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海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その116 ブルネイでは初めてのSEANETコンベンション 1999年(2)

JA3AER 荒川泰蔵

ブルネイ・ダルサラームでは初めてのSEANETコンベンション

今回は1999年のオセアニアです。1999年のSEANETコンベンションは、初めてブルネイ・ダルサラームで開催されました。筆者は前年に海外勤務を終えて帰国したばかりですが、所属していた大阪国際交流センターラジオクラブのJH3GAH後藤太栄氏の案内で、JA3AA島伊三治氏やJA3UB三好二郎氏達と共に、10年振りのSEANETコンベンションに参加させて頂きました。ここには30名を超える日本人が参加していて、JA1AN原JARL会長のメッセージを、JA8OW谷本健一氏が代読しました。また、特別記念局V8SEAを参加者が交互に運用しましたが、QSLマネージャーはJA0AD小林勇氏で、多くの日本人が深く係わっていました(写真1)。尚、今月の「あの人は今(第41回)」は、JA3LIL中野一夫氏の紹介です。


写真1. 壮麗なモスクを背景に、ブルネイ・ダルサラームで開かれたSEANETコンベンションの集合写真。

1999年 (オーストラリア VK4CYB)

JE1LET男沢雅彦氏はオーストラリアのVK4CYBの免許を得て、1999年の4月30日から5月5日まで、ブリスベンで3.8MHzから50MHzで運用し、720QSOしたとアンケートを寄せてくれた(写真2及び3)。「相互運用協定の免許です。VK4HF,Rickの経営するFox Mountain Lodgeのレンタルシャックから運用しました。小さな山の頂上にある FBなロケーションと多数のビームアンテナを有するシャックです。(1999年5月記)」


写真2. VK4CYB男沢雅彦氏のQSLカードの表と裏。


写真3. VK4CYB男沢雅彦氏が利用したロッジとアンテナが描かれた、レンタルシャック「Fox Mountain Lodge」の案内カード。

1999年 (ココス・キーリング諸島 VK9CA)

JA1CMD宮盛和氏は、インド洋にあるオーストラリア領のココス・キーリング諸島で運用したとレポートを寄せてくれた(写真4)。「オーストラリアのパースに1泊し、パースにある所管の役所で、FCCのライセンスの相互運用協定による免許を申請し、翌日に1年間有効のVK9CAのライセンスが発給された。ココス・キーリング諸島へはパースからの直行便で行ったが、帰路はクリスマス島経由で駐在地のジャカルタに戻った。フライトはデイリーではなく、官営のもの。離島の学童を本国へ運ぶ、食料等を島に補給するなどが主な目的のようだ。ココス・キーリング諸島での宿泊先は島に1軒あるモーテルであったが、軍事基地のあるココス・キーリング諸島での軍人優先の常宿のため、予約を再々確認する必要がある。ココス・キーリング諸島からのQRVは、TS-50とDPアンテナを使ったが、ノイズ、QRMなど問題なく、パワーは50Wの為、空軍基地への干渉もなかった。この島はバードワッチャーと天体に興味のある人には天国、スキューバーダイビングはサメが嫌いでなければ問題なし。モーテルの話では、アンテナの放置など、後片付けをしないで帰るアマチュア無線家には困るとの事であった。(2020年5月記)」


写真4. (左)VK9CA宮盛和氏のQSLカードと、(右)島での運用地点を示す地図。

1999年 (ニュージーランド JJ1SAC/ZL)

JJ1SAC田中和雅氏は、ニュージ―ランドで2年足らずを過ごし、JJ1SAC/ZLとしてのアマチュア無線局の開局と運用を試みたと、CQ ham radioの編集部を通じてアンケートと共に商務省・通信部門発行の資料を送ってくれた(写真5)。「現在ニュージーランドと日本は協定を結んでおらず、NZでの運用は、NZの免許を受ける他に方法はなく、日本からの情報の収集も大変難しい状況です。アマチュア無線免許にはGeneral, Limited, Noviceの3つのグレードがあり、試験は無線工学50%、法規50%で、GeneralとNoviceにはモールス信号の送・受信のテストが各3分あります。また協定を結んでいない国の免許に対しては、審査による免許の制度があり、日本の国家試験の内容の英文訳を作成できれば、電気通信監理局の内容証明と免許元本を揃えて審査の申請が出来るので、これからNZへ行かれて運用をと考えている方は、日本で準備をして行けば、道が開けると思われます。旅行等、短期滞在の場合、144MHz以上のハイバンドで4週間以内であれば、申請も必要なくビジター運用が出来ます。但し、当局から提示を求められた時は、従事者免許と無線局免許を提示しなければなりません。(1999年11月記)」注: 2013年に相互運用協定が結ばれています。


写真5. JJ1SAC田中和雅氏が送ってくれた「Amateur Radio Service」と題した商務省の通信部門発行の小冊子の「Foreign Amateurs」の部分。

1999年 (パラオ T88SM)

JA6EGL三宅正司氏は、4人のグループでパラオから運用したとアンケートを寄せてくれた(写真6及び7)。「1999年1月12日から1月18日まで、私T88SM(JA6EGL), T88VO(JM6VOV), T88FB(JH6TNH), T88AQ(JH6WDG)の4人は福岡空港を発ち、グアム経由、パラオにて運用しました。ホテルは首都コロールのダウンタウンにあるニューコロールホテル(1泊40ドル)の3Fにチェックイン、3階屋上に1.9MHz~28MHz用ワイヤーアンテナ、50MHz用2エレ八木を設置して運用しました。


写真6. (左)T88SM三宅正司氏の免許状と、(右)そのQSLカード。

T88SM 800局QSO, T88VO 600局QSO, T88AQ 1080局QSO, T88FB 1200局QSOと、コンディションが悪いにも拘わらずFBにQSOできました。50MHzは全くだめでしたが1.9MHzがFBで150局QSO出来ました(ほとんどJAで、韓国が1局)。ニューコロールホテルはフロントデスクのマネージャーがT88DOリアさんというYLハムです。そのため我々は色々と彼女にお世話になりました。電監へはタクシーで10分、町はずれのマラカル島ネコマリンのすぐ横にあります。タクシー料金は往復で約10ドルです。日本各地からコンチネンタル航空でグアム経由の定期便がでています。団体扱い格安チケットで手軽に行くことができます。(1999年1月記)」


写真7. パラオ電波管理局のルーカス局長を表敬訪問。左からルーカス局長、T88VO(JM6VOV)横井氏、T88AQ(JH6WDG)良永氏、T88SM(JA6EGL)三宅氏、局長秘書のアサヌマ女史(日系3世)、T88FB(JH6TNH)安仲氏。

1999年 (ブルネイ・ダルサラーム V8SEA)

JA3AER筆者は、ブルネイ・ダルサラームで開かれたSEANETコンベンションの特別局を、ゲストオペさせて頂いたことをアンケート用紙にメモしていた(写真8及び9)。「1999年11月19日から3日間、ブルネイ・ダルサラームで開かれた第27回SEANETコンベンションに参加させて頂きました。会場に設けられた特別記念局V8SEAを運用させて頂き、大阪国際交流センターラジオクラブとJANETクラブの定例ネットにチェックインしました。


写真8. (左)SEANETコンベンションの晩餐会に臨席されたブルネイの皇太子殿下、その左側はV85HG, Hassanさん、右側はV85BA, Abuさん。後列左からJA3AER, JA3ART, JA3AA, JA3UB, JA3NGW, JA3CFの皆さん。(右)V8SEAのシャックにて、JA3AA島伊三治氏とJA3AER筆者。

9月にオープンしたばかりの真新しい8階建てのホテル(Orchid Garden Hotel)の屋上に、バーチカルR-7000Jと逆Vダイポールが設置されており、ホテルの第710号室に設けられたシャックには、VHFも含めてIC-271H, FT-990, TS-940S, TS-430Sのリグが並んでいました。筆者は14MHzと21MHzのSSBで運用し、上記ネットへのチェックインを含めて38局とQSOさせて頂きました。V8SEA局は、コンベンション参加者が入れ替わり立ち替わり運用していましたので、QSOされた方は多かったことと思います。(1999年12月記)」


写真9. SEANETコンベンションの特別記念局V8SEAのQSLカードの表と裏。

1999年 (東マレーシア 9M8TG)

JA3AER筆者は、ブルネイ・ダルサラームでのSEANETコンベンションに参加した後、東マレーシアのサラワク州でゲストオペさせて頂いたことをメモしていた(写真10~12)。「ブルネイ・ダルサラームでのSEANETコンベンションを終えた11月21日、9M8DB, Johnnyさんの案内により、グループで小型バスに乗り込んでブルネイ・ダルサラームを横断し、国境を越えて東マレーシアはサラワク州に入りました。9M8DB, Johnnyさんの住むミリ(Miri)はそこから約20kmの海岸に面した都市で、そこにある宿泊先のホリデーインホテルに案内されました。


写真10. (左)ブルネイ・ダルサラームとマレーシアの国境で、出入国の手続きを済ませる一行。
(右)宿泊先のホリデーインホテルの屋上には、ビームアンテナが上がっていた。

早速、そのホリデーインの小さな部屋に設置された、JH3GAH後藤太栄氏の9M8TGを運用させて頂きました。残念ながらJAIGネットの時間は過ぎており、職域クラブのSC-NETにチェックインすることでスタートしました。参加した大阪国際交流センターラジオクラブ他のメンバー、JA3AA, JA3CF, JA3IG, JA3UB, JA3AER, JA3ART, JA3NGW, JH3GAH, JR3WXAの9人で、24日までの4日間に、160mから6mまで、CWとSSBの他SSTVも運用して、南極の8J1RLを含めて全大陸、延べ約1,300局とQSOすることができました。この9M8TG局はJH3GAH後藤太栄氏が取得した免許で、9M8DB, Johnnyさんの協力を得て実現したもので、QSLマネージャーは JH3GAH後藤さんです。また、滞在期間中には9M8DB, Johnnyさんのシャックを訪問させて頂き、そのご家族やローカルのハム達にもお世話になりました。(1999年12月記)」


写真11. (左)9M8TGのシャックでJA3UB三好二郎氏。(右)9M8TGのQSLカードの表と裏。


写真12. (左)9M8DB, Johnnyさんのシャックを訪問。前列左からJA3AA島伊三治氏、9M8DB, Johnnyさん、後列左からJA3CF岩崎好宏氏、JA3UB三好二郎氏、JA3AER筆者、JA3IG葭谷祐治氏。
(右)9M8DB, Johnnyさんの家族や友人達との交流。

「あの人は今(第41回)」JA3LIL中野一夫氏

JA3LIL中野一夫氏の、DJ0MBBの運用については(その38) 2016年5月号で紹介させて頂いています。中野氏は現在兵庫県姫路市から、JAIGやJANETのロールコールへのチェックインを含めて、アクティブに運用されていますが、その中野氏から近況を知らせて頂きましたので、ここで紹介させて頂きます(写真13及び14)。「1986年4月から2年間西ドイツ(ハンブルグ市)に家族を伴い赴任、その間DJ0MBBのコールサインで運用、帰国後34年が経過致しました。着任翌日のチェルノブイリ原発事故、そして帰国翌年にはベルリンの壁崩壊などの出来事もありました。

アマチュア無線から遠のいた時期を経て再出発: 海外勤務を終え帰国後、欧米中心に多くの出張機会は有りましたが、業務中心で海外運用の機会はありませんでした。また会社の業務が多忙となり、アマチュア無線を楽しむ時間が少なくなってきたのと、併せてシャックのある実家とは別の住所に住宅を新築した事もあり、アンテナ設置の問題も重なり、徐々にアマチュア無線から遠ざかってしまいました。その様な中ではありましたが、ハイパワー局免許(500W)を持っていた関係もあり、無線局免許の更新や、JARLの会員などは継続していました。人生の中には様々な時期があり、私にとってのアマチュア無線は、2009年の定年退職を迎えるまで低調な時期が続きました。定年後をどう過ごすかを考え、1. 体を動かす(健康意識: 菜園づくり)、2. 学ぶ(大学再入学)、3. 楽しむ(趣味など)、4. 社会と交わる(ボランティア活動)の4つのキーワードを設定し、今も継続して実行しています。そして趣味については真っ先にアマチュア無線が思い当たり、再出発する運びとなりました。約20年のブランクの間に、アマチュア無線界も大きく変化し、その中の1つがアマチュア局の最大空中線電力が500Wから1kWに改定されていた事でした。そこで実家にある既設の500W局を残したまま新たに1kW局を新設する事にし、設置場所を実家と隣接する別番地の離れをシャックにし、近畿総合通信局の検査を受けて第2固定局として開設しました。

海外との交わり: ドイツ在住時アマチュア局DJ0MBBの開設において、日独友好の目的で1985年に設立されたアマチュア無線グループJAIGのお世話になったご縁で、その会員になりました。ドイツでのコールサインの取得の経験から、アメリカのアマチュア局のライセンス制度にも興味を持ち、2010年9月に岡山市で行われたFCC試験をTechnician級からExtra級へと順次受験し、その日の内に全級に合格し(いわゆるOne Day Extra)、AF6ZPのコールサインが付与されました。FCCのライセンス取得を機会にJANET CLUBにも入会させて頂きました。こちらのクラブは北米の皆様が多くQRVされてアクティブに活動されています。東京のハムフェアーではいつもJAIGと協同で展示ブースを設けられています。


写真13. (左)JA3LILの第2固定局1kW(IC-7800+PW1)にて中野一夫氏。
(右)2010年3月に大阪で開かれたJAIG年次大会にて、多くの皆さんとの再会を楽しまれた中野一夫氏(最前列左から2人目)。

現在のアマチュア無線活動: クランクアップタワー(最長22m)の建設は、偶然ある学習会で親しくなった方から、自宅のリフォームを計画しており、所有するクランクアップタワーを撤去しなければならなくなった、もし良ければ差し上げますよ、と話がありました。私は既に500W局開設時にパンザーマストを建てており迷いましたが、結果として譲り受け現在は1kW局のアンテナ設備として重宝しています。定年を迎えアマチュア無線を再び始めた後、毎日電波を出す、小電力で何処まで届くかなど、私なりのこだわりを持ち、毎日1局は交信、そして毎週水曜日はQRP(5W以下)での運用を目標にしています。またCWの運用や、国内外の主たるコンテストへも参加している他、機器の自作にも興味があり、大きなものは出来ませんが、今も小さなものを作り、HF帯、Wires、D-STAR(Reflector方式)を活用し、JANET及びJAIGの皆様との定期交信も楽しんでいます。


写真14. (左)JA3LIL中野一夫氏の22mHクランクアップタワー。
(右)JA3LIL中野一夫氏のQRP用QSLカード。

今後の取り組み(目標): Raspberry Piなどの超小型コンピュータを用いたアマチュア無線との融合を目指した、オリジナルプログラム作成へのチャレンジ、海外での運用、そして加齢による認知機能低下に少しでもブレーキをかけるべく、無線通信の原点でもあるCWも引き続き運用したい。

まとめ: 家族6人全員(両親と弟・妹)がハムになると言う環境に恵まれ、クラブ局JA3ZGHを開設、Rigの購入やアンテナ工事など様々な面において協力を得られ、また人生設計に大きな影響のある勤務会社を選択する際にも大学の先輩アマチュア無線局が取り持つご縁で入社、そしてアマチュア無線を通じた海外とのつながり等、趣味として選んだアマチュア無線という世界を改めて顧みると、単なる趣味と言う枠に留まらず、様々な場面での出会いを通じて私の人生に良い影響をもたらしていると思っています。定年退職を迎えると一般的には人的交流の機会が少なくなっていくのが普通ですが、アマチュア無線はそれを補ってくれるだけでなく、以前よりもむしろ定年後の方が友人・知人が多くなった様に思っています。また日々の生活の中に、うるおいを与えてくれる良い趣味だと考えています。今後もこの趣味を生かし、多くの出会いを求め充実した日々を過ごして行きたいと思っています。どうぞ宜しくお願い致します。(2022年6月記)」

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