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楽しいエレクトロニクス工作

第78回 F2A発振器

JA3FMP 櫻井紀佳

アマチュア無線では、現在SSB、FM、CW、RTTY、FT8、DV等色々なモードが使われていますが、今回はFMによる電信であるF2A電波を発射するために使う発振器を作ってみました。

アマチュア無線では電信通信のことを一般的にCWと言いますが、元々CWはContinuous Waveの略とされており、電信そのものではなかったようです。無線通信の始まった初期の頃は変調の技術もなく、もっぱら電信による通信だったようですが、電波の発生源が火花放電によるもので、今から思うと多くの雑音と高調波を含んだ恐ろしく汚い電波だったようです。逆に、そのおかげで鉱石検波器を使った検波でもブザーのような音が聞こえ、結果として通信が可能でした。本当の連続波による電信では鉱石検波器による検波ではで信号を音として聞くことができません。

その後、真空管の発明などで火花放電の断続波でなく連続したきれいな波「CW」になりましたが、相変わらず通信の主力は電信であり、どこかで電信のことをCWと言うようになったのだと思います。

さて、F2A電波を出すためには低周波発振器を作り、これをキーイングしてマイク端子に入力すれば良いので、そのような回路を考えました。まず低周波発振器ですがきれいな正弦波が理想です。正弦波の発振器はウィーンブリッジの構成によるものなどが有名ですが、きれいな出力にするためには負帰還によるAGCなどが必要になり、少々面倒なため、今回はロジック発振器にすることにしました。この出力は矩形波のためLPFで高調波を取り除いて正弦波を取り出します。

全体の回路は次のようなものです。


IC1F~IC1Dを使ったロジック発振器の周波数はf = 1/2.2 x (R2+R3) x C1で決まります。今までの習慣で私は600Hz位のトーンが好きなため、中心をこの周波数にするとRが34.4kになるのでR2を27kとR3のVRで±50Hz位は動かせるようにしました。800Hz位のトーンを希望場合は、R2を22kΩにするとその周波数に変更できます。

ロジック発振器の出力は矩形波で多くの高調波を含んでおり正弦波とはほど遠いものですが、OPアンプによるアクティブフィルターで高調波を取り去り正弦波を取り出します。幸いにも50%デューティに近い矩形波は偶数次高調波が少なく、2倍の高調波はレベルが低いので主に3倍の高調波から上を落とせば良いことになり、簡単なフィルターで落とすことができます。

IC3Aと周辺のR6、R7、R8とC3、C4、C5のCRで構成されるLPFの特性のシミュレーションは次のようになりました。C5の値を変えるとピークの周波数が変わるので発振周波数に合わせて600Hz付近にピークが出るよう調整しました。C5を220pF位に戻せばカットオフ2.5kHz位の普通のLPFにすることができます。なお、R13~R15とC11はIC3AのOPアンプに中点のバイアス電圧を与えるものです。

発振出力の矩形波とLPF出力の正弦波の波形は次のようになっています。


発振出力とフィルター出力

キーイングはセミブレークイン回路にしました。キー入力がグランド側との間でキーイングされるとIC2Aが動作してロジック発振回路の出力がキーイングされます。このロジックは、本当はキーがOFFの時に出力がLになるNORの74HC02の方が良いのですが、手元になかったため74HC32のORにしました。またキーがONになるとIC4Aの出力ピン1がHになりIC1Dのピン8がLになるので、C6を通してIC4Aの入力ピン2がC6とR9で決まる一定時間IC4AのON時間が保たれます。これによってQ1がONになり、短点や長点の間に送信状態を保持し、PTTがONを継続して送信状態を保持します。C6は極性が一定しないのでバイポーラーのものが必要で、セラミックコンデンサーの大容量のものでも使えます。

LPFからの出力はR13のVRでレベルを調整してマイクコネクターから無線機に入力します。マイクの入力レベルは最大約80mV程度です。組立は56mm x 70mmの穴あき基板に部品をハンダ付けしました。縦型のコンデンサーが一部手持ちのないものがあり、代わりにチップコンデンサーを基板の裏側に付けたものがあります。

今回は出来上がった基板はケースに入れず基板のままで実験することにしました。このユニットを無線機に接続して送信すると変調度が心配ですが、少しマイク端子への入力がオーバーしても無線機内のIDC(Instant Deviation Control)が働いて大きな問題にはならないと思います。出力の電波をモニターして信号が歪まない程度にマイクゲインの調整を行ってください。

なお、このユニットを使用して実際にF2A型式による電波を発射するには変更申請を行いF2Aの免許を受ける必要があるのでご注意ください。

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