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Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その2 S2S通信の楽しみ方(JP3DGTさん)

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

みなさんこんにちは、JH0CJH川内です。今回は関西地域で積極的にSOTA運用を行っているJP3DGT生地さんのSOTA運用の楽しみ方を紹介したいと思います。生地さんはSOTA日本支部ができる前からSOTAに興味を持っていただき積極的に協力をしていただいた方です。その精力的な山岳移動はすばらしく、豊富な経験に基づいた山岳移動を実践されています。生地さんからは、その山岳移動の真骨頂とも言える山岳間交信の醍醐味をレポートいただきました。

Summit To Summit(S2S)

JP3DGT 生地 克成

アマチュア無線の楽しみ方は人それぞれですが、私がアマチュア無線にのめり込んだのは初めてHF運用した際、思いもよらない遠方と簡単に交信できたことです。関東とつながった、東北とつながった、北海道とつながったと距離が伸びるたび大喜びしていました。
より遠くと交信するというのは単純ではありますがアマチュア無線の面白さであり醍醐味ではないでしょうか。

HFに嵌ってからはもっぱらDXの追っかけばかりしておりましたが、英語が話せないのでCWを勉強し、10MHz、14MHzにも出てみたいので上級資格を取得しました。

そうこうしているうちに当初目標にしていたアフリカや南極との交信もできましたが、自宅の環境だとなかなか大きなアンテナを立てることができず、ワイヤーにATUという簡単な設備で運用しており、現在の自宅からの設備ではもう限界かなと思っていました。そんな折、標高の高い山の上だと小電力でも思いのほか電波がよく飛ぶことに気づき、山岳運用を始めました。丁度そのころJH0CJH川内さんがSOTA JAPANを立ち上げようとしておられ、SOTA JAPANがスタートした後は一気にのめり込みました。

SOTAの楽しみ方も人それぞれ。山で食べる食事は美味しいもの。最近流行りの山メシと無線を同時に楽しむ方もおられます。登山道具にプラスして無線機材を担ぎ上げる山岳移動では大きなバッテリーを持っていくわけにもいかず、自ずと小電力での運用にならざるを得ないため、いかにアンテナの効率を上げるか。また、いかに荷物を軽量化するか等、テーマは様々あり、一つ一つ工夫することも楽しみの一つですね。そんな中で私にとっての一番の楽しみはやはり“如何に遠くと交信できるか”です。

SOTA運用の醍醐味の一つにS2S(Summit To Summit)があります。S2Sとは、別々の山頂でSOTA運用する局同士の交信の事ですが、先にも書きました通り、山岳運用では、小電力での運用となることが多く、QRP同士での交信は非常にスリリング。タイミングを逃すとQSOはできません、ここがまたワクワクするところですが、特に海外局とのS2Sができた時の喜びはひとしおです。

現在SOTAでは不定期ではありますが、大陸間でのS2S QSO Partyが開催されることがあります。これまでにもオーストラリア⇔ヨーロッパ間や北米⇔ヨーロッパ間で開催されましたが、他の地域からの参加や、チェイサーの参加ももちろんOKなので世界的に盛り上がります。そんなS2S QSO Partyに私が初めて参加した時の様子をレポートします。

VK, ZL⇔EU S2S Party
2016年10月22日 06:30~08:30(UTC)

Partyの開催日時はオーストラリアとヨーロッパ間の伝搬予測や互いの地域での時刻など勘案して決められており、日本時間では15:30~17:30となります。この時期17:30というと日が暮れてしまうため、できるだけ歩行時間が短く、自宅からも近い大阪府茨木市の竜王山(SOTA JA/OS-012)を選びました。自宅から車で40分、駐車場から山頂まで10分です。山頂は木々に覆われていますが山頂広場に展望台があり、登ると見晴らしが良く大阪市内を一望できますので、展望台の上で運用しました。

少々早めに到着し、S2S Party が始まるまでは国内向けSOTA運用と思い、VCHアンテナを上げ、7MHzでCQをだしてみました。数局交信できましたが、混雑している7MHzなので途中何度も周波数を奪われ苦労しました。しばらくすると、SOTAで使われているSOTA Watch2と呼ばれるSOTA専用のクラスターで、大阪府高槻市のぽんぽん山(JA/OS-005)運用のスポットが入ったのであわててコール。まずは国内でS2Sゲット。その後21MHzに移りましたが、ZLから呼ばれただけで18MHzもダメでハイバンドはあまりコンディションが良くありませんでした。

15時前に狭い展望台の上に無理やり14MHz IVDPを展開しました。さすがに15時過ぎると登山客もいないだろうと思いましたが、登山客が3組も来られました(汗)。スイマセンと言いながら片付けたり展開したり・・・。15:30以降は誰も来なかったので落ち着いてPartyに参加できました。

いよいよ時間になりS2S Partyスタートです。クラスターのSOTA Watch2を見ているとParty 開始から次々スポットが入りだしました。オーストラリアでCQを出している局を発見。2局続けてS2S成功。その後も呼び周りをしていましたが、結構なパイルで太刀打ちできません。S2S Partyのイベントではクラスターでのスポットの入り方が尋常でなく、ものすごいスピードで次々流れてくるので、これでは追っかけきれないと思いCQを出す方にまわりました。

早速オーストラリアから呼ばれS2S成功、次いでスイスからも呼ばれS2S成功。まさに歓喜状態です。ワッチしていた時にはヨーロッパの信号は全く聞こえませんでしたが、CQを出していると結構ヨーロッパから呼ばれました。S2Sではありませんがチェコ、クロアチア、アジアンロシア、ヨーロピアンロシア、ドイツ、北アイルランド、スペインからも呼ばれ、QRPでは交信の難しいヨーロッパの奥の方とも交信でき大喜びです。

後半になるとヨーロッパの信号はエコーがかかってきて(ロングパス・ショートパスが同時に聞こえる)、聞き取るのに苦労しました。コンディションが凄くよかったのでしょう。17:30 Party終了の時刻。まだCQを出している局も居ましたが、暗くなったので運用終了し、あわてて片付けて頭にライトをつけて下山しました。

〈運用ログ〉

〈使用機材〉
Rig FT-817ND (5W)
Ant IVダイポール

帰宅後データを整理し、LoTWにアップロードするとすぐにスイスとのS2Sはじめ各局との交信がコンファームでき、またまた大喜びです。たかだか5Wの小電力にホームセンターで買ってきた電線で作ったIVダイポールでこれだけ楽しめるのもSOTAという世界規模でのアワードのおかげだと思います。SOTA対象の山は上級者でないと登れないような山ばかりではなく、今回のように手軽に登れる山もあります。興味を持たれた方、ぜひご参加ください。お待ちしております。

De Katsu JP3DGT

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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