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おきらくゴク楽自己くんれん

その19 軽トラック荷台に載せる移動運用シャックを作る-5

JF3LCH 永井博雄

皆さん、こんにちは。製作途中の軽トラック荷台に載せる移動運用シャックですが、8月には未完成ながら高速道路走行に対応する応急措置を施して、ハムフェア会場まで耐久試験を兼ねて走行に挑戦しました。事故もなく無事に帰還することができて移動用シャックの耐久性を実証できました。

移動運用を行うにはまだ装備ができていません。壁など基本的な内装はまだなので少しずつ充実させるための作業を進めて実際に移動運用ができるまでのお話です。


初移動運用時のシャック内部

1. ハムフェアより帰還後の感想

帰宅後、筐体の状態や雨漏りのチェックを行いました。内部は保温材(スタイロフォーム)がむき出しの状態で雨水などの侵入があれば分かりやすい状態です。幸い室内のどこにも濡れている箇所はなく、また柱や床の隙間などにも特に異常はありませんでした。短時間ではありましたが結構強い雨の中の走行もありましたので、浸水が確認されなかったことは一定の性能を確認できたということで自信につながりました。

実際に高速のサービスエリアで睡眠をとった時の感想ですが、調べもしないで防音性能を期待していたスタイロフォームは実はほとんど防音できないようで、就寝時には周りの騒音がうるさく聞こえて気になるものでした。ネットで調べると確かに防音性能はないとされていました。しかし移動運用であればそれなりに静かな場所での運用がほとんどでしょうからそれほど問題ないと思われます。

逆に室内で大声を出したりすると、近くでは丸聞こえになりそうなので注意が必要です。運用場所の近くに人がいる状態で、受信時スピーカーの音量などには注意が必要だと感じました。

2. 天井と室内LED照明

帰宅後のチェックでは特に異常は見つからなかったので、予定の作業を進めて行くことにしました。まず天井板を貼る作業と並行して照明器具の仕込みをします。天井板は厚さ4mmのラワン材を使いました。

板を貼る作業が一人ではなかなか難しく、両手と頭を使って板が落ちないように足で道具を上げ下げしたりして、ちょっとしたアクロバットみたいになっていました。見ている人がいたらさぞかし滑稽な光景だったでしょう。あとで教えてもらったのは、トンボと呼ばれるT字形に組んだ道具を作って作業するものだということでしたが、後の祭りでした。そしてこの作業が後の作業に大きな影響を与えることになります。


左: 通常灯3Wのみ点灯 右: 通常灯3Wとルームランプ13W両方を点灯

照明はいずれも自動車用にネットで売られている12V用LEDを使いました。丸いのが3Wの埋込型で電球色のものです。スイッチを入れると丸形3Wが点灯し、さらに明るさが欲しい時には長方形の13Wのランプ本体についているスイッチを入れると室内は昼間のような明るさが得られます。

3. 無線機用(DC13.8V)配電盤と外部電源取り入れ

この移動シャックで使う電気は全てDC13.8Vで賄おうと考えています。どうしてもAC100Vが欲しい場合は外部からケーブルで引き込みにすればいいと考えています。

最近アウトドアで手軽に使える電源装置として話題のポータブル電源は、まだまだ価格が高いですし内部で発するノイズも気になるので使わないことにしました。たとえ普通の交信に支障がないレベルのノイズでもいつか弱い信号の時に影響すると考えたからです。

ポータブル電源等に採用されているスイッチング回路ではデバイスの動作点・周波数が負荷状況や温度などで変化するので、短時間のチェックで影響がないからといって使い続けるとノイズが増えてきたりして後悔することになりかねません。

バッテリーのサイズが大きい場合、室内に置くにはスペース的に苦しくなりますので、外に置いた移動専用バッテリーや荷台の下にある軽トラック自身のバッテリーにつなぐことができるようにバッテリークリップを付けたケーブルを用意し、壁に穴をあけて引き込むことにしました。


穴をあけるには少しの勇気が必要


穴の左のケーブルは天井照明LEDへ

運転席に近い側の壁には9mm厚のOSB合板と呼ばれる板を使い配線と同時作業となりました。この合板は木材のチップを接着剤と混ぜて熱圧成型した板で、表面のチップが見た目の特徴を醸し出すので手を加えなくてもオシャレな感じになります。少し重いですが面積の少ない方の面の壁なので、この程度ならシェル全体の重さへの影響も少ないでしょう。

本体前にあけた16mmの穴と付ける前に壁にあけた穴の位置がぴったり合ってくれたので比較的スムーズの作業が進みました。


外部電源ケーブル入線と壁貼り作業を同時に施工

雨水が侵入しないようにアンテナ作り用に購入して余った板や水道用塩ビ管(VP13)とエルボを使いました。


雨水が侵入しないようにケーブルは下向け


バッテリークリップを取付

室内に入った電源ケーブルは、直接100均ショップで購入したプラスチックケースで作ったオリジナルのヒューズ付分電盤に入り複数のリグに分配できるようにします。


外部電源ケーブルを直接盤内へ

今回使用したケースは、フタは普段閉まっておりノッチで止まり閉まるので開くのも簡単ですからメンテナンスも容易です。万一ガラス管ヒューズ(30A)が飛んでも道具なしでフタを開けて交換することができます。


100均ショップで購入のプラスチック箱


陸軍ターミナルを3組・側面には照明用スイッチ

外にバッテリーを置かなくても、盤面にある3組の陸軍ターミナルの一つに室内に置いてあるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーなどをつなげば、その電源での運用も可能になります。以前の記事で、軽自動車でリチウムイオンバッテリーを走行充電するのに使った、理想ダイオードを盤内に設け室内にバッテリーを盤つないだ状態の時室外バッテリー端子に逆流するのを防ぎショートを防止します。

配電盤ケースが安くついたのでこの電源システムは、低コストで想定以上のレベルになって満足しています。

4. 体調に異変が・・・

天井に板を貼った翌日に体のあちこちに発疹ができました。次第にかゆくて仕方なくなってきました。生まれてこの方このような経験はなかったのですが、かゆい部分に市販薬のかゆみ止めを塗って耐えていましたが頭皮や胸・首・脇腹などが腫れてきて病院に行き診てもらうと、先生から「アレルギーですね、何か変わったものを食べたのですか?」と聞かれました。

特に変わったものを食べた記憶はなかったのですが、しばらくしてピンときたのが天井板作業に板を頭で押さえた作業です。この時に頭皮の腫れ方が尋常ではなかったのでラワン材製造の時に使われている接着剤が体に合わなかったのか? と考えるようになりました。

普段は髪の毛に守られている頭部の皮膚にラワン板が触れたのが原因なのではないかと考えるようになりました。なんでも診てくれる近所の病院では詳しくは調べてくれなかったのですが数日分のお薬をいただいて帰りました。

それから数日後、少し調子が良くなってきた頃にシャック内に入り作業をすると、また発疹が出てきました。気のせいかも知れませんが天井の板材がアレルギーの原因である可能性が高いので、これ以上のラワン材の使用は避けた方がいいと判断しました。

内壁には天井に使った物と同じラワン材を貼ることにしていました。もし壁にこの板を使い、室内に入るとジンマシンが酷くなり移動運用ができなくなるようでは困ります。使用する予定のラワン材は購入済みでしたが、新たなアレルギーをおこさない材料を探さなければならなくなりました。

ホームセンターで代替の材料を探していましたが、確実にアレルギーにならない材料を探すのは難しいことです。そんな時ふと目に留まったのが、工事などの養生に使われる「プラダン」と呼ばれる樹脂でできた段ボールでした。それなりの強度で価格も大変安く、アレルギーの心配も少なそうです。普通ならありえない選択とは思いましたが時間もないので思い切ってプラダンに賭けてみることにしました。


左半分が避難的に採用した養生用半透明のプラダン

早速試しに貼ってみました。薄いのでカッターナイフで簡単に切ることができ短時間で完成しましたが、ネジ留めが少ない部分はピッタリにならずふくれたりする部分ができました。やっぱり材料としては適当ではなかったようですがとりあえずしばらくこの状態で使ってみることにしました。

5. 同軸ケーブル取り入れ口

室内に同軸ケーブルを通す部分にはエアコン用の配管キャップ(67mm)を使うことにしました。これを使えば保管時や走行中はネジ式のフタをしておくことができます。67mmもあれば太い同軸を何本も通すことができる余裕が生まれます。


エアコン配管用キャップ 67mm


キャップを当ててケガいた円に沿ってドリルで穴あけ


フタの開閉が容易にできるよう専用キー? も製作

キャップのフタは締め切っていると固く手ではあけにくいので、4ヶ所ある引掛け部分に合うサイズの板を作り、専用キーを作りました。板をフタ表面の引掛けにかかる様に当てて回して開閉します。キー紛失防止のために余っていた目立つ黄色のラッカーを塗りました。室内側用に別売で手でかぶせるタイプのキャップが売られています。

6. 室内その他

室内の壁に使ったプラダンは半透明でスタイロフォームが透けて見えていますので、質感は全くありません。ラワン材の場合でも無地板のままでは愛想がないので当初から100均の「リメイクシート」と呼ばれるシール式壁紙(45×90mm)を貼る予定でした。購入時は特別セール中で1枚増量セール品がありましたので大変ラッキーでした。今では1枚100円(税別)で売られています。シール式で面積が大きいものですから貼りにくく、ところどころシワだらけになってしました。実際に近くで見るとシワシワで残念な感じがしています。幸い写真では目立たないようなので記事の上では問題が大きくないと思い、ホっとしています(笑)。


リメイクシートというシール式壁紙

リグやPCを置くテーブルは、折りたたみ式金具を使用走行時にたためるようにしました。

板は加工がしやすい桐板です。350×900mmで厚さ13mmの物の角を丸め油性ニスを塗りました。電源・同軸などケーブルを通す部分も考慮して切り欠きを入れておきました。板厚が足りずテーブルに手をついたりするには少々剛性が不足しているようです。もう少し厚い板を使うべきだったかも知れません。


折り畳み式棚受け金具


テーブルの取付けが完了

ある程度見かけも良くなったところで、シャック内に滞在しても体に異変がでることも少なくなりました。時間の経過とともに体が慣れてきたのか、原因成分が拡散したのかわかりませんが、あまり気にしなくても運用ができそうな感じになりました。


壁との間に同軸・電源線などを通すスペースを確保

この時点で全市全郡コンテストの1週間前となっていました。予定ではシャック外部に各種アンテナを立てる工夫を施す予定でしたが、良い取り付け方が見つからず間に合いませんでした。いきなりコンテスト使用では厳しいのでテスト運用することを考えるとギリギリの期限いっぱいの内部完成となりました。

7. いよいよ移動運用テストを実施

最低限移動運用が出来る装備が整い、実際に移動運用ができる状態になりました。この試みがスタートしてから5ヶ月もの時間が経ってしまいましたがいよいよ初出動です。

目指す初運用地は比較的家から近く、行き慣れた今年のQSOパーティーで最終日に運用した奈良県宇陀市の山にしました。この日は大変お天気が良く、製作作業中は度々悩まされた悪天候や暑さが嘘みたいです。まるで完成を祝ってくれてるような感じがしました。


7MHzと430MHzでの初運用風景

アンテナは従来から使っているタイヤ踏みベースを伸縮ポールで7MHzダイポールと144&430MHzのモービルホイップを上げての運用。バッテリーは20Ahのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーパックを室内に設置。自作配電盤の陸軍ターミナルにつないでIC-7300MとIC-9700の2台を同時使うことに問題がないことを確認できました。

この日、周りには人がいなかったのでSSBモードでも気兼ねなく大声で運用することができました。途中、軽自動車で登ってきた方が車に乗ったままですが、換気のために開けていたリアの扉からじっと内部をのぞき込まれる事件? がありました。変な軽トラックが山の上に停まっていたので気になられたのでしょう。笑顔で会釈するとしばらくして帰って行かれましたが、向こうの方もがっつり目が合うとは思っていなかったのでしょう。少し驚かれていましたが、SSBモードでの交信中で受信音も聞こえていたのだと思います。この軽トラは無線していたのだと認識はしていただいたと思います。

好天の中、軽トラック移動シャックで初運用ができたことは喜びもひとしおです。気になった点は、同軸挿入部分にできる隙間が大きい事や先ほどの覗かれ問題とか出てきましたが次回移動までに対策していきたいと思います。

これで次の週末に行われる全市全郡コンテストにこの移動シャックで参加できる目途が立ちました。

長くなりましたが今月号はここまでです。コンテスト移動でのお話と今回紹介できなかった箇所の詳細は、次の機会とさせていただきます。それではまた。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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