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Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その98 SOTA日本支部設立10周年-7

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

2025年12月15日掲載

2025年も残りあと2週間となりました。毎年、この季節に思うことですが月日の経つのは早いですね。ついこの間まで暑くて「いつまでこの夏は続くんだ?」などと思っていたのに一気に寒い毎日となりました。くれぐれも、低体温症に気を付けて冬の山を楽しみましょう。

そしてSOTA日本支部設立10周年も今月で最後です。来年からは11年目の新しい世界が始まっていきます。10周年の記念アワードプログラムも今月で終了となります。現時点で多くのアクティベータ―、チェイサーの方からアワード登録の申し込みを受けております。集計はSOTA事務局のボランティアの協力のもとで行いますので、しばらく時間がかかると思いますがご容赦願います。

今回はSOTA日本支部の10年を振り返る最後の投稿となりました。

SOTAのこれから

SOTAのこの10年間の活動についてこれまで6回に渡り掲載させていただきました。このシリーズ最終回は少しSOTAのこれからについて考えてみたいと思っています。


SOTAはアワードプログラムであり、ルールもしっかりと決まっているため、大きな変化はないと思うのですが、そんな中でも自分自身の興味も含めて考えてみました。

まずは「拡大」というキーワードで考えたところですが、これは2002年にイギリスでSOTAプログラムが始まってから、今まで拡大してきた延長となりますが、SOTAの実施加盟国や地域の拡大です。現時点でSOTAの参加リージョン(日本にはリージョンが本州、四国、九州沖縄、北海道の4つあります)は、世界中で215となりますが、この拡大がこれからも進むものと思います。これはその国・地域でアマチュア無線のライセンス発給が可能な場合は、大きな楽しみのひとつになると思います。同時にSOTA対象の山岳数も増えることになります。すでに日本では地形の調査が進み、大きな増加は見込めないと思いますが、新規に参加する国、リージョンではその拡大が進みます。これに伴いアクティベータ、チェイサーとしてSOTAを楽しむ人の数も当然、拡大していくことになると思います。

現在、日本でも海外でもアウトドアアクティビティの人気が高まっています。これは都市化、近代化された日々から自身を開放し、自然を楽しみたい、という人間の持つ本来の性にも関係していることなのかも知れません。無線を楽しむ人口は近年減少の一途をたどっていますが、一方でこのようなアウトドアアクティビティとの橋渡しをするSOTAの存在は大きなものとなっていくのではないかと思います。

次に「質的な変化」についても考えてみました。アマチュア無線では運用モードのデジタル化が大きく進んでいます。音声やモールスでの通信は、私自身とても愛着があり、いまだに離れられないところがあるのですが、最近はSOTAにおいてもFT8などのデジタルモードでの運用も増えてきています。現時点では移動運用に関わらず、無線機一つで運用できるという形ではなく、スマホやPCなどのハードウェアとソフトウェアが必要になりますが、今後は無線機の中にこれらの機能が入ったものが出てくると考えられます。IT機器やソフトウェアは更新やバージョンアップが多く、いままではこの技術的な変遷への追随が難しい部分があったと思いますが、このあたりもデジタルモードで運用する場合に必要以上の処理能力は不要であり、ソフトウェアのバージョンアップだけ対応できる機器が出てくる可能性があるのではないかと思います。特に山岳移動専用のリグだけでもこのあたりの機能が組み込まれていくと楽しい世界がより広がるような気がします。

また、登山での楽しみはやはり雄大な景色や風景です。山の上から動画や静止画を送ることも楽しみの一つになるのかも知れません。現在でもDVモードやSSTVで静止画を送れますが、さらにこれが動画や360度映像などになると楽しさも増えるかもしれません。帯域が広くとれるマイクロ波帯が主体になると思いますが。

私のように山で運用しているのはオヤジ・・・ 失礼、シニア世代だけではなく若いビジュアル系の人たちなども出てくれるとチェイサーの方も楽しいかもしれませんね(個人の感想です)。

そしてもう一つ、これが進化となるかどうかわかりませんが、考えておかなくてはいけないこととして「AI」があると思います。AIは仕事や生活の上で世界にとても大きな利便性をもたらしてくれますが、同時に自分の仕事がAIに取って変わるかもしれないという脅威にもなっています。AIは仕事や生活の面で、大きく世の中の景色を変えていくことは間違いないと思います。それではアマチュア無線やSOTAにはどんな影響があるかですが、趣味の世界であるアマチュア無線、そして特に登山という体験を伴うSOTAはAIが代われる部分ではないと思っています。

実際にAIが人間に取って代わることのできない分野としては、身体を使ったり、物を移動したり、体験を提供したり、人と人との信頼関係で成り立っている分野や予測が伴うような分野と言われています。アマチュア無線、特にSOTAはこれらがぴったりとマッチしているような気がします。どんなにAIが進化を遂げてもSOTAの、そしてアマチュア無線の楽しみをAIが作ることは難しい気がします。

AIが影響を及ぼす部分、逆にしてほしい部分としてはログの整理やQSLなどの扱いで、このあたりが自動化されていくと楽になるんだが、などと考えています。例えば音声の場合やCWの場合でも運用中のログを勝手に取りつづけ、それを認識しデータとして自動でSOTAのデータベースにアップロードし、QSLも紙という形ではなくLoTWや電子QSLとして発行してくれるようなリグ+プラットフォームなどが今後出てくる可能性があるのではないでしょうか。

今回は自分の希望なども含めて、たわごとのようになってしまいましたが、SOTAそしてアマチュア無線の楽しみは今後も続いていくと確信しています。

SOTA日本支部ではSlackを使ったコミュニティプラットフォームがあります。すでに100人以上のSOTA愛好家の方々が参加されています。このコミュニティに新たに参加をご希望の方は私宛のメール、ja1ctvアットマークjarl.comでも結構ですし、SOTA日本支部ホームページの問合せのページから連絡を頂いても結構です。登録案内を送らせていただきます。

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