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第26回 【ホムセンアイテムで作る】3脚付きアンテナ基台
【小型・軽量】

JP3DOI 正木潤一

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移動運用が主体の当局は、少ない荷物で手軽に運用することを無線運用のテーマにしています。私はIC-705で移動運用する際、LC-192の側面に取り付けたアンテナ基台を使っていました。LC-192の中のIC-705が重しになってアンテナを立てられます。IC-705で運用するときはいつもLC-192が一緒でした。


LC-192との思い出

LC-192の側面には樹脂製の丈夫なパネルが付いていて、これを利用することで簡易的なアンテナ基台になります。私は13mmの『ユニオンソケット』と呼ばれる塩ビパイプにBNC角座を取り付けたものを、同じく13mm用のバインドで固定してアンテナ基台としました。これは2020年6月号『FBガールズがIC-705とLC-192を使ってみた!』で紹介されていた方法です。


LC-192の側面に付いている板にネジ穴を設けてバインドを取付ける様子。M5の樹脂ネジを使って固定。

しかし、IC-705をLC-192から出して使いたいときや、無線機から離れた場所にアンテナを立てたいときもあります。また、アンテナの長さによってはLC-192を使った簡易的な基台では支えることができません。

そこで、どこでもアンテナを立てられる3脚付きの基台をホームセンターで入手できる部材を中心に使って作ってみました。今回は、安価な部材で簡単に作れる『3脚付きアンテナ基台』を紹介します。

構造と強度


コンパクトで軽量ながら極めて丈夫な『3脚付きアンテナ基台』

このアンテナ基台は、重みがかかるほど安定する構造になっています。しかも、使っている塩ビパイプとアルミアングル材、そしてそれらを繋ぐコード(アウトドアコードなど)は十分な強度があります。


アンテナ重みが3本の足の付け根を上下から抑え込む

重みが3本の足の付け根に上と下から加わり、足がゴムワッシャーに喰い込むことで安定します。


アングル材の直角形状が、塩ビパイプの曲線上に2点で接することにより安定度が増す

直角形状のアングル材を選んだのは、丸いパイプよりも遥かに強く、塩ビパイプの曲線と馴染むためです。接地部が地面に喰い付く形状であることも、安定性に一役買っています。


地面に喰い付きやすい接地部

使用例

足の長さは、使用するアンテナのエレメント長に合わせて決めます。

エレメントが1m未満のアンテナに使う場合
足の長さを13cmとすれば、ダイヤモンドアンテナの『RH-770』(93cm長)などを立てられます。


足の長さを13cmとした例


足の長さが13cmの『3脚付きミニ基台』。ショートボトルに収まるほどコンパクト

IC-705と一緒にテーブルの上に載せて使用可能。同じテーブルの上ならば長い同軸ケーブルが不要です。


ダイヤモンドアンテナ『RH-770』(93cm長)を立てた様子

エレメントが2m未満のアンテナに使う場合
コメットの『HFJ-350』(約160cm)やダイヤモンドアンテナの『RHM8B』(約178cm)などを使う際には、足の長さを20cmくらいにします。


足の長さを20cmとした例


コメット『HFJ-350』(約160cm)を立てた様子。基部にラジアルを接続

足の長さがそのまま畳んだ時の全長になります。20cmはちょうど500mlペットボトルと同じ長さなので、バックパックのサイドポケットにも収まります。


畳めばスリムになるので、移動運用で使うスツール(折り畳み椅子)の袋に忍ばせることもできる


畳むとコンパクトになる(左)。細長のポーチに収めた状態(中)。それをLC-192に取付けた様子(右)

足の長さを『HFJ-350』などのアンテナの長さに合わせると、一緒に携行しやすくなります。


『HFJ-350』と『RH-770』、ラジアルワイヤーを収納するアンテナバッグ。当局の手作り♪

エレメントが3m以下のアンテナに使う場合
2020年9月号の『チューナー内蔵アンテナ』を立てて使用してみました。エレメントが3mありますが、足の長さが40cmあれば安定して立てられます。ちなみに、この7MHzバンドアンテナは5W SSBで3エリアから8エリアとの交信実績があるので、当局にとって40mバンドが運用し易くなりました。


足の長さが40cmもあれば3mのエレメントも安定して支えられる

M型コネクターアダプター
ところで、以上のアンテナはすべてBNC栓ですが、例えばモービルホイップなども使いたいところです。そこで、M型コネクター(PL-259)角座を取り付けたアダプターを作りました。
(1/4λアンテナの場合は、適切なラジアルを付ける必要があります)


M型コネクターアダプタを介してノンラジアルモービルホイップを付けた様子。

このアダプターは、20サイズのユニオンソケットに1.5D同軸ケーブル(BNCコネクタ付き)を付けたM型コネクター角座を取付け、さらにそれを中継ソケット(20mm)にはめ込んだものです。塩ビパイプは互換性があるので、はめ込むだけで基台に取り付けられます。


M型コネクタ付きユニオンソケットを、中継ソケットを介して取り付ける

八木アンテナマスト
塩ビパイプの異形ソケット(13mm←→20mm)を介して垂直にパイプを取り付け、その先端にT型ジョイント使ったブーム固定具を付けると、八木アンテナや水平ダイポールのスタンドになります。T型ジョイントにはM5サイズのネジ穴を2か所設け、水平に通したブームを2本のM5ボルトで押さえて固定します。


変換ジョイントを介してパイプを取り付けたところ(左)、T型ジョイントに2本のボルトを付けてブームを固定(右)

必要な部材

BNC角座や同軸以外の部材はホームセンターなどで入手できます。部品点数も加工も極力抑えました。

部材一覧
● 12×12mmのアルミアングル (足の長さが33cm以内ならば1本)
● コード(1.5mm~2.5mm径)(適量)
● 塩ビパイプ『ユニオンソケット』(13mmと20mmを1つずつ)
● 内径18mmのユニオンパッキン(2枚)
● BNC角座
● 1.5Dまたは3Dの同軸ケーブル(任意長)

聞きなれない部材もあるので、ここで紹介したいと思います。

アルミアングル (12mm×12mm)
L字型のアルミ材です。1m単位で売られているので、足の長さによって必要な本数を用意します。入手可能ならば、黒く塗装されたものを使ったほうが見栄えが良くなります。

コード (1.5mm~2.5mm径の紐)
アウトドアコードやスポーツ靴ひもを使います。手芸屋さんやアウトドアショップ、スポーツ用品店で手に入ります。なお、アウトドアコードは2017年5月号『キャリングハーネスの製作』でも使用しました。


2mm径のアウトドアコード(左)、スポーツ向け靴ひも(右)

もしこれらが手に入らなければ、ホームセンターにある『ポリブラックロープ』(1.5mm径のもの)で代用します。


樹脂製の『ポリブラックロープ』。硬いのでこういった用途にはあまり向いていない

塩ビパイプ『ユニオンソケット』
塩ビパイプはたいへん丈夫なうえに加工しやすくて安価、サイズのバリエーションも豊富です。特にユニオンソケットと呼ばれる部材は角座コネクターを取り付け易いので汎用性が高いと思います。2020年9月号の『チューナー内蔵アンテナ』でも使用しました。今回もBNC角座をねじ止めして使います。


13mmサイズと20mmサイズの2種類の大きさのものを使用する

ユニオンパッキン(内径18mm、外径28mm) ×2枚
幅広のゴムワッシャーです。これも水道用品です。


BNC角座
フランジの4隅に穴が開いている物を使います。穴の径がM2.6でない場合は、2.6mmのドリルで拡げる必要があります。


<参考: 便利な工具『パイプカッター』>
塩ビパイプは安くて丈夫なので様々な用途に使えます。ただ、のこぎりなどで切断すると、どうしてもまっすぐに切れず、切断面もイビツになります。パイプカッターを使えばカンタンに綺麗に切断することができます。


金属パイプの切断にも使えるパイプカッター。1つ持っておけばいろんな工作に役立つ

作り方

足の加工
1) アルミアングル(12×12mm角)を寸法通りにカットします。
ノコギリよりも『ワイヤーカッター』を使うとカンタンにカットできます。


2) 上図の指定された箇所にドリルで3mm径の穴を開けます。(3本とも)
電動ドライバードリルを使うとカンタンです。


3) 穴のあるほうの尖頭にヤスリを掛けて丸くします。



このようにヤスリをかけて丸くする

基台部の加工
1) 太いほうのユニオンソケット(20mmサイズ)を寸法通りにカットします。切断面が綺麗になるように、パイプカッターを使って正確にカットします。
※足の長さを13cmとする場合は、あらかじめ両方のソケットを2cmカットして短くしておきます。



2) 下記のリンクからテンプレートをダウンロード、等倍印刷してユニオンソケットに巻きつけて両面テープで貼り付けます。


テンプレートを切り取って写真のように貼る

テンプレートのダウンロードはここから

3) テンプレートの穴の印にドリルで3mm径の穴を開けます。
4) 細いほうのユニオンソケットにM2.6のネジ穴を開け、BNC角座を取り付けます。
※BNC角座にはあらかじめ同軸ケーブルをハンダ付けしておきます。


まずネジ穴を1つ開けてネジを締めて仮固定してから対角にも穴を開ける

組み立て
1) 図のように、細いユニオンソケット(13mmサイズ)に各部品を通します。


2) 図のように、アルミアングルと基部にコードを通します。


3) 基部が水平になるようにコードの結び目位置を調整してから端を結びます。


ちなみに、3本の足のうち2本の末端にコードストッパーを付けると、長さを調整することで基台の角度を変えられます。アンテナを設置したい場所の地面が傾いていても対応できます。


ホームセンターで売っているコードストッパー(左)、スポーツ用品店などで売っている靴紐ストッパー(右)

最後に

冒頭にも書いたように、私の無線運用は移動運用です(D-STARは除く)。特に、自転車や公共交通機関を利用しての移動なので、荷物はトコトン減らす必要があり、アレもコレも持って行くことはできません。運用場所でも、なるべくコンパクトに運用し、すぐに移動や撤収がし易い装備を好みます。このアンテナ基台は、そんな私が本気で悩んで考え、試作を繰り返して作ったものです。

コンパクトで軽く部品代もかからないので、複数作っておけばマルチバンドの運用に便利だと思います。アンテナを柵などに固縛したり、ペグを打ち込んでガイラインを張って立てたりする必要が無く、場所も取りません。足の長さ次第で、かなり長いエレメントでも支えられます。強度も十分あるので、もし風で不安定だったら、基部に重みをかけることで安定させられます。

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次号は 10月 1日(金) に公開予定

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