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テクニカルコーナー

旅行のお供 HFアンテナの製作(続編)

月刊FBニュース編集部

1. 製作コンセプト

前回、エアバリコンを使ったEFHW(End Fed Half Wave: 片端給電半波長)アンテナを紹介しました。それと前後して、エアバリコンの市場調達が難しくなり、「市場流通品の部品で作り、誰でも作れるようにしたい」というコンセプトを実現できなくなってしまいました。そこで、今回は別の方法で作れないかと考えて製作しました。

2. エアバリコンの代用

エアバリコン無しで、同様な動作を実現するにはどうすれば良いでしょうか。最近よく使われているリレー制御式のATU (Automatic Antenna Tuner)みたいに、固定コンデンサを切り替えしていけば良いかと考えました。

(1)コンデンサ
今回は、100pF程度の容量前後で可変することが出来れば良いので、コンデンサを4種類用意して、リレーで切り替えていきます。


※実際にはストレー容量がありますので、0にはなりません。

こんな感じで


このようにリレーでカチカチと切り替えます。

(2)切り替え
16進のエンコーダを使います。


ERD216RSZ DIPロータリースイッチ0~F(16ポジションタイプ) 正論理


(3)リレー制御
3Vのリレーを使います。


電池が切れた時にはリレーがOFFになってしまいますので、消費電流は増えますが電池残量があることを示すLEDも付けました。

3. 回路構成


基板は3部分に分けました。


校正ユニットの抵抗値は、以下のようにして求めました。VSWR=1.5はスミスチャート上では下記のようになります。


横軸は実軸になります。純抵抗で実現するには赤丸 左右の二つのポイントが存在します。今回、右の赤丸 75Ωにて実現することにしました。


同様にVSWR=3.0も行いました。今度はスミスチャート(紙)を使っての求め方を示します。


下のスケールに「SWR」があります。この3.0の位置から上方に直線を伸ばします。すると、実軸0.34で交差します。中心1.0にコンパスを置いて円を描きます。これがVSWR=3.0の円となります。この円は、実軸では3.0と交差します。

スミスチャート上では正規化インピーダンス表示となっています。そこで、正規化インピーダンスから実インピーダンス(今回は50Ω)変換すると


二つのポイントが存在します。今回は、左のポイント17Ωにしました。


部品表


4. 加工、組み立て

ケースを加工します。


穴あけを行います。

メインユニット組立 基板の組立を行います。


基板接続用コネクタ(白色)XHコネクタ(JST製)を使っていますが、直接ビニール線を使って引き出ししてもらって構いません。左上部分は、VSWR Bridgeになっています。


基板の裏側はこんな感じです。リレーに並列接続のダイオードは裏面に付けました。配線には、ポリウレタン線を使っています。

校正ユニット


表面に部品を配置します。高さ方向が十分に取れないので、全ての抵抗は寝かせて装着します。左手の白色コネクタを使わずに、直接線を引き出ししてもOKです。

5. 動作確認1 (中間動作確認)

ここで、リレーの動作と合成容量の確認を行います。(この項目は実施しなくてもOKです。)


メインユニットを組み込みます。GNDの線は配線しやすいように、ケースにあるスタンドタブに玉子ラグをタッピングネジ2.6mmφを使い固定します。ここにGND母線を這わせます。

電源を入れます。メインユニットの合成容量端子を容量計に接続します。


エンコーダを切り替えて容量変化を確認します。

エンコーダCAP:「0」


接続ケーブルが長く、容量のキャリブレーション行っていないので、マイナス容量になっています。

エンコーダCAP:「8」


73pF程度

エンコーダCAP:「F」


171pF 計算上179pFなので、大体OKです。

配線が間違っていないことを、エンコーダを回して行って順番通りに変化することを確認して完了です。

さて、消費電流はどうでしょうか。


エンコーダCAP=「F」(4個のリレーが全部ONの状態)

カタログ値よりも小さくなり、115mAでした。今回使用している単4サイズのアルカリ電池は容量としてざっくり700mAhありますので、6時間は持ちそうです。これならば、屋外にお出かけして運用するには十分でしょう。

6. 最終組み立て

L1を巻きます。


図のように巻いてください。


メインユニットへの配線を完了させます。


L1も隙間に組み入れます。

この上に、校正ユニットを裏向きで装着します。(スペースが無いため)


全体の組立イメージは以下の組立図となります。


7. 動作確認2

(この項目は実施しなくてもOKです。)
次項のエレメント調整前に、内部配線が正しく行われているか、アンテナアナライザー(AA-600)を使って見ていきます。

校正ユニット VSWR=1.5を見ていきます。横軸:周波数、縦軸:VSWR


14MHzまでは問題なさそうです。辛うじて21MHzまでは使えそうですが、50MHzでは2.3くらいになってしまいます。よって、実用になるのは、21MHz程度とした方が良さそうです。良くするには、抵抗及び配線を見直す必要があります。

VSWR=3.0


こちらも同様です。14MHz=3.11, 21MHz=3.34となりました。50MHz=5.1と高くて使えませんね。

次にブリッジ部分のVSWRを見ていきます。


こちらも同じ感じです。以上から、この機器で使える周波数はHF帯(上限28MHz)と云えそうです。

8. エレメント調整

前回14MHzで調整しましたが、やはり「7MHzで使いたい」という要望が多く、今回は7MHzで調整してみます。

今回、アンテナは下図のように張りました。


エレメントワイヤーは、グラスファイバーポールにテープで固定して沿わせます。エレメントの先で長さ調整をしていきますが、いきなりカットすると失敗した時に困りますので、エレメントを折り返しして、余った先端を折り返ししてテープで貼付けします。これにより、長さを合わせています。



お天気の日のアンテナ調整は気持ちがいいものです。空には雲がポカンと。緑の樹は栗の木です。これから花が咲きますね。


木漏れ日のもとでの作業です。オレンジ色のグラスファイバー製伸縮ポール(通線用ポール)を使っています。エレメントは、19mを準備しました。CAPを「8」中位にして、エレメントを調整します。



7.1MHzにてVSWR=1.09まで追い込めました。この時のエレメント長は17.84mでした。

9. まとめ

前回よりも小型で作ることが出来ました。実際の飛びに関しては、これから検証していくことになります。自由に屋外へ出ることが出来る時が到来したら試してみようと思っています。ぜひこれを使って、屋外から気軽にQRVしてみてください。

試しに、ホテルの窓からワイヤーエレメントを垂らして(但し、エレメントワイヤーが長いので6F以上でないと難しいです)。確認してみたところ、VSWRは1.7程度になりました。但し、飛ぶかどうかは別問題だと思います。

このアンテナは周囲の影響を非常に受けやすいので、注意してください。FBに使えることを期待しています。読者の皆様も、コロナが落ち着くまでは、自宅で電子工作を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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