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楽しいエレクトロニクス工作

第86回 IC-705用電源

JA3FMP 櫻井紀佳

アイコムの新製品IC-705はHFから430MHzまで搭載しており移動運用にも便利な無線機と思います。そこで移動した時の電源を色々考えてみました。無線機本体は外部からDC13.8Vの電源を供給すると出力10Wで固定機同様に運用できます。また、本体に装着するリチウムイオン電池BP-272を使うと出力5Wで移動運用が可能です。リチウムイオン電池BP-272はID-31、ID-51などでも使われており、これをIC-705本体に装着して電源を外部のDC13.8Vとすると本体を運用しながら充電することもできます。


IC-705

移動運用を考えると携帯型の太陽電池が使えると便利です。太陽電池の出力電圧が12V系であればそのまま利用でき都合が良いのですが、インターネットで検索してみると携帯電話向けにUSBで5V出力のものが多いように見受けられます。

IC-705の外部電源入力の仕様は、13.8Vで送信出力10Wが出ます。その時の電流は3A、5Wの時は2.5A必要です。インターネットで見つけた、これに合う12V系の携帯型の太陽電池は次のようなものです。Amazonで見つけたKOSINの60Wタイプです。


(アマゾンのサイトより転載)

早速注文して届いたものは意外にコンパクトでスマートなものでした。折り畳んだ状態ではA4の雑誌が入る鞄のようですが、展開するとソーラーパネル6枚が繋がっています。


展開した太陽電池(左)と折り畳んだ状態(右)

外部への電源接続部は鞄のポケットの部分にあり、コントローラーと接続ケーブルや変換コネクターなども一緒に入っていました。USBの電源出力もあり携帯電話の充電も可能です。コントローラーの接続端子はリード線を直接ネジ止めする構造のため、ケーブルを接続するコネクターを別に用意する必要があり少し不親切に感じます。

この太陽電池の取説を見ますと、全体の構成に12Vの鉛バッテリーが必要なので手持ちの容量6Ahで大きさが110 x 70 x 120 mmのものを使うことにしました。全体の接続図は次のようになりました。


早速コントローラーに太陽電池とバッテリーを接続し試験してみることにしました。負荷にはいきなりIC-705を接続するのではなく抵抗負荷で様子を見てみます。この抵抗負荷は以前にも定電圧電源や太陽電池の試験に利用していたもので電気コンロ用のニクロム線で作ったものです。


最初は軽い負荷の1.5A程度で試してみます。当日は晴天ではなく薄曇りで、それでもソーラーパネルからの出力は14.5V位ありました。バッテリーを接続するとコントローラーに電圧がデジタル表示されます。バッテリーの電圧は13.8Vでしたが、あらかじめ充電していたものを接続したので状況はよく分かりませんが、この時の電流は0.1A程度の充電になっていました。

負荷抵抗の接続点を変えて電流が3Aになるようにしました。バッテリー電圧は同じく13.8Vでソーラーパネルからの出力は最初と同様に14.5Vになっていました。天候によって受光する太陽光の状態で変わると思いますが、バッテリー電圧は13.8Vを保っています。太陽光の強弱によって入力の電圧が変わってもバッテリー電圧はmax 13.8Vにコントロールされているようです。負荷の電圧はバッテリー電圧とほとんど変わらない電圧になっていました。これらの試験は上の写真にもありますように電流の測定にクランプ型の電流計を使いました。回路を切り離さずに電流が測定でき、精度も結構あって便利です。

太陽電池は移動運用中晴天で十分日光が当たっていれば良いのですが、天気の変動で大きく出力が下がった時に送信が重なるとバッテリーの過放電になる可能性があります。もしIC-705の外部電源の電圧が異常に下がれば9.2Vを基準にバッテリーパックに自動的に切り替わるようになっています。

今回のような12V系の太陽電池があれば、場所を選ばず楽しく移動運用ができると思います。バッテリーもあまり大きなものは必要なく、天候の変動の補助程度でも実用になりそうです。

12V系の太陽電池ではなく、携帯電話用の太陽電池でUSB 5V出力のものは使えないでしょうか。IC-705はMicroUSBジャックを備えており、そのジャックに市販のUSBケーブルから5Vを供給することでBP-272が充電できます。したがって携帯電話用の太陽電池でも充電が可能ですが、外部電源を使用した充電より時間がかかります。そのため、5V出力の携帯電話用の太陽電池を昇圧し、急速チャージャーでBP-272を充電することを考えてみました。

必要な電流は送信出力5Wの時でも13.8Vで2.5A必要です。太陽電池でUSB 5V出力のものは最大でも4A程度で電力は20Wになり、13.8Vまで昇圧すると変換効率100%でも1.4A程度しか取れません。インターネットで5Vから12Vまで昇圧できるユニットをみつけました。ほとんど1個のICだけで動作するものでLTC3111の同期整流型の変換効率95%というユニットです。


昇圧ユニットと回路図

このユニットを使ってIC-705用のリチウムイオン電池BP-272を充電する構成は次のようなものです。充電器のBC-202はBC-123Sと組み合わせてAC 100Vから充電するものですがBC-202の入力がDC12Vのため、この電圧に変換すれば使うことができます。移動中の無線機の運用を休止している時や予備のBP-272などに充電すれば良いと思います。


移動運用しやすい気候になってきました。無線機と携帯太陽電池を持って移動してみてはいかがでしょうか。



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