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テクニカルコーナー

IC-705でターミナルモードを楽しむ

JK3AZL 高岡奈瑞

IC-9700同様IC-705にも「内蔵ゲートウェイ機能」が搭載され、自宅でも移動先でも手軽にターミナルモードが使えるようになりました。今回はIC-705の内蔵ゲートウェイ機能でターミナルモードを楽しむ方法について解説します。


IC-705のDVゲートウェイ画面。

DVゲートウェイ機能

DVゲートウェイ機能とは、D-STARレピータを使わずインターネット回線を介してD-STAR網でのゲートウェイ通信を行うことで、「ターミナルモード」と「アクセスポイントモード」2つの運用方法があります。従来は、無線機とAndroid端末やWindowsパソコンをデータ通信ケーブルで接続する必要がありましたが、「内蔵ゲートウェイ機能」が搭載されたIC-9700やIC-705は、無線機をインターネットに接続することで、手軽にDVゲートウェイ機能を楽しめるようになりました。


IC-9700とIC-705のMENU②画面。[DV GW]機能が搭載されている。

IC-705でインターネット接続するには

LANケーブルを差し込んでインターネットに接続するIC-9700やIC-7610などと異なり、IC-705はワイヤレスLAN(以下WLAN)でインターネットに接続します。


IC-705の無線LAN部定格。IEEE802.11b/g/n準拠。

WLANが利用できることで、さまざまな場所からターミナルモードが運用できそうです。

◎IC-705に接続可能なWLAN(例)
・自宅のWi-Fiブロードバンドルーター
・LTEモバイルルーター/LTEホームルーター
・スマートフォンのテザリング機能
・公衆無線LAN/ホテルなどのWi-Fi接続サービス

ただしWLANに接続できても、インターネット環境がターミナルモードに使えるかどうかを確認する必要があります。次の項目で、インターネット環境の確認を行ってください。

ターミナルモード運用ができるインターネット環境か確認する

無線機に接続するインターネット回線がターミナルモードに適しているかどうか? を事前に確認します。確認は下記の図を目安にしてください。


ターミナルモードをに使うインターネット環境の目安。

IPv4接続できるインターネット環境であれば、ほぼターミナルモードの運用が可能です(注1)。さらにグローバルIPアドレスが払い出されている環境であれば、ルーターのポート設定やフィルタリング設定等も行うことで、待ち受けも含めたターミナルモード運用が可能になります。

(注1) IPv4のIPアドレスが払い出されていても、ターミナルモードに適さない環境もあります。

回線事業者やルーターのメーカーによっては、ルーターの設定をお任せできるサービス(訪問サービス含む)を設けている場合もあるので、ルーターの設定に不安がある場合はサービスを利用するのも良いでしょう。

《有償サポートサイト》
・NTT東日本リモートサポートサービス
https://flets.com/osa/remote/

・NTT西日本リモートサポートサービス
https://flets-w.com/opt/remote_support/

・バッファロー(BUFFALO)訪問設定サービス
https://www.buffalo.jp/service/category/detail/settei.html

・アイ・オー・データ(I-O DATA)訪問設定サービス
https://www.iodata.jp/support/service/onsite/

・プラネックス(PLANEX)出張サポート
http://www.j-pcs.info/planex/

(A)(B)共通設定 インターネット(WLAN)接続

LANケーブルを挿すことでインターネット接続できるIC-9700に対して、IC-705はWLANに接続するための設定が必要です。


IC-9700はLANケーブルを挿すだけでインターネットに接続できるが、IC-705はWLAN設定が必要。

◎IC-705の設定
[MENU]>[SET]>[WLAN設定]メニューより
・[WLAN]→「ON」に変更
・[接続設定]>[アクセスポイント一覧]
→接続するアクセスポイントを選択
→パスワードを入力して《接続》をタッチすると、WLAN接続を開始します。


IC-705のWLAN設定画面。


アクセスポイントに接続中。接続が完了すると「接続済み」に表示が変わる。

(A)(B)共通設定 ゲートウェイコールサイン

ターミナルモードを運用する場合、無線機に設定する「自局コールサイン」の他に「ゲートウェイコールサイン」を設定します。


コールサインの設定ルール。

ゲートウェイコールサインは、コールサインと8桁目にA~Z(G,I,Sを除く)の識別符号を付加します。コールサインと識別符号との間は半角スペースで埋めておきます。


ゲートウェイコールサインの設定例。

◎ゲートウェイコールサインの設定
[MENU②]>[DV GW]>[DVゲートウェイ]メニューより
→[内蔵ゲートウェイ]>[ゲートウェイコールサイン]画面で登録します。


ゲートウェイコールサイン設定画面。コールサインと識別符号の間は半角スペースで埋めておく。


ゲートウェイコールサインが設定された様子。

設定(A): UDPホールパンチ機能を使った運用

UDPホールパンチ機能(注2)を使ってターミナルモードを運用する場合、ルーターの設定は不要です。公衆無線LANやホテルなどのWi-Fi接続サービスを利用する場合も、UDPホールパンチ機能を使います。

◎IC-705の設定
[MENU]>[SET]>[WLAN設定]>[接続設定]>[DHCP]
→「ON(初期値)」を選択
[MENU②]>[DV GW]>[DVゲートウェイ]メニューより
→[ゲートウェイ選択]→「内蔵ゲートウェイ(WLAN)(初期値)」を選択。


「内蔵ゲートウェイ(WLAN)(初期値)」を選択する。

[MENU]>[DV GW]>[内蔵ゲートウェイ設定]メニューより
→[UDPホールパンチ]→「ON」を選択


内蔵ゲートウェイの設定が終わった様子

(注2) UDPホールパンチ機能
ルーターのポート開放ができない場合やグローバルIPアドレスが割り当てられていないIPv4のインターネット環境でも、ターミナルモードやアクセスポイントモードで呼び出した相手からの応答を受信できる機能。

《参考資料》
・ターミナルモード/アクセスポイントモード専用ソフトウェアのUDPホールパンチ対応
http://www.fbnews.jp/201906/technical/index.html

・UDPホールパンチ対応について
https://www.icom.co.jp/support/manual/2339/


UDPホールパンチ機能を使ったときの通信。送信に対する応答は受けられる。

設定(B): 待ち受けを含むターミナルモード運用

設定(B)では待ち受けを含めアクティブにターミナルモードを楽しめますが、ルーターの設定やIPアドレスの固定など、ある程度のネットワーク知識が必要です。ルーターに誤った設定を行うと、最悪の場合は自宅の電話やインターネット接続が使えなくなってしまうため、不安のある方はUDPホールパンチ機能を使って運用するか、回線事業者やルーターメーカーの有償サポートを受けることをお勧めします。

《設定(B)に必要な作業》
・無線機のIPアドレスを固定する
・ルーターでインターネット側(外部)からのアクセスを許可し、宛先を指定する。

無線機にはルーター接続可能なIPアドレスを指定しますが、DHCPで付与される範囲外のIPアドレスを指定しておくと、万が一のIPアドレス競合の心配がなく安心です。


無線機にIPアドレスを固定する場合の設定。(IC-9700活用マニュアルより)

◎IC-705のIPアドレスを固定する
[MENU]>[SET]>[WLAN設定]>[接続設定]メニューより
・[DHCP]→「OFF」を選択。
・[IPアドレス]→ルーターに接続可能なIPアドレスを設定。
・[サブネットマスク]→通常は「255.255.255.0」を利用。
・[デフォルトゲートウェイ]→通常はルーターの「LAN側IPアドレス」を設定。
・[プライマリDNSサーバー]→通常はルーターの「LAN側IPアドレス」を設定。


無線機のIPアドレスを固定する場合は、DHCPをOFFにする。


ルーターのLAN側アドレスが「192.168.11.1」の場合のIPアドレス設定例。
最後の数字をDHCPで付与されるIPアドレス範囲外にしておくと、IPアドレス競合の心配がない。


デフォルトゲートウェイ設定(例)。ルーターのLAN側IPアドレスを設定する。


プライマリDNSサーバー設定(例)。ルーターのLAN側IPアドレスを設定する。


IC-705のWLAN接続設定が終了した状態。再起動すると設定が有効になる。

IC-705を再起動すると、登録した接続設定が有効になります。

◎ルーターを設定する
インターネット側(外部)からのアクセスを許可してIC-705を宛先にするために、ルーターに下記の設定を行います。

・外部からのアクセス許可として「40000番ポート」を開放。
・開放するポート番号のプロトコルに「UDP」を指定。
・ポートの宛先に「IC-705に設定したIPアドレス」を指定。

ルーターの[静的IPマスカレード設定]や[ポートマッピング設定]などの項目で上記を設定しますが、項目名や設定方法はルーターによって異なります。詳しくはルーターの取扱説明書を参照してください。設定に不安がある方は、回線事業者やルーターメーカーの有償サポートをお勧めします。


スマートフォンのテザリングでもターミナルモードが楽しめる。

FAQ

Q: D-STARの識別符号に使えるアルファベットが「A~Z(G, I, Sを除く)」とされていますが、「A~F」ではないのですか?
A: D-STAR管理サーバーの登録条件が変わり、「A~Z(G, I, Sを除く)」まで使えるようになりました。

Q: スマートフォンのテザリングをターミナルモードに利用できますか?
A: IPv4に対応した回線であればターミナルモードに利用できます。

Q: ターミナルモードで運用しているのに、D-STAR管理サーバーの運用ログには「アクセスポイント」と表示されます。
A: 「レピータコールサイン以外」は「アクセスポイント」と表示されます。

Q: ターミナルモードでTOに設定したレピータをワッチできますか?
A: できません。離れた場所にあるレピータをワッチするには、dmonitorなどを利用してください。
《参考資料》
・Raspberry PiでエリアCQ先のレピータ音声をモニターする、dmonitorの製作
http://www.fbnews.jp/201907/technical/index.html

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