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日本全国・移動運用記

第16回 雨竜郡(上川)幌加内町移動

JO2ASQ 清水祐樹

これまで、新たに“市”や“区”ができる時の移動運用について紹介しました。それ以外に、市町村合併によって“郡”や“町”が新設される場合もあります。

アマチュア無線では、市にはJCC番号、郡にはJCG番号が付けられており、市や郡が新設された時には、JCCやJCG番号が新たに付与されます。ところが、郡の新設ではないにもかかわらず、JCG番号だけ新設された特殊な事例があります。北海道雨竜郡幌加内町のJCG番号が、2010年3月31日までは01014、2010年4月1日からは01081になっている例です。

2010年4月初め、新設されたJCG01081での移動運用を行うために、筆者は幌加内町へと旅立ちました。今回はその体験談です。

JCG01081が新設された背景

北海道には14の総合振興局・振興局が設置されています。異なる総合振興局・振興局に同名の郡が存在する場合があり、例えば上川郡は十勝総合振興局と上川総合振興局に存在するため、アマチュア無線ではJCG01022上川郡(十勝)、JCG01023上川郡(上川)のように表記して区別します。

“支庁”と以前に呼ばれていたものが、2010年4月1日に現在の総合振興局・振興局に再編されました。この時、天塩郡幌延町が留萌支庁から宗谷総合振興局、雨竜郡幌加内町が空知支庁から上川総合振興局へと、従来の支庁と異なる総合振興局に移りました。

天塩郡は宗谷支庁にも存在していたため、幌延町のJCG番号は天塩郡(宗谷)のものが引き継がれました。しかし、上川支庁に雨竜郡は存在しなかったため、JCG番号は従来の雨竜郡JCG01014を雨竜郡(空知)と雨竜郡(上川)に分割する必要が生じました。そこで雨竜郡(上川)に新たにJCG01081が割り当てられ、アマチュア無線では新しいJCGとして扱われることになりました(図1)。


図1: JCG01081幌加内町で運用した際に筆者が作成したQSLカード。
JCG01081の新設について説明している。

幌加内町はどんな場所?

幌加内町は日本で最も低い気温-41.2℃を記録したことで知られており、市町村の境界を示すカントリーサインに、その値が記されています。行く前に気象庁のホームページなどで過去の気象データを調べてみました。4月1日頃には最低気温-15℃前後、積雪150~200cmになるようです。

市制施行などでは午前0時からの運用が通例となっています。しかし、この寒さでは午前0時には運用できそうにありません。地元の方が完全装備すれば運用可能かもしれませんが、当方はレンタカーを使用するので、発電機や火気が使えないといった機材の制約があります。また2010年4月1日は木曜日であり、前日からの準備なども考えると、1日から開始するよりも週末に運用する方が多くの局と交信できそうです。そこで2日の金曜日と3日の土曜日に運用する計画を立てました。

それまで筆者は、積雪150cmはスキー場で数回の経験があるだけで、そのような場所で移動運用するとは想像がつきませんでした。可能な限りの情報を収集した結果、雪に覆われて自由に場所が確保できないことを想定して、狭い場所でも使えるホイップアンテナを主体に準備し、1.9~430MHzとサテライト(衛星通信)の全てに対応できるようにしました。

いざ幌加内町へ

移動手段は、新千歳空港からのレンタカーを使用しました。新千歳空港には積雪は無く、北上するにつれて積雪が増えていきました。幌加内町まで200km以上の長距離ドライブでした。幹線道路の除雪は行き届いており、気温の比較的高い状態が続いた後で路面の凍結も少なかったため、雪道に慣れていない筆者も何とか無事に完走できました。

幌加内町の市街地で運用場所を探そうとしても、車よりも高く雪が積もっており、アンテナの設置に困ってしまう状況でした(図2)。市街地から離れた場所では、悪天候になった場合に市街地まで到達できるか不安があります。万一のことを考え、市街地まで歩いて行ける範囲で運用場所を探しました。


図2: 幌加内町市街地の様子。無線機の動作確認のために釣竿アンテナを上げている。

市街地から小さな川を隔てた所に、駐車できそうな空き地を発見しました。周辺は雪に覆われていて物が無く、アンテナの設置の方法が分からず困っていたものの、ロープを延長すれば橋の欄干に結び付けることが可能と分かり、ホイップアンテナを風上側からロープで引っ張って固定することにしました(図3)。


図3: アンテナ設置の様子

現地の天気は晴時々雪。太陽が照り付けたかと思えば、数10分後には辺りが真っ暗になり、厚い雲から猛烈な吹雪、再び数10分後には晴れ間がのぞくといった状況でした。強風でもアンテナが倒壊しないよう、風が収まった際にアンテナの状況を点検することにしました。

吹雪の中での運用

いよいよ本格的な運用開始です。4月初めの昼間は、北海道から国内向けは7MHzしか聞こえないことが多いので、7MHz CWから運用を開始しました。金曜日、本州とは距離がある、当方のアンテナはコンパクトな物とあって、いつもの新市移動のような分厚いパイルアップではないものの、待ってましたとばかりに全国からのコールが殺到しました。

気温は幸いにもこの時期としては高めで、-5℃以下になることはなく、手がかじかんで細かい操作ができないといった苦労は特に感じませんでした。しかし、運用中は湿った雪が断続的に降り続き、アンテナの給電部分が雪をかぶって同調周波数が変わったり、車の排気ガスの出口を確保するため定期的な除雪をしたりすることがありました。また、雪雲が近づくとともに、強烈なスノーノイズが発生することもありました(図4)。順調に交信数を重ね、2日の夜間に一瞬だけEスポが発生したようで、28MHzで何局かと交信できました。


図4: 雪雲が近づき、吹雪になった様子

宿泊は町内の旅館を利用しました。さすがに車中泊はできません。3日も晴時々雪の天気で、各バンドを行き来しながら運用を続けました。周囲は雪しか無く、運用中に何が起こったのかは、ほとんど記憶に残っていません。夕方に雪の上をキツネが歩いていき、足跡が残っていたことだけは鮮明に覚えています。夜は冷え込みが激しくならないうちに撤収し、JCG01081の運用はこれで一旦終了としました。

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