイレクトな効果は感じられませんでした。


一番の問題は室外からの進入空気か?


吸入換気扇を段ボールダクトで覆う

5. 結論

家庭用の冷房能力の高いエアコンを使って圧倒的に冷やしてしまえば問題は解決するのでしょうが、電源と資金に問題があります。小さな冷凍サイクルですから運転環境を改善させてもなかなか大きな効果を得ることはできそうにありません。どう頑張っても限界が見えています。もう少し冷房能力が高い機械があればいいのですが、もうこのMAC-10を使っていくしかありません。ですから地道に少しずつ改善を進める必要があります。しかしあきらめはしません。なんとか改善してこの夏のハムフェアの時の車中泊では、東京の夏の夜を快適に過ごせるようにしたいと思います。

それでは。

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