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楽しいエレクトロニクス工作

第66回 アンテナマッチング回路

JA3FMP 櫻井紀佳

この連載に掲載した第63回第64回の「2バンドアンテナ」の実験で、3.5MHz帯を上下2バンドに分けてもマッチングの取れる範囲はまだ狭く、バンド全体を使うためには別にマッチング回路が必要なことが分かりました。

ICOMのアンテナチューナーAH-4を他のアンテナで使っているため、これを切り替えて使っても良いのですが、あらかじめ測定によってマッチングの条件を分析し、専用のマッチング回路を考えてみることにしました。

今まで測定に使ったDELICAのAntenna Analyzer AZ1HFとクラニシのStanding Wave Analyzer BR-200では、測定値がスミスチャートのどこに位置するのか正確に確定できませんでした。従って実際のマッチング回路の構成と素子の確定ができません。そこでスミスチャートにも表示できるグラフィックアンテナアナライザーMFJ-226を購入しました。

MFJ-226によるツェッペリンアンテナの梯子フィーダーでの測定結果は次のようになりました。


測定はバラン直後とそこから同軸ケーブルで引っ張った無線機側の2ヵ所で行い、バラン側でHighバンドがSWR1、Z1でLowバンドがSWR2、Z2になり、無線機側のHighバンドがSWR3、Z3でLowバンドがSWR4、Z4となっています。

また、インピーダンスの構成は次のようになっています。


図の左側がバラン直後で右側が無線機側です。これも同様にバラン側でHighバンドがR1、X1でLowバンドでR2、X2となり、無線機側のHighバンドはR3、X3、LowバンドでR4、X4となっています。

以前のデータとは少々変化があるのは、測定器がMFJ-226に替わったこととアンテナのエレメントを切替えるコントロールケーブルを接続すると特性に変化が出るのが原因です。

測定したデータと3.5MHzのバンド幅をみると、下のバンドでは3.53MHzと3.57MHz付近、上のバンドでは3.75MHzと3.80MHz付近のマッチングの改善をすればよいように見えます。しかし基本的にはアンテナそのものの共振点とインピーダンスを合わせないと性能的には良くないため、とりあえずマッチングを考えてみます。

まずバラン側でLowバンドの3.53MHzと3.57MHz付近はインピーダンスが50Ωより高く、スミスチャートMr. Smithでマッチングを考えてみます。カットアンドトライでマッチングの値を求めると次のようになりました。


次にHighバンドは3.75MHzも3.80MHzもインピーダンスが50Ωより低く、同様にスミスチャートMr. Smithでマッチングを考えてみます。カットアンドトライでそれぞれの次のようになりました。


これでマッチングの素子の数値は分かったので切替回路を考えてみます。マッチング回路は梯子フィーダーのバランの傍で、そのコントローラーは無線機など机の近くにしなければなりません。従ってマッチング素子の切替えはリレーを使うことになります。

マッチング回路は次のようなものを考えてみました。

マッチングの部分はLCで構成されているので、その回路ごとリレーで切り替えるようにしました。3.5MHzの中程の周波数はマッチングを取らなくても大丈夫なので、リレーを働かせずスルーしています。

下側のバンドは、アンテナ端のエレメントを切替えるためのリレーを動かすため、D1~D3のダイオードで電圧を加えるようにしました。

マッチング部の組立は部品屋さんで買ってきた幅100mm x長さ150mm x高さ48mmのプラスチックの箱に入れています。またスイッチボックスのケースは以前から持っていたアルミケースを利用しました。

リレーも部品屋さんで買ったものですが、昔の松下電工の車載用リレーと言いうのを見つけたのでこれを使いました。特別変わったものではないと思いますが駆動電圧が車のバッテリー電圧に合わせられており、シャックの直流電圧と合うので好都合です。ただ取付寸法がランダムで2.54mmの倍数になっていないため、穴あき基板にそのまま取付けることができずに少々苦労しました。


マッチングボックス (左)、 とスイッチボックス (右)

下のバンド、上のバンドのそれぞれ2か所のマッチングの内、3.8MHzのマッチング回路を抜き出してみますと特性は次のようになりました。


SWRでは、SWR1がアンテナそのままのHighバンドの特性で、SWR5がマッチング回路を通した特性です。またインピーダンスはZ1がHighバンドそのままの特性で、Z5がマッチング回路を通した特性です。

一応マッチングが取れたようにも見えますがすっきりした状態ではありません。これはアンテナの共振点、梯子フィーダーの共振点、マッチング回路が複雑に関係しているためではないかと思われます。すっきりさせるにはアンテナの共振点と梯子フィーダーの共振点を使用周波数に合わせて切り替えるようにすれば良いのですが、切替部分が複雑になるため当面の課題にしたいと思います。

今回の2バンドアンテナ+マッチング回路はまだ課題はあるものの、今まで使っていた7MHzアンテナ+ AH-4と比べると送信、受信とも+15dB位改善されており、一応実用になっています。

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