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テクニカルコーナー

IC-7300でFT8モードを運用する

月刊FBニュース編集部

2017年12月号に掲載した「IC-7610でFT8モードを運用する」をご覧になった読者の方から、IC-7300での設定方法を紹介して欲しいというリクエストをいただきましたので、さっそく本稿で説明させていただきます。IC-7300においても、IC-7610同様、無線機とパソコンの接続はUSBケーブル1本のみでOKです。一人でも多くの方にFT8モードの運用を楽しんでいただけましたら幸いです。

事前準備

IC-7300とパソコンを接続する前に、パソコンにUSBドライバーをインストールする必要があります。

アイコムのホームページから、IC-7300に対応した最新版のUSBドライバー(2018年3月時点では、Ver. 1.20)をダウンロードし、あらかじめパソコンにインストールします。
http://www.icom.co.jp/support/download/firmware_driver/FrmDwn2.php?TYPE=%83A%83%7d%83%60%83%85%83A%96%B3%90%FC%8B@%8A%ED&CAT=%8C%C5%92%E8%8B@

次に、FT8を運用するためのソフトWJST-X(注1)を作者であるK1JTのホームページからダウンロード(2018年3月時点では、Ver. 1.8.0)して、パソコンにインストールします。
http://physics.princeton.edu/pulsar/k1jt/wsjtx.html

(注1) ご参考: 本稿執筆時点の2018年3月初旬では、「WSJT-X」以外に「JTDX」が評価版ながらFT8に対応しています。

もし、すでにWSJT-Xの旧バージョンを使用中であれば、同じフォルダーに「Ver. 1.8.0」をインストールすることで、最新バージョンが上書きされながら、リグコントロールなどの各種設定は以前のものがそのまま残ります。

接続方法

IC-7300背面のUSBポートと、パソコンのUSBポートを市販のUSBケーブルで接続します。


赤丸がUSBポート


市販USBケーブルの例
(回り込みなどを未然に防止するため、フェライトコア入りがおすすめ)

IC-7300に外部電源を供給した時点でパソコンがIC-7300を認識します。パソコンのコントロールパネルからデバイスマネージャーを開き、COMポートが有効になっていることを確認し、このCOMポート番号をメモしておきます。


この例では、COM6になる

IC-7300側の設定方法

今回は、USBケーブル1本でパソコンと接続して運用するため、USBポート経由の変復調を有効にするためなどの設定が必要になります。

まずは、SSB DATAモードを選択した際にUSBポートからの入力で変調がかかるように設定します。
・SETモード→外部端子→変調入力(DATA ON)と進み、「ACC」(初期値)を「USB」に変更する。

次にスタンバイ制御と周波数コントロールのためにCI-Vの設定を行います。

SETモード→外部端子→CI-Vと進み、
1. CI-Vボーレートを「Auto」(初期値)→「19200」に設定する。(19200は一例です)
2. CI-Vアドレスが「94h」(初期値)になっていることを確認する。
3. CI-V USBポートが「[REMOTE]と接続」(初期値)になっていることを確認する。

以上でIC-7300側の設定は終了。

WSJT-X側の設定方法

「WSJT-X」を立ち上げ、メニューの「File」→「Settings」と進み、「Settings」ウインドウの「General」タブを開きます。

自局のコールサインと、グリッドを入力します。その他の多くのチェック項目がありますので、必要に応じて設定を行います。

もし、内容がよく解らない場合は、上の画像の様に設定(ただしコールサインとグリッドは自局のものに)することで、とりあえず初歩的な運用は可能です。

つぎに、「Radio」タブを開きます。

1. Rigは、「Icom IC-7300」を選択。
2. Serial Portはプルダウンメニューに表示されるCOMポートを選択。(これはCOM6を選択した例) 先にデバイスマネージャーでメモしたCOMポート番号と合致しているかを確認。
3. Baud Rateは「19200」を選択。

その他のチェック項目などは、上の画像のとおりに設定すればOKです。

ここまでの設定が完了したら、右下にある「Test CAT」ボタンをクリックし、灰色のボタンが緑色に変わることを確認します。もし、赤色になってしまった場合は、CI-Vが動作していませんので、
・パソコン側では、COMポートの設定(デバイスマネージャー)を確認
・IC-7300側では、CI-Vアドレスやボーレートを確認

次に、「Test CAT」の右側にある「Test PTT」をクリックし、「Test PTT」が赤色に変わると同時にIC-7300が送信状態になればOK。(この場合、送信状態になるだけで変調はかかりません)
問題が無ければ、もう一度「Test PTT」をクリックして、受信状態に戻します。

最後に、Audioタブをクリックし、
1. Soundcard Inputが「マイク(USB Audio CODEC)」
2. Soundcard Outputが「スピーカー(USB Audio CODEC)」
になっていることを確認します。

その他にもSettingsウインドウには多くのタブがありますので、必要に応じて設定しますが、初歩的な運用だけなら、上記の設定だけでとりあえずOKです。

設定完了後は、必ず、ウインドウの最下段にある「OK」ボタンを忘れずにクリックします。

運用方法 (入門編)

1. IC-7300の電源を入れてから、パソコンでWSJT-Xを立ち上げます。
(注)上記の順番が逆になると、WSJT-Xにエラーが表示されることがありますのでご注意ください。先に無線機の電源を入れて、COMポートをオープンしておくとエラーは出ません。

WSJT-Xが立ち上がったら、WSJT-X画面上に表示される現在時刻が正確(誤差1秒以内を推奨)であることを必ず確認します。もし、誤差が大きい場合は、この時点でパソコン内蔵時計の校正を行います。

2. バンド選択プルダウンメニューから、運用するバンドを選択します。
(例) 14MHzで運用する場合は、20mを選択します。
すると、IC-7300の受信周波数が自動的に14.074MHzに設定されます。

3. IC-7300の運用モードをUSBに設定し、さらに、DATAボタンをタッチして、「USB-D」に設定します。

なお、IC-7300のSSB DATAモードのIFフィルター帯域(BW)は、初期設定状態で一番広帯域のFIL1でも1.2kHzですので、これを3.0kHzに変更します。(FILTERスイッチの長押しで設定)


BWを3.0kに設定した例 (FT8の電波を受信中)

4. IC-7300に適切なアンテナが接続されている状態で、選択したバンドがオープンしており運用局がいれば、デコード結果が左側のウインドウに表示されます。この後も15秒ごとにデコード結果が表示されます。

(以下は、ごく初歩的な運用方法のみ記載しています。実運用に際しては、参考書籍や関連WEBサイトなどで十分に情報を収集された上で運用されることを、おすすめします)

5. まずは、FT8運用局が、どのようにQSOを進めているか、ワッチしてみましょう。初めて送信を行う前に最低1時間程度はワッチに徹することをおすすめします。

6. CQを出している局のコールサインを、マウスで左ダブルクリックすると、自動的に送信が始まりますので、素早く、右下のPwrスライドバーを調整して送信出力を設定(注4)します。

(注4) WSJT-Xの初期設定では、出力ゼロになっているようですので、このスライドバーをある程度あげないと、電波が出て行きません。
なお、IC-7300本体の出力設定は、最大出力(100Wタイプの場合は100W)に設定しておき、このスライドバーを使って、運用時のコンディションに応じた適切な出力に設定されることをおすすめします。(出力はIC-7300本体のメーターで確認)

7. コールした局から上手く応答があると、15秒ごとに送信/受信を切替ながら、自動的にQSOが進んでいき、QSOが終わると送信が止まります。


E51BxとのQSOが終わり、次にR4CxとのQSO中の表示例

なお、QSO途中のメッセージが相手に届かない場合などは、その部分の送信が自動的に繰り返されます。

8. もしコールした局から応答がなく、再度CQを出された場合はTX1の送信が繰り返されますが、3、4回コールして応答が無ければ、こちらの電波が届いていないとか、先方にQRMがあってこちらの電波がデコードできないとかの要因が考えられますので、赤色になっている「Enable Tx」をクリックして灰色に戻し、コールをやめて様子を見てみましょう。

9. もしコールした局が別の局に応答してしまった(つまり呼び負けてしまった)場合は、その時点で自動的に自局の送信は止まります。

10. うまくQSOが完了した場合は、(必要に応じて)、[Log QSO]ボタンをクリックし、QSOをWSJT-Xのログに書き込みます。

(参考) このログは、受信(デコードした)局が以前にQSO済みかどうかの判定にも使用されます。

以上で、今回の説明を終了いたします。

2017年7月に登場したFT8モードは、すぐに人気に火がつき、今や世界中の局がオンエアしていますので、バンドさえうまく選べば、昼夜を問わずFT8モードでのQSOが可能です。まだ始めていらっしゃらない方は、ぜひ一度ワッチだけでも試してみて下さい。


受信局のスペクトラムが観察できるWide Graph画面
(Bins/Pixelを4、Startを0Hz、N Aveを1に設定した例)

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