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楽しいエレクトロニクス工作

第62回 ドライバーSG

JA3FMP 櫻井紀佳

前回の144MHz→50MHzダウンコンバーターで、終段パワーアンプとそのドライバーの試験をするときに、少し出力の大きいSG(Signal Generator)が欲しくなりました。実はこのドライバーSGを先に作って試験したので、今回はこれをご紹介したいと思います。


完成したユニット

このような目的のためには、周波数の可変範囲が広く、出力も変化できた方が便利です。以前PLLの実験をしていた頃に使用した、モトローラ社の1連のPLL ICの中でVCO(Voltage Controlled Oscillator)用のMC1658がただ1個手元に残っていました。

このMC1658はECL(Emitter Coupled Logic)のマルチバイブレーターでデジタル動作のためノイズが多く、本来のPLLとしては好ましい特性ではないのですが、可変範囲が広い特徴を持っています。類似のMC1648はアナログ動作でノイズは低いのですが、周波数の可変範囲は外付けのバリキャップダイオードに依存していました。

今回の目的に合わせた回路は次のようになりました。


発振のMC1658はマルチバイブレーターでC1のコンデンサーとVCX(ピン2)の電圧で発振周波数が決まります。R9のVRでVCXの電圧を変えますが、電源電圧の上2V、つまり3V~5Vまでしか有効でないので下側にR11をつけています。

このICはECLですが、まだICの主流がバイポーラの頃、動作が早いことで持てはやされた時代がありました。モトローラ社ではいくつかのシリーズでECLのロジックICを揃え、ECLだけでほとんどのロジック回路の設計ができるようになっていました。巻末の資料のように、このIC ECLはデジタルICでありながら内部は不飽和のアナログ的動作をしています。出力もエミッターホロワーになっており出力に負荷抵抗を付けないと出力波形が観測できず、少なからず戸惑ってしまいます。CMOSの微細化で動作が早くなり今では全くECLの出番がなくなってしまいました。

このICの出力はロジック回路のため矩形波ですが、内部はアナログに近い動作で、C1を15pFにしてR9のVRによる電圧変化で、17MHzから63MHz位まで周波数を変化することができます。17MHzで出力が低いのはC9が少し容量不足のためと思われます。

C1を取り替えると周波数範囲を大きく変えることができるため、足の長いソケットにして[ CX ]と表示してケースの外部に出して取替可能にしました。

Q(ピン6)からの出力をR1、R2で分圧してC10でIC2 UPC1651に入力します。C9は出力の補償です。IC2はこの連載で度々登場するUPC1651で20dB弱ゲインがあり、増幅した信号は矩形波のため高調波が多く、LPFを通します。LPFのカットオフが60MHz位のため30MHz以下の周波数では高調波が取れず、出力に矩形波が出てしまいます。これより低い周波数にするためには、C1の容量を大きくして、それに対応するLPFにして切替える必要があります。

UPC1651の出力は+5dBmで飽和しますので、ユニットとしての出力はMax 0dBmとしました。この出力は10dBと20dBのスイッチによるアッテネーターで出力を調整します。実際には市販のチップ抵抗を使ったため9.7dBと19.7dBになりましたが、測定の結果は100MHz程度まで平坦で安定な特性をしていました。スイッチの数をもう少し増やして2dBや5dBを追加した方が他の用途で便利かも知れません。


アッテネーターと出力特性

組立はいつものように2.54mmピッチの穴空き基板で作りました。以前に使った残りの端切れ基板を利用したものです。

外観のケースは特にこの用途に合わせたものではなく、他の用途で購入して手元にあったアルミケースに入れました。

このユニットが出来上がって、前回の「ダウンコンバーター」の送信ドライバーの試験に使用しました。このドライバーの入力は-10dBmを想定していたので今回のユニットのアッテネーターを10dB効かせて、-10dBmで入力して試験しました。

今回の用途以外でも、100MHz位までの発振器が欲しい実験が時々あって、そんな場面で便利に使えるのではないかと思います。

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