おきらくゴク楽自己くんれん
2024年8月1日掲載
こんにちは。毎日暑い日が続いていますね。年を追うごとに夏の暑さがひどくなり地球が温暖化していることを節実に感じています。そんな中、夏のVUHFの祭典? 6m AND DOWNコンテストがやってきました。
昨年このコンテストではシングルオペ430MHz電信電話部門で念願の全国2位に入ることができました。実は私がJARLのメジャーコンテストで初めて入賞したのがこのコンテストの144MHz電信部門でした。私にはいい思い出のあるコンテストです。昨年の全市全郡コンテストでは自作ツインデルタループアンテナを使い144MHz電信部門でエリア入賞はできたものの、コンテスト規約のマルチプライヤーが市郡区では3エリアは不利となるために全国入賞は全く遠いものでした。6m AND DOWNコンテストであれば高い山に移動して獲得できるマルチ数は1エリアよりも有利となるので再びツインデルタループアンテナで全国入賞を目指して挑むことにしました。
梅雨の最中で天候が悪く、山の上では寒いくらいの日も多かったこのコンテストですが、最近は雨が少なくなり晴れると真夏のような暑さに見舞われることが多くなりました。昨年はモバイルシャックを作った初めての夏で、氷を使う発泡スチロール箱クーラーでは冷却が不十分かつ持続できず暑い夜を過ごした苦い経験が思い出されます。今年は何台か氷冷却クーラーを増設してしのぐ事を考えていましたが、冷静に考えるとそれらを用意して運転させるだけで汗をかきそうで取りやめることに。今年はもっと有効な対策をとることを考えます。
朝アンテナにだけ当たる日差し。時間が経つと・・・
これまで軽トラモバイルシャックで使う電源については無線運用と室内照明に使う事を中心に、さらに冬の暖房もインバーターで家庭用のセラミックファンヒーターを使う事で対策していました。これは初期投資も少なく実行済みです。しかし昨年の氷冷却クーラーの経験を考え、より強力な冷房となるともっと大きな電力が必要となることは必須です。まず大きな容量のリン酸鉄リチウムイオン電池の購入を検討していました。
そんな時セールが実施されたタイミングがあり思い切って230Ahの電池を購入することにしました。より大容量の電池を導入しておけば、無線用電源に困ることが今後一切なくなるというメリットも重要視して思い切って購入しました。
12V 230Ahのリチウムイオン電池
順序が逆なようですが実際にどういった方法でモバイルシャック内を冷房するのか? を検討します。まずは今持っているバッテリーで大きな投資をしてしまいましたのでできるだけ安く済む方法で考えていきます。つまり今あるものを活用していくという訳で冷房機器を駆動するのは、現在所有しているDC12VからAC100Vの正弦波インバーター(600W)で動くものと言うのが第一の条件となります。もちろんそれでは容量が足りないとなれば新規に購入も考えます。
一番初めに思いつくのは家庭用の窓付けエアコンです。冷房専用で冷房能力が1.6kW程度との十分すぎる冷房能力を持っています。しかしこれを使うには窓に相当する大きな開口が必要で、しかも消費電力が大きく手持ちのインバーターでは駆動できない上に消費する電力からすると230Ahの電池と言っても2時間程度で容量が無くなるので不採用となりました。要するに小さな軽トラ荷台程度の部屋を冷やすのにはオーバースペックです。
次に検討したのはキャンピングカー用DC12Vエアコンです。これも消費電力が大きいのと普通の家庭用エアコンのように室内外機を冷媒配管で繋ぐ工事が必要で高価ですので瞬殺で不採用となりました。
次は家庭用のスポットクーラーです。消費電力は200Wから500W程度とインバーターと電池に優しく価格も手ごろなものが出ています(その分冷却能力が落ちますが)。シャック内に収めることができるサイズの中で適切な機種を探します。
ナカトミ MAC-10外観
いろいろ探しているとちょうどよい感じの機種が目につきました。ナカトミというところから出ているMAC-10という機種です。価格もこの時点で最安でした。本機の仕様を次に示します。
MAC-10 取扱説明書の仕様表
冷却能力は一般6畳用エアコンの1/5程度です。これでモバイルシャックを十分冷やすことができるか? ですが今の段階では少しでも室内温度と湿度が下がればいいと考えています。代わりに消費電力が少ないので230Ahの電池であれば10時間以上の駆動できるのではないかと期待します。冷却により発生するドレン水は本体正面下のタンクにたまり、都度タンクを外して排出が必要です。タンクが満水になると送風は継続しますが、コンプレッサーの運転は停止し冷却しなくなります。
本機は普通のエアコンや冷蔵庫と同じようにコンプレッサーで冷媒を圧縮して熱交換をして冷風を吹き出します。エアコンと違うのは排熱も本体裏側から吹き出すことです。よって普通に置いておくだけでは室内の全体の温度が下がることはありません。逆に本機の消費電力分の熱で部屋の温度は上がっていきます。これを避けるための方法を考えます
排熱ファンの位置は裏面下部
本体裏側の排出口から出た熱い空気をモバイルシャックに初めからあけてある同軸ケーブル貫通用のφ67の穴を通して室外に排出するように段ボール(笑)でダクトを作ってみました。これができたのがコンテスト開始2時間前でした。急いで積み込んで出かけます。
同軸用に開けたφ67の貫通部
完成した? 段ボールダクト
排気ダクトイメージ
移動運用地に到着したのはコンテスト開始30分前。今回はモノバンド参戦です。しかも組立にはこれ以上ないくらい時間がかからない設計のツインデルタループアンテナですからあわてることはしませんでしたが、それでもすべての準備が整うのにはある程度の時間がかかり21時を少し廻ってしまいました。昨年全市全郡コンテストで実績があるアンテナですからストレスなく交信を積み重ねていくことができました。
この段階で室内温度が30℃を超えてきましたのでスポットクーラーを稼働させました。吹き出し口からは室内温度より3-4℃低くなった風が出ます。またφ67の排熱口からは50℃近い空気がゆるく吐き出されています。消費電流は20Aを超えています。事前に自宅で運転させた時のリチウムイオン電池がDC13.4Vの状態で消費電流は16A程度でした。単純計算で215Wほどの電力を使っていました。熱排出がうまくいってないのでコンプレッサーの運転が厳しい状態になっていることが想像されます。
コンテストの方はこの日のうちに昨年の3エリア入賞局のマルチプライヤー数を超えることができました。特に6エリア方向に良い状態で宮崎県の局は終始良く聞こえていました。まずまずのコンディションのようです。
朝は涼かったのでスポットクーラーの出番はありませんが、お天気が良くて日が当たるとシャック内はすぐに30℃を超えてしまいます。昨夜よりシビアなコンディションでの運転にスポットクーラーから唸るような音がでてきました。その後DC12VをAC100Vにしているインバーターがトリップしてしまいました。継続して大きな電力が必要となり過負荷状態になったようです。この時点でスポットクーラーはあきらめました。
良いお天気に恵まれました
幸いこの頃から風が強く吹くようになって扉と窓を開けていれば風が抜けて気持ち良い感じになっていました。しかし次第に風が台風の時のように強くなりアンテナポールの取付けが不十分だったためアンテナ倒壊してしましました。
アンテナ自身は無事でしたがポールが破損してしまいました。残念ながらこの時点でコンテストはあきらめ帰宅することになりました。終了30分程前でしたが最後まで粘っていればもう少しポイントを稼ぐことができたかもしれません。
予期せぬ強風でアンテナが倒れてしまいました。コンテストについては不測の事態でもトラブルにならないよう十分に注意してアンテナ設営を実施しないといけませんね。
スポットクーラーについては設置条件の設定が甘かったようです。小さな冷凍サイクルだからとなめてかかっていました。対策を考えて安定稼働できるように改善し、ハムフェア移動の夜に熟睡できる環境を確立したいと思います。
コンテスト受付終了後掲示された提出スコアでは、残念ながら交信局数不足が災いし全国入賞は逃してしまった感じです。設営・戦法・空調など課題が多く残るコンテストとなってしまいました。特に空調は早急に改善していこうと思います。
それでは。
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