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アパマンハムのムセンと車

第2回 乗用車でのマルチバンド運用を考える

JF1KKT 横田勝彦

今回は乗用車でHFからUHFまでを運用するスタイルを紹介していきたいと思います。

設置のコンセプト

まず、設置するに当たって、コンセプトを決めておきます。

私の場合、
(1) 車両に大きな改造をしないこと
(2) 仕事柄、他人を乗せることもあるので、見栄えをよくすること
(3) 電波が飛ばないと面白くないので、飛びも考えること
(4) HF帯から430MHz帯までの運用を可能にすること
以上をコンセプトとしました。

手軽に運用するなら、IC-705のようなコンパクトなマルチバンド機が最適ですが、10W機であるために、(3)の条件に引っかかります。このような点から、今回はIC-7100Mを選びました。これで移動運用としての最大パワーである50Wで運用が可能になります。

また、セパレートタイプのマルチバンド機であるため、(2)と(4)も満足させられます。意外に見落としがちなのが、セパレートタイプを使うことにより、同軸ケーブルの長さを短くできる点です。今回はトランクのある車両で、トランク内に無線機本体を、またアンテナはトランクリッドに設置することにしました。


トランクリッドに設置した、IC-7100M

これで同軸ケーブルは2m程度に抑えられます。今回の写真では、手持ちの材料を使ったので同軸ケーブルがちょっと余ってしまいました(後で短くしますhi)。

アンテナの取り付けのコツ

最近の車はトランクとボディの隙間が狭いので、3D-2V程度でも難しくなっています。ですので同軸ケーブルは細い物を短くして使うことが求められます。今回は手元にあった2D-LFB-S(外径3.9mm)を使った第一電波工業製のケーブルセットを使いました。長い物を買って後から切り詰めるのは面倒なので、取り付け前に実際の長さを測ってから購入されるのが良いと思います。ちなみに上の写真の状態は3m物の状態です。


トランクリッドに設置した、IC-7100M

144MHz帯や430MHz帯は、ノンラジアルタイプのアンテナが数多く出回っていますので、それらを選べばアースについては気にする必要はありません。しかし、50MHz帯以下のバンドでは、ほとんどのモービル用アンテナがアースを必要としています。実際にボディアースはキズを付けないように取るのは難しいので、写真のようなマグネットアースシートをボディ側に貼り付けて使います。この状態だとトランクの開閉は出来ないので、普段はHF帯のアンテナは外しておくか、トランクリッドに載せておくようにします。


ボディに貼り付けたマグネットアースシート

同軸ケーブルの固定には、結束バンドを使います。外に使う部分は耐候性を考慮した製品が良いと思います。私はヘラマンタイトン製を使っています。

アンテナを支える基台ですが、HF帯の運用、特に前回紹介した5mのロッドアンテナによる運用を考慮し、出来るだけ大型でしっかりしたものを選びます。私は第一電波工業製のK400を使いました。


第一電波工業製のアンテナ基台 K400

取り付け時にセットビスによるキズを防ぐ保護板が付属していますが、今回はトランクリッドの厚みの関係と、少しでもアースを取りたいという意味で使用していません。ですので、錆が出てくる可能性がありますので、取り付け後、タッチアップペイントで保護しておくほうが良いでしょう。

このアンテナ基台には角度調整(車両の前後から見て左右方向)が可能です。少しでも危険を避ける意味でも、アンテナが車両の外側に行かないように、ややボディ中心寄りに傾けて取り付けます。


ボディ中心寄りに傾けて取り付け

角度調整や、基台の位置決めには、実際にアンテナを付けて行ったほうが良いです。トランクを開けた時にボディにアンテナが接触しない位置で、トランクの開閉に支障がなく、できる限りボディから離れたところを選びます。

アンテナが準備出来ましたら、次は電源の配線です。

プロに任せてしまった電源ケーブルの引き込み

今回の一番の難関は電源ケーブルの車内への引き込みです。

最近の車は、騒音防止やエアコンの効きを良くするために、エンジンルームと室内の隔壁が厚くなっています。そのため、安易に電源ケーブルを引き込めなくなっています。

今回の例では、エンジンルームのバッテリーから、フロントフェンダーの隙間を通し、ドアについているパワーウィンドウなどの配線が通っているゴムキャップに穴を開けて引き込みました。


フロントフェンダーの隙間を通した電源ケーブル

室内に引き込んでからは、フロアマットの下を通してます。この車はリヤシートが倒れてトランクスルーになる構造になってます。そのため、トランクスルーの隙間から電源ケーブルとIC-7100Mのコントローラーケーブルを通しました。

電源コードはIC-7100M付属の物では長さが足りないので、一回り太いケーブルをホームセンターで調達して使用しています。このときに、バッテリーのすぐ近くにヒューズを入れることをお忘れなく。ヒューズはプラス側、マイナス側の両方に入れることをおすすめします。

電源はパワーの源(みなもと)です。ヒューズボックスから分岐させて取るケーブルが市販されていますが、ハンディ機ならいざ知らず、昨今のトランシーバー(特にHF帯)の消費電力の多さを考えると、とてもおすすめ出来ません。とはいえ、素人作業では難しいところもあります。

そこで今回は、材料はこちらで用意した上で、近所の整備工場に依頼しました。本来なら、電装屋さんといわれる、車の電気関係専門の整備工場に依頼するのがベストです。若しくはカーオーディオ専門店でも良いと思います。電装屋さんやカーオーディオ専門店なら、ケーブルもヒューズも用意できると思います。

「配線をしてしまうと乗り換える時に面倒」という意見があります。そういっている人に限って、10年乗り続けたりします。10年乗るなら、お金をかけて配線しても、十分にモトが取れると思います。

室内の取り付け

今回使用するIC-7100Mですが、セパレートタイプなので、室内への取り付けは容易です。しかし、コンセプトの(1)と(2)を考慮して、今回は固定せず置いておくだけにしました。

ちょうどドリンクホルダーの部分に、うまい具合にはまりましたので使う時だけ乗せています。使わない時はセンターコンソールに収納しています。ドリンクホルダーを使う時は助手席に置いています(助手席に人を乗せる時は無線をしないので問題なしhi)。


センターコンソールに固定する方法も考えましたが、操作性を考えると取り付け場所がないことがわかり、今回はこのようにしました。室内取り付けに関しては、今後の課題にします。

今回の取り付けでわかった問題点・課題

電源はバッテリーから直接取ったため、イグニッションキーとトランシーバーの電源のオン・オフが連動していないので、バッテリー上がりの危険性があります。IC-7100Mにはオートパワーオフ機能がありますが、他機種ではないものもあるため注意が必要です。対策としてはシガーライターソケットから電源を取り、電源ケーブルの途中にリレーを入れる方法があります。

さらにこの考えを発展させて、前回紹介したアイソレーターを使って、サブバッテリーをトランクに搭載する方法です。この時のサブバッテリーは、シールドタイプの完全密閉型が良いと思います。多少でも充電中に有害なガスが発生するので、健康とバッテリー転倒時のことを考えれば完全密閉型がベストです。こうすることで、エンジンを切ってバッテリーで運用しても、メインバッテリー上がりを気にすることなく運用できます。

それと室内のコントローラー部分の固定方法、これも操作性を考えながら、もう少し検討したいと思います。

おまけ

最近は移動運用中もノートパソコンでログをつけたり、FT8等のデジタルモードでの移動もごく当たり前になってきていると感じています。

そこで、ネットで探していたら写真のようなハンドルに取り付けて使うテーブルを発見しました。実際にノートパソコンを乗せて使ってみましたが、自宅のシャックとは高さが違うので、慣れるまでちょっと使いにくかったですhi
https://store.shopping.yahoo.co.jp/raidou/919cer-handle-table-knt.html

でも慣れたら結構使えるな、というのが感想です。



ハンドルに取り付けるテーブル


ノートPCをおいても大丈夫

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