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日本全国・移動運用記

第108回 種子島移動

JO2ASQ 清水祐樹

2024年9月2日掲載

種子島は1市2町で構成される離島です。2020年7月に移動運用を行った様子を、2020年9月号の記事で紹介しました。それから4年が経ち、新たに開局やカムバックをされた方から「種子島とはまだ交信できていない」という情報を得たため、梅雨明け後の同じ時期に、再び移動運用を計画しました。

HF帯のアンテナ

今回は自分の車ではなく、飛行機で移動して現地でレンタカーを借りました。いつものように機材は宅配便で発送し、レンタカーに設置しました(写真1)。また、バッテリー駆動式の扇風機を使用しました。バッテリーは飛行機で輸送できないため、宅配便に同梱しました。


写真1 レンタカーを使用したシャック

この時期は非常に暑いため、できるだけ屋外での作業は避けたいと考えていました。HF帯のアンテナは、設営やバンド切り替えに時間がかかるギボシ端子切り離し式ダイポールアンテナではなく、ロングワイヤーとオートマチックアンテナチューナーの組み合わせを使用することにしました(図1)。エアコンが効いた車内で、TUNERボタンを押すだけでQSYできます。

前述の2020年9月号の記事では、アンテナとして7mのビニル線付き釣竿と、オートマチックアンテナチューナーAH-4の組み合わせを使用したことを紹介しました。その後、ワイヤーの長さや張り方を変えて実験した結果、2024年5月号で紹介した鹿児島郡三島村移動のように、30m程度の逆L型ロングワイヤーで、7~50MHz帯でも十分な性能が得られることが分かりました。逆L型アンテナの張り方は2013年10月号、巻き取り器については、2013年9月号で説明しています。今回はレンタカー移動のため、逆L型アンテナの先端を固定する物を持参できず、巻き取り器を木に引っ掛けて固定しました。


図1 使用したアンテナ

7月26日(1日目) 西之表市での運用

西之表市には13時過ぎには到着する予定だったところが、数日前に接近した台風の影響で海上の天候が悪く、飛行機が遅れて到着しました。

サテライト通信で良いパスに間に合わせるため、車を木陰に停められる市街地の公園で荷物を開梱し、サテライトの最初のパスに間に合わせました。種子島での運用は4回目で、西之表市の市街地にある公園や商店の位置関係をある程度把握しているので、臨機応変の対応ができました。

その後、HF帯の機材も準備して前回運用した公園に行ったところ、満車だったため、市街地に近い別の公園で運用することにしました(写真2)。伝搬のコンディションは可もなく不可もなく、といった感じで、カレンダー上の平日だったためQSO数は少なめでした。


写真2 西之表市での運用の様子

7月27日(2日目) 北から南へ、西之表市・中種子町・南種子町で運用

翌朝は土曜日で、公園の利用者が多いと予想し、近くの漁港で運用することにしました。午前7時台では、まだEスポの気配は無いものの、次第にハイバンドが強くなり、28MHz帯でも広い範囲が聞こえるようになりました。しかし、50MHz帯は1QSOに終わり、本調子ではありませんでした。

種子島は南北に長い島で、各市町間の移動には時間がかかります。西之表市から中種子町への約26kmを移動している間にEスポが発生し、中種子町で運用を開始した時には既に弱まる傾向にありました(写真3)。28MHz帯は何とか28QSOできましたが、50MHz帯はタイミングを逃してしまい1QSOに終わりました。ここは50MHz帯から順に下がっていく作戦の方が良かったかもしれません。


写真3 中種子町での運用の様子

午後からは南種子町の公園に移動し、運用を再開しました(写真4)。伝搬のコンディションは通常に戻り、ハイバンドでは強い局や距離的に近い5エリアの局ばかりが聞こえる状況でした。


写真4 南種子町での運用の様子

当初は予定していなかった中種子町のローバンドを、この日に運用することにしました。南種子町に近い公園に夜間に移動し運用を開始すると、20時過ぎに7MHz帯の国内伝搬が非常に強力で多くの局とQSOできました。その後、サテライトやローバンドも運用して、中種子町は1日で2回に分けて運用することで需要を満たしました。

7月28日(3日目) 南から北へ移動

島の南にある南種子町で運用を開始して、中種子町に移動しました。南種子町では朝早い時間にもかかわらずHF帯の伝搬のコンディションが良かったため、サテライト通信の運用を最小限に抑え、HF帯の運用に集中しました。その結果、50MHz帯で9QSOできるなど、上々の成果を得ました。

その後、再び移動した中種子町では伝搬のコンディションが悪く、7MHz帯は無線機が故障したかと思うほど静かで、0QSOに終わりました。前日の夜に7MHz帯を確保しておいたことが功を奏しました。

結果

周波数帯、運用日、QTHごとのQSO数を表1 に示します。27日の中種子町でEスポに当たったことと、夕方から夜にかけて7MHz帯が好調だったことから、27日は1,000QSOを達成しました。


表1 周波数帯、運用日、QTHごとのQSO数。1.9~50MHz帯はCW、サテライトはCWとSSB。

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