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楽しいエレクトロニクス工作

第65回 AM受信機

JA3FMP 櫻井紀佳

アマチュア無線の振幅系音声通信の主力がAMからSSBに代わってから随分時間が経過しました。それでも未だにAMに対する関心を持ち続けているハムもおり、各エリアのロールコールは週末など結構賑やかなようです。

一方、AMラジオも底堅い人気があるようで、昔のアナログテレビバンドの低い帯域でのFM化やインターネットで聞ける放送も話題になっています。AMラジオはゲルマラジオでも聞くことができますが、3端子ICによるストレート方式のラジオにも驚かされました。

そこで3端子ICを使った50MHzのAM受信機を作ってみることにしました。さっそく通販で3端子IC UTC7642を購入しようとしましたが、何しろ1個25円なので単品で買うには少し気が引けて結局5個も買ってしまいました。

50MHz AM受信機の構成は、50MHz帯のAM波をダウンコンバートしてAMラジオで聞くというものです。構成は次のようになりました。昔流にいうならクリコン方式です。

この構成での課題は、AMラジオの部分が中波ラジオの周波数帯のため500kHz~1600kHzと周波数が低く、このためシングルコンバージョンタイプのスーパーヘテロダイン方式では50MHzに対してイメージ特性が十分取り難い構成になってしまいます。

局部発振の周波数を下にした場合、50MHz帯の下側の周波数のイメージ妨害を受けることになります。50MHz帯では高周波部分でイメージ妨害を軽減させるための選択度の良いフィルターを作ることは、周波数が高いため困難です。ダブルスーパーヘテロダイン方式にすれば大きく改善できますが回路が複雑になります。私の住んでいる地域ではイメージにあたる周波数帯域にはあまり強い無線局はないようなのでそのまま進めることにしました。

各セクションの回路をユニットとして作るために、ブロック分けして作り、そのブロックを後から再利用できるよう考えました。各々のブロックは、高周波増幅部とDBM(Double Balanced Mixer)、局部発振部、AMラジオのブロックにしたいと思います。また、AMラジオは低周波増幅部を別にして再利用可能にしました。

ラジオの部分の回路は簡単で同調回路に3端子ICを繋ぐだけです。

入力のコイルは適合するものが手元にないので作ることにしました。コイルボビンは適当なものが手元なく、色々考えて結局水道の13mmφの塩ビパイプ用の外径24mmφの継手を利用することにしました。同調側はこのボビンに0.3mmのポリウレタン線を94回巻き、アンテナコイルとして10回巻きとしました。

ボビンの止め金具は古いコイルに付いていたものを取り外して使いました。ちょうどネジ止めのコアも付いていましたのでそのまま利用しました。バリコンも古いポリバリコンをジャンクボックスから探し出して使用しました。


コイルと受信部

3端子ICの電源は1.5Vのようなのでトランジスターのエミッターフォロワー型のものにしました。ベース側の定電圧源として緑色のLEDを使いました。このLEDの順方向の電圧を測定すると1.97V位で、Q1のベース­エミッター電圧が0.5V近くなので出力として1.5V位出てきます。

ラジオの部分はアクリル板でケースを作り、スプレー塗料で塗装しました。リード線で取り出した出力にクリスタルイヤホン(またはセラミックイヤホン)を接続するとラジオとして動作します。


3端子ICラジオ外観

低周波増幅回路はシンプルな構成のIC NJM368を使っています。このICの出力は約1Wでゲインは26dB程度です。3端子ICラジオに接続すれば実用になる音量が得られます。この部分もアクリル板でケースを作り、別ユニットとして使えるようまとめました。


低周波増幅回路とそのユニット

50MHz帯からラジオの帯域までダウンコンバートする高周波増幅とDBM(Double Balanced Mixer)の回路は次のようなものです。

高周波増幅部はFET 2SK125のGG(Grounded Gate)アンプでゲインはあまり高くなく約10dB程度と思われ、昔からよく使われている回路です。DBMは以前から多量に持っていたTDKのサイコロ形のものを使いました。DBMの出力側に簡単なLPF(Low Pass Filter)を入れています。その特性は次のようなものです。

このダウンコンバーターの部分は穴あきのプリント基板に組立てました。

局部発振部は、インターネットで見つけたちょうど適当な周波数にあたる24.75MHzの水晶発振子を使用しました。その水晶発振子で発振させ2倍の49.5MHzを取り出します。この周波数でも水晶発振子がオーバートーンモードになっているため、普通の発振回路では約1/3の周波数の基本波発振になってしまうためオーバートーン発振回路が必要です。周波数を2倍にする逓倍回路は今まで何回か使用したロジック回路にしました。

水晶発振子で発振させた信号と、その信号を遅延して反転した信号のEXORを取ると信号のエッジが取り出され2倍の周波数になります。その後アナログのバッファーとコレクターの共振回路でスプリアスを減少させて取り出します。

DBMに注入する局部発振の信号レベルは仕様書で+7dBmになっているのでこれに合わせるようにしました。この部分もダウンコンバーター部と同様に穴あき基板に組立てました。

それぞれのブロックが完成した後、これらを接続すると50MHzのAM受信機として働きます。構成が簡単なのであまりトラブルもなく働くと思いますが、感度やゲインで十分満足なものとして完成させるためには更に検討が必要と思います。

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