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Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

第59回 アイコムQRVアマチュア無線クラブ(JQ1YOL)の皆さん

Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

こんにちは! Masacoです。全国のクラブ局への訪問がなかなかできない状態が続いているうちに、あっという間に6月になってしまいました。みなさんいかがお過ごしですか? 新型コロナウイルスが収束せず、予定がなかなか立てられず、落ち着かない感じですね…。アイボールもできなくてとってもとってもさびしいです・・・。

そんな中、私の新アルバム「ありがとうあなたに」が4月28日にリリースされました!! リリース日にゲスト出演をさせていただいたラジオ局にはアマチュア無線家さんからのメッセージが読みきれないほどたくさん届き、何よりの励みになりました! 感動のスタートを一緒に切ることができた気分です!ありがとうございます!!!

今回のCDは様々な愛のカタチがつまった珠玉の6曲入り♪ 想像もしていなかった1年を過ごす中で感じた思い、日常のささやかな幸せを摘み取って1年がかりで制作しました。ぜひ聴いていただければうれしいです。

さて、長引くコロナ禍で「Masacoのむせんのせかい」も、まだしばらくは不定期の連載になるかもしれませんが、待ってくださいね。

このような状況なのに「ウチのクラブなら訪問OKですよ!」と声を掛けてくださったのが、今回の訪問先、東京の「アイコムQRVアマチュア無線クラブ」です。緊急事態宣言発令前のタイミングで、感染防止対策をしっかり取って、お邪魔してきましたよ!

第59回 アイコムQRVアマチュア無線クラブ(JQ1YOL)の皆さん


今回お邪魔した「アイコムQRVアマチュア無線クラブ」は、皆さんよくご存じの無線機メーカー、アイコム株式会社とその関連会社の、東京地区にあるオフィスで勤務する皆さんで構成された無線クラブだそうです♪

訪問したのはアイコムの東京営業所。地下鉄東西線の木場駅のすぐ近く「ビサイド木場」という大きなオフィスビルの5階にあって、玄関前の駐車場にはアイコムの営業車も駐まっていましたよ!


ビサイド木場に到着しました!


玄関前の駐車場にはアイコムの営業車も駐まっていました

エレベーターで5階へ! ドアを開けると、打ち合わせスペースを兼ねた広いロビーがあり、壁の一面は「東京ショールーム」として、アマチュア無線から業務用まで無線機や周辺機器などアイコム製品がズラリと展示されていました。


エレベーターで5階へ! 全フロアがアイコムの東京営業所です


ロビーの壁面は「東京ショールーム」として、アイコムの現行製品がジャンル別で展示されています

その中にはもちろん、ポータブル機のIC-705とキャリングバッグも展示されています!! ほら、私もいますよ~(笑)。


IC-705とキャリングバック(LC-192)も展示! 私もここに出ていますよ!!

ちなみにアマチュア無線機器メーカーで一般公開の常設ショールームを設けているのはアイコムだけ! 大阪市平野区の本社ビルにも大きなショールームがあったのを思い出しました。


アイコムの大阪ショールームは、大阪市平野区の本社ビル1階にあります

ここで「Masacoさん、いらっしゃいませ!」と、国内営業部の稲田さん(JL3VRF)が出迎えに来てくださいました。稲田さんはアマチュア無線販売グループの責任者で、JQ1YOLの部長でもいらっしゃいます。いろいろな無線イベントでよくお目に掛かります。

--稲田さーん! ご無沙汰しています! 今日はよろしくお願いします。

「はい、今日はもうすぐJQ1YOLのメンバーも集まってきますよ」

--ありがとうございます!

アイコムの歴史と無線機

さて、せっかくアイコムにお邪魔したので、稲田さんにアイコムの歴史と無線機について教えていただきました。

「Masacoさん、アイコムのことはよくご存じですよね?」

--はい! 本社は大阪の加美にあって、世界一のアマチュア無線機器メーカーで、デジタル技術と業務用通信機器にもメッチャ強くて、会長は創業者のJA3FA井上徳造さん!!

「素晴らしい! じゃあ、もう少し説明しますね」

ということで稲田さんに伺ったお話をまとめました!

アイコムは創業者の井上徳造さん(現在は代表取締役会長 兼 社長)が1954(昭和29)年に、高周波を利用した医療機器開発のために自宅で起業した「井上電機製作所」がルーツなのだそうです。当時、ご実家は「井上ラジオ店」という家電店だったそうです。

そして1964(昭和39)年に「株式会社井上電機製作所」を設立して、初のアマチュア無線機の「FDAM-1」を発売。まだ真空管が主流の時代に、オールトランジスタの50MHz帯ポータブル機を売り出したことで、大変注目を集めました。


1964年に登場した、井上電機製作所で初めてのアマチュア無線機「FDAM-1」

それからは持ち前の技術力で、HFからUHFまで、次々に新しい無線機を発売していきました。特に1972(昭和47)年の144MHz帯モービル機の「IC-200」は、アマチュア無線機として世界で初めてPLLシンセサイザーを搭載し、2mの全チャンネルの送受信ができるようになった画期的なモデル! そして1976(昭和51)年の144MHz帯オールモード機の「IC-221」は自社開発のシステム制御LSIを搭載した初のモデルで、周波数のデジタル制御と2VFOを実現したそうで、アイコムの歴史を語る上で欠かせない製品なんですって!


1972年に登場した、アマチュア機で世界初となるPLLシンセサイザー搭載の「IC-200」(上)と、1976年に登場した自社開発のシステム制御LSIを搭載した「IC-221」(下)

そして井上電機製作所は1978年に「アイコム株式会社」に社名を変更。全世界に「ICOM」のブランドが知れ渡るきっかけになったのが1980(昭和55)年に登場したハンディ機の「IC-2N」。数字が書かれた3桁のドラム(サムホイールスイッチ)を回すだけで周波数設定ができたり、TPOに応じたバッテリーパックが選べたりするのが人気で、輸出も含めたシリーズ累計出荷台数は200万台を超える大ヒットになりました。


1980年に登場したハンディ機「IC-2N」は、シリーズ累計出荷台数は200万台を超えたそうです

忘れてならないのは、1988年の「IC-780」だそうです! 技術の粋を集めた最高級HF機で、センターの大型ディスプレイに搭載してバンド状態がわかるスペクトラムスコープも装備。この製品は後の「IC-7800」(2003年)や「IC-7850/IC-7851」(2014年)といったフラッグシップモデルの先駆けになりました。


1988年に登場したフラッグシップモデル「IC-780」と、2014年に創業50周年を記念して発売した「IC-7850」のカタログです!

さらにデジタル技術を駆使して、1995(平成7)年に世界初のDSPによる信号のデジタル処理を実現したHF機「IC-775DXⅡ」、2004(平成16)年にJARL推奨のデジタル通信方式、D-STARに対応した世界初の「ID-1」を発売。そして現在はRFダイレクトサンプリング方式を採用した「IC-7300」「IC-7610」「IC-9700」といったモデルや、27年ぶりのポータブル機「IC-705」などが大人気となっているそうです。


JARL推奨のデジタル方式、D-STARに対応した第1号機、2004年登場の「ID-1」

アイコムの歴史と無線機の歩みを詳しく知りたい方は、アイコムのホームページに「HISTORY アイコムの歩み」というページ(https://www.icom.co.jp/corporate/history/)があるので、めっちゃ参考になりますよ!! そして「東京ショールームには最新機種が、大阪ショールームには最新機種に加えて歴代のアマチュア無線機が年代別で展示されています。コロナ禍が収束したらぜひ見学にいらしてください」と、稲田さんがPRしていらっしゃいました♪

・東京ショールーム案内→https://www.icom.co.jp/corporate/showroom/tokyo/
・大阪ショールーム案内→https://www.icom.co.jp/corporate/showroom/osaka/


大阪ショールームには、アイコム製品開発の歴史がわかるヒストリー展示もあります!

会社がアマチュア無線資格の取得を推奨!

稲田さんから無線機のお話を伺ったところで、ちょうどメンバーの皆さんが揃いました! 集まってくださったのは、クラブ部長の稲田さんのほか、副部長の古川さん(JO3HAO)、メンバーの井上さん(JE6BCO)、会計担当の横田さん(JK1HMJ)の4名です。稲田さんと古川さんはアイコム株式会社の国内営業部のアマチュア無線グループ、井上さんと横田さんはアイコム情報機器株式会社の東京オフィスに所属していらっしゃいます。


お忙しい中、集まってくださった「アイコムQRVアマチュア無線クラブ」のメンバーの皆さん。左から横田さん、私、稲田さん、井上さん、古川さんです

--皆さん、今日はよろしくお願いします。ところでアイコムにアマチュア無線クラブはいくつあるのでしょうか?

「はい、本社、全国の営業所、工場(和歌山アイコム)などを含めて全部で15の無線クラブがあります」

--そんなに!? ビックリです! アイコムにはアマチュア無線家は何人ぐらいいらっしゃるのですか?

「関連会社を含めて約1,100人の従業員がいますが、そのうち約7割がアマチュア無線局を開局しています。上場企業の中では、最もアマチュア無線家の比率が大きい会社かもしれません」

--うわ~、多いですね!!

もう少し詳しく伺ったら、アイコムでは社員にアマチュア無線技士資格の取得を推奨しているそうです。新入社員が配属になる時期には、社内に「アマチュア無線技士の資格を取ろう」というポスターが貼られることもあるとか!


新入社員に向けて、アマチュア無線の資格取得を呼び掛けるポスターが社内に掲示されたこともあるそうです!

そしてもっとビックリするお話がありました!

「Masacoさん、アイコムではアマチュア無線のスキルによって“社員証”の色が分かれているんですよ」

--えっ、どういうことですか?

「社員証の“IDENTIFICATION CARD”と書かれている部分ですが、アマチュア局(個人局)を開局してかつ現にJARL会員の社員は“金色”、開局はしているがJARL会員ではない社員は“銀色”、無線従事者資格は取得済みだが開局していない(もしくは過去に取得した局免許が失効している)社員は“青色”、無線従事者資格を取得していない社員は“黒色”になっています」

--じゃあ、社内では社員証を見るだけで“あの人は開局済みのJARL会員だ”とか“まだハムの資格を取っていない人だ”とか、わかっちゃうのですね!

「はい、そういうことになります(笑)」

--黒色マークの新人さんは大変かも!?


アイコムの社員証。この「IDENTIFICATION CARD」の色で、アマチュア無線のスキルがわかるようになっているそうです!!

そして職場では、それぞれの部署のリーダーが部下の資格取得状況を把握して、資格取得の推進部門に報告する義務があるそうです(汗)。その推進部門では新人さんなど資格未取得者を対象とした4アマ取得に向けた国試対策勉強会を随時開催するなど、地道な努力もあって、今では社員の約7割が“金色”の社員証(開局済みのJARL会員)なのだとか!!

そして2019年には「会社一丸となって会員増加に取り組んだ」ということで、JARL総会で表彰されたそうです。凄いですね~!!


2019年のJARL社員総会で、会員増加に取り組んだアイコムが表彰されました

クラブの活動について

さて、肝心のクラブ活動についてもお話を伺いました!

アイコムQRVアマチュア無線クラブは、今回お邪魔した東京営業所(東京都江東区木場)や、東京事業所(東京都中央区日本橋浜町)など、東京地区で働く社員の皆さんがメンバーになっているそうです。

--いつ頃誕生したクラブなのですか?

「2006(平成18)年に社団局を開設しました。その少し前にテレビ番組でアイコムが紹介されたことがきっかけで、アイコムのアマチュア無線活動をPRできる機会を増やそうと思って結成しました。しばらくは会社非公認の同好会でしたが、2008年に“社員会のクラブ活動”として公認されました」

--何人ぐらいメンバーがいらっしゃるのですか?

「現在は1アマが3人、2アマが2人、3アマが4人、4アマが3人の合計12名です」

--女性メンバーはいらっしゃいますか?

「全員が男性です。女性は一度も入会したことがありません…」

--あら残念!(笑)


東京ショールームの一角に、アイコムQRVアマチュア無線クラブのシャックがあります。右上はJQ1YOLのQSLカードです

活動の中心は移動運用で、関東近郊からQRVしているそうです。昨年はコロナ禍ということで堂平山(埼玉県比企郡)と明治百年記念展望塔(千葉県富津市)の2回だけでしたが、いつもの年は4~5回は行っているそうです。会社のクラブ局としてはかなりアクティブな感じがします!!


2016年6月に行った筑波山(茨城県つくば市)の移動運用風景です


2019年8月、三番瀬海浜公園(千葉県船橋市)からフィールドデーコンテストに参加した際のスナップです

過去には江戸川河川敷(千葉県流山市)や赤城山(群馬県前橋市)から運用して猛烈なパイルアップになったことや、JAIA(日本アマチュア無線機器工業会)の企画で、他のアマチュア無線機器メーカーの皆さんと一緒に移動運用をしたこともあるそうです。

「そうそうMasacoさん、もうすぐALL JAコンテストですが(※訪問は4月下旬に行いました)、三密を避けながら久しぶりに移動運用をしようと思っています」

--そうですか! どちらで運用の予定ですか?

「千葉県長生郡長柄町の“長生き展望台”です」

--長生き展望台!! 私も3月に「MasacoのFBチャレンジ!」の企画で移動運用しました。メッチャいい場所ですよ~! 敷地にあるお蕎麦屋さんも美味しかったです!!

「Masacoさんが運用されたのは噂に聞きました。コンテストでJQ1YOLが聞こえていたら呼んでくださいね」

--はい、ぜひ!!

(残念ですが、私の家ではJQ1YOLの電波は聞こえませんでしたけど、あとで横田さんから運用風景のスナップ写真を送っていただきました。)


今年のALL JAコンテストは、長生き展望台(千葉県長生郡長柄町)に移動!

このほかのクラブ活動としては、毎年夏の「ハムフェア」に4~5年前から他のクラブと共同でブースを出展しているそうです。

ところで、クラブの今後の目標は? と尋ねたら「もう少しオペレーターが欲しいです。クラブでCW運用をするメンバーがいないので…」というお返事でした。

--そういえば、部員の勧誘はどうしていらっしゃるのですか? 学校なら新入生にクラブ活動紹介をする機会がありますけど、会社だと難しいですよね…。

「新入社員が配属されたらリストアップして片っ端から声を掛けます。東京に転勤してきた社員は、社内のネットワークで“彼はアクティブなハムだぞ”という情報が流れてきたら“一本釣り”をしています(笑)。今年は有望な部員の勧誘に成功しました」

--わ~、よかったですね!!

アイコムQRVアマチュア無線クラブの皆さん、ありがとうございました! 私はアイコムのお仕事もいろいろとさせていただいていますが、皆さんから伺ったお話は“初耳”のことばかりでメッチャ楽しかったです! お忙しい仕事の合間に、皆さんが趣味としてアマチュア無線の“QRV”を楽しんでいらっしゃるのが、とても素敵だなあ~と感じました。

これからも部員獲得を頑張ってください。あ、ぜひ有望な女性社員の方もメンバーに勧誘してくださ~い!!!

(JH1CBX Masaco)

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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