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おきらくゴク楽自己くんれん

その43 IC-705とAH-730で快適QRP運用

JF3LCH 永井博雄

2024年11月1日掲載

皆さんこんにちは。前回は暑い夏の夜、東京都内で軽トラモバイルシャックの車中泊をご紹介しました。今は秋ですが昼間が暑いのはそう変わりません。それでも夜の気温は下がってクーラーなしでも快適に過ごすことができる季節になりました。考えれば一年にわずか数夜の為にクーラー導入など力をいれてしまいまいしたが、これも一つの実験ということで何かしら読者さん誰かの参考になれば幸いです。今回は軽トラモバイルシャックの快適化を進めてコンテストで移動運用をした記録となります。

1. 軽トラモバイルシャックでのアンテナチューナーをAH-730に統一


モバイルシャック側面のAH-730

ハムフェアに参加するために東京へ向かう途中、東名高速のサービスエリア休憩の時にIC-705と専用アンテナチューナーAH-705を使いました。モバイルシャックでこの組み合わせでの運用は初めてでした。

モバイルシャックの側面にはアンテナチューナーAH-730を簡単に取り付けることができる金具があります。そこにぶら下げる形でAH-705を付けて5.6mロッドアンテナで出たのですが、AH-705がぶらぶらして安定性がイマイチでいい気持ちがしなかったので快適な運用とはいきませんでした。やはりAH-705も取り付けられるように工夫をしなければならないとも思いました。ですがせっかくAH-730が簡単につけられるのだから、これをIC-705で使えるようにする方がスッキリするのではないかと考えました。

モバイルシャックには「その32」で作った中継ボックス内にAH-730コントロールケーブルを入れてあります。室内床下を通しテーブルまで配線しています。そのコネクターにつなげる変換ケーブルを使ってIC-705でもAH-730をコントロールできるようにしていきます。これは2020年6月号のテクニカルコーナー「IC-705でアンテナチューナーAH-4を使う」を参考にしてみました。


2系統の同軸とコントロールケーブル


ボックスから室内まで通したコントロールケーブル

布設されたコントロールケーブルはあるのですが、コネクター配線が問題でAH-730を動作させるDC13.8V±15%の電源がIC-705では取りにくいです。IC-7300などの固定機を使うのであれば無線機本体からコントロールケーブルで給電となっていますが、IC-705のチューナー端子にはDC13.8Vは出力されていません。外部からIC-705の制御信号と共にDC13.8Vを供給すれば問題は解決できそうです。モバイルシャックにはリン酸鉄リチウムイオンバッテリーや軽トラの鉛バッテリーなど、豊富なDC電源を取ることができますのでこれを活用することにします。


AH-730のIC-705変換結線

変換ケーブルの材料は4Pコネクター・4芯ケーブル・3Pプラグ(3.5mm)・赤の単線とバナナプラグです。

4Pのコネクターが良く売られているものとはオスメス反対側ですので少し入手しづらいかも知れません。私は訪れた地方のJARL支部大会の出店で運よく見つけたものがありました。


4Pコネクター

4PコネクターのうちDC13.8Vには単線(赤色)に繋ぎ、シャック内のDC電源に繋ぐことができる長さにして取り出しておきます。当シャックでは室内DC電源盤に繋ぐことができるようバナナプラグを取り付けました。


完成した変換ケーブル

ケーブルには手持ちの4芯シールドケーブルを使いました。4Pコネクターの端子には細過ぎて3Pプラグには太過ぎるものでしたので4Pコネクターの端子にはスッポ抜けないような工夫と3Pプラグのスリーブに加工が必要でした。

モバイルシャック内にある電源盤は3系統の陸軍ターミナルが赤色黒色それぞれ繋がっています。一組の陸軍ターミナルに室内のリチウムイオン電池のDC12.8Vを繋げれば分配することができます。盤の裏側から外部にクリップ付配線が出ており、軽トラの鉛バッテリーからも電源が取れるようになっています。理想ダイオードが直列に入っていますので室内のDC12.8Vリチウムイオン電池から軽トラのDC12V鉛バッテリーに逆流しないようになっています。

この電源盤からIC-705とAH-730の両方の電源を取ることにします。


DC電源盤

完成したケーブルを使ってテストをすると3.5MHzから50MHzまでチューンをとることができました。問題なく使うことができそうな感じです。

2. 全市全郡コンテストに投入

AH-730~IC-705変換ケーブルが完成したこともあり、今回の全市全郡コンテストにはQRP部門で参加することにしました。QRPにしたもう一つの理由としては普段使うことがなくなっていたIC-703を使う事もありました。古い機種となってきていますのでたまには通電して電波を出しておかないと心配です。このIC-703はアナログフィルター方式の無線機として最後の頃のモデルです。クワッドミキサーが採用されているなど過去の同方式高級機と比しても遜色のない性能であることが気に入っており大切にしています。


QRP参戦の布陣

IC-703はオプションにAH-4が指定されていました。従ってAH-730も変換ケーブル無しで問題なく使うことができそうです。チューンの取り方とか他の面でも特に問題はないようです。IC-703とIC-705はフィールドでの使用が主な10W機という点で共通しています。リグから制御さえうまくできればAH-730も問題なく使うことができるのだろうと判断していましたので自作変換ケーブル使用に問題がないことに自信が持てました。写真のもう一台のIC-705はワッチ専用です。

移動地は標高580m程の見晴らしFBな所です。アンテナはAH-730+ロッドアンテナ、50MHzデルタループ、144/430MHzホイップアンテナです。デルタループとAH-730は敷設しているケーブルで引き込み、VUHFホイップアンテナはマグネット基台を屋根の鋼板に貼りつけて基台のケーブルを開口部から引き込みました。430MHzでは中継コネクターがあると損失が大きいので出来るだけ中継しないように心掛けています。


全市全郡コンテスト移動運用状況

QRP(5W)でのコンテスト参加ですので、CQを出している局を呼んでもとってもらえないのではないかと心配がありますが、バンドやコンディションにもよりますがS5くらいまで振っている局であれば問題なくとってもらえる感じです。

50MHzでは1エリアの耳がいい2局と繋がりました。弱い信号を聞いていただきありがとうございました。


変換ケーブルを使った運用

HF帯はIC-705とAH-730で出てみました。HFではSが弱い局にはとってもらえないこともありますし、全然Sメーターの振ってこない局でも一発でとってもらえたりするのも面白いものです。相手局の受信環境の影響も大きいのだろうと思います。混雑した7MHzでは厳しい局面が多々ありましたが、それでも14MHzなどではCQを出すと沢山呼んでいただけるタイミングあり楽しい時間もありました。

3. まとめ

2日間とも天気には恵まれました。朝は少し冷えましたが、昼間は日が照り室内は30℃を超える暑さで全市全郡コンテストの時期にこんなに暑い思いをするのは初めてでした。50MHzではこの時期には珍しく8エリアがEスポで開いたみたいで、懸命に8エリアを呼ぶ3エリアの局が聞こえましたが私は交信することは出来ませんでした。もっともこのコンテストは遠くに飛ばす必要はないのですけれど。このコンテストは21時までの開催時間ですが翌日(スポーツの日)にはハード目な仕事の予定がありましたので夕方には運用を終えて片付けて帰途につきました。

全体的にはバンド専用のアンテナを上げていた50MHzに偏った運用となりました。HF帯ではAH-730と5.6mロッドアンテナのシステムでの5W運用は十分な結果が得られることが確認できたので、これからはこのパターンで5Wから10W程度の出力で移動運用にいきたいと思っています。今回は予想していたより多くの局と交信することができたので満足いく形でコンテストを終えることができました。過去の結果を参考に入賞を狙う形でログの提出をしました。マルチバンドでは下位に沈んでしまうのは明白ですので50MHzでのエントリーとしておきました。さて今回は入賞することができるのでしょうか? 結果が出るのが楽しみです。

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