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今月のハム

VR2XMC Johnny Siuさん

香港からオンエアしているVR2XMC Johnnyさんが初めてアマチュア無線に興味を持ったのは、12歳の頃だった。当時よく遊んでもらっていたいとこのお兄さんに、ある日おもちゃのトランシーバーを手渡され、「この機械を使えば離れていても簡単にお喋りができるんだよ」と教えてもらい、以来夢中になって遊んだそうだ。

中学生になってからも、おもちゃのトランシーバーでよく遊んでいたそうだが、そんな彼を見た担任の先生が彼にアマチュア無線の魅力について詳しく教えてくれた。アマチュア無線が、国境を越えて様々な人と遠距離通信ができ、人脈を広げられる素晴らしい趣味であるということを聞いたJohnnyさんは、免許取得を決意。当時の香港は未だ英国領だったため、アマチュア無線の試験は全て英語で行われていた。香港では小学校1年生から英語を学ぶそうだが、中学生にとっては試験に出題される英語を理解するのが難しかったそうで、やむなく受験を断念したそうだ。

18歳になった頃アマチュア無線の試験に再チャレンジし、無事に合格することができた。すぐにでも運用したいとの思いで急いで免許申請について調べていると、英国の法律では21歳にならないとアマチュア無線を運用できないということが判明した。国家試験に合格したにも関わらず、実際の運用ができないというのはとても悔しかったそうだ。3年間の我慢の末、晴れて21歳でVS6XMCを開局し、中学生の頃から憧れ続けたアマチュア無線家になれたその喜びは一入だったという。当時の香港ではコールサインのプリフィックスがVS6であり、1997年に香港が中国に返還された後VR2に変更されたため、Johnnyさんの現在のコールサインはVR2XMCである。現在は法律も変わり、国家試験に合格すれば何歳からでも運用ができるそうだ。VR2XMBのコールサインを持つJohnnyさんの息子は、16歳から立派なアマチュア無線家として活動している。


16歳の時に免許を受けた、VR2XMBのコールサインを持つJohnnyさんの息子

Johnnyさんの初めてのリグはIC-2ATだった。大学生にとっては高価なものだったが、Johnnyさんはアルバイトをしながら貯金をして手に入れた。「40年が経過した今でも少しずつ修理をしながら使い続けることができています。アイコム製の無線機は、質の高い、良いものが多いです。大学生にとっては贅沢な買い物となってしまいましたが、後悔はしていませんよ」と話してくれた。

88歳の母親の介護のために、現在アマチュア無線はアクティブに運用していないそうだ。かつてよく運用していた頃は、IC-7610を使いSSBモードでオンエアするのが好きだったという。コンテストに参戦したり、世界中の友人とラグチューを楽しんだりもした。最近は21MHzや28MHzバンドがお気に入りだそうで、高層マンションにお住まいのJohnnyさんは46階の窓からモービルアンテナを出している。アンテナの地上高は約150メートルにもなるため、モービルアンテナのような簡易的な設備であっても非常によく飛ぶそうだ。また、過去には海外交信にも力をいれており、これまで100エンティティを達成している。香港からは届きにくいイーストコーストとの交信が特に楽しかったそうで、「交信できるかできないか毎回わからない。そのドキドキ感こそアマチュア無線の醍醐味ですよね」と話す。


「アナログ無線機としてはIC-7800と比較しても負けず劣らずのIC-781です」


「友人がエレクラフト社のK3とIC-7700を持ってきて、IC-7800と並べて運用をしました」


窓から出した、21MHzと、28MHzバンド用モービルアンテナ

Johnnyさんは、香港アマチュア無線協会(HARTS)が主催するチャリティイベントにも参加している。同協会は、アマチュア無線の普及のために定期的に無線機の展示、セミナー、協会のクラブ局VR2HKを使用した運用等のイベントを開催している。JohnnyさんはかつてIARU Region 3総会のHARTS代表を務めたこともあり、2012年と2015年の計2回総会に参加した。教育のためにも防災のためにも役立つアマチュア無線は優れた趣味であり、HARTSの活動を通して一人でも多くの香港の若者にその素晴らしさを知ってもらいたい、と啓蒙活動に勤しんでいる。


ユニセフのチャリティマラソン大会にて。HARTSは無線通信サポートを行った


飢餓のない世界を目指す慈善団体 “Oxfam”のチャリティマラソン大会にて。無線通信サポート中のJohnnyさん

これまで一番印象に残ったQSOについても教えてくれた。太陽活動が活発であった2000年の頃、良好な電波伝搬状況でアマチュア無線を存分に楽しんでいたJohnnyさんは、無線人生において忘れられない体験をすることとなった。ある日の午後、彼はロッドアンテナを付けたハンディ機を片手に50MHz帯をワッチしながらバスルームでくつろいでいた。すると突然、サウジアラビアの局からの信号が入感した。びっくりしたJohnnyさんは慌ててマイクに向かって自分のコールサインを叫び、結果、無事にQSOは成立。「まさかこんなハンディ機でサウジアラビア局とQSOできるなんて思ってもみませんでした」と当時を振り返り嬉しそうに語ってくれた。また同年、丘の上で仲間たちと144MHz SSBでフィールド運用を楽しんでいると、偶然にも日本の局との交信に成功した。「こちらも人生で一回あるかないかの経験だったので、本当に嬉しかったです」と話す。

いつもはアマチュア無線の情報をQST誌から収集しているそうだが、かつては日本のCQ誌も読んでいた。日本語は理解できないが、漢字からおおよその意味を推測して読むのが楽しかったそうだ。またJohnnyさんには日本にもたくさんハム仲間がいて、東京ハムフェアやAPDXCの際はほぼ毎回来日して、交流を楽しんでいる。

最後に彼の将来の夢について聞いた。不動産業を営むJohnnyさんは、副業として大学で非常勤講師としても働いており、不動産ビジネスについて教えている。来年60歳になり、現在の不動産業をリタイヤするということだが、定年退職後も若い世代との交流を続けたいそうだ。「若い人との交流は刺激になりますよね。これからも非常勤講師は続けたいですし、HARTSのボランティア活動を通してまだまだ色々な人と出会いたいと思っています。世界中で大変な状況ですが、一日も早くこの状況が改善すること、そしてハム仲間とアイボールで無線談議に花を咲かせられる日がくることを心から願っています。」と締めくくった。

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次号は 10月1日(木) に公開予定

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