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海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その68 カリブ海からも活発な運用 1991年 (5)

JA3AER 荒川泰蔵

カリブ海からも活発な運用

前回の南北アメリカに続いてカリブ海を紹介するが、太陽黒点数サイクル22のピークの時期に支えられ、カリブ海でも日本人の運用がアクティブであった。

1991年 (ケイマン諸島 ZF2QO)

JA7XBG坂部哲也氏は、ケイマン諸島でのZF2QOの運用経験をアンケートで寄せてくれた(写真1及び2)。「[ライセンスの取得]米国FCCのライセンス(Extra級)をベースに運用許可を得るつもりで、事前に担当官庁に必要書類を添えて申請した。ところが、出発の3日前になってライセンスを与えられない旨の手紙が添付され申請書類一式が返送されてきた。理由は日本と英国の間に相互運用協定が結ばれていないため、英国の運用法規に準拠しているCaymanの運用許可は、日本人である私には与えられないとの事。時間的余裕が無かったため、ライセンス無しで入国することにした。結局現地で担当者に会い、申請根拠がFCCのライセンスであることを力説し、やっとの事でライセンスが下りた。現在はこの点で改善され、日本人でも容易に許可されるようになった模様。ただし、ベースとなるライセンスが日本のものでOKとなったかは不明。[入国時の問題]今回はアンテナとしてHF用のバーチカル・アンテナ(CushcraftのR5)を持ち込んだため、入国審査の際にいわゆる「カモネギ」となり、荷物総てをチェックされた。通常はライセンスが下りると同時に機材の持ち込み許可書が発行され、これを提示することで、問題なく入国可能と思われる。私はこの持ち込み許可書が無かったためにリグの持ち込みが出来なかった。結局ライセンス取得後に、許可書を持って空港にリグを取りに行った。[運用場所]一般的な2階建てのホテルのベランダにCushcraftのR5を設置してQRVした。ライセンスが下りるか不安があったため、当初予定していたリニア・アンプの持ち込みは見送った。ベアフットではあったが、サイクル22の良好なコンディションに助けられ、多くのQSOが出来た。[現地の様子]当地はダイビングの名所として有名。確かに海は綺麗であるが、それだけに観光客も多い。電気の供給は全く問題無し。海岸沿いのメイン・ストリートには沢山のレストランやファースト・フードの店、土産物店等があり生活面での心配は要らない。私が泊まったホテルがChineseレストランであったため、よくお世話になった。交通機関としては、バスがスムーズに往来しており便利。空港~ホテル間はタクシーが利用できる。(1995年9月記)」


写真1. (左)ZF2QO坂部哲也氏と、(右)そのQSLカード。


写真2. (左)ZF2QO坂部哲也氏の免許申請書と、(中)その免許状及び、
(右)無線機器の輸入申請書兼許可証。

1991年 (アンギラ VP2E/N2HNQ)

JH4IFF右遠光政氏は、VP2E/N2HNQでアンギラから運用したとアンケートを寄せてくれた(写真3及び4)。「1991年5月にセントマーチン(FS)に行った際にアンギラ(VP2E)へ1日旅行し、PTTへ出頭して免許を受けた。特定の申請書はなく、会話をしながら免許状を作成してくれた。運用は8月に再訪した際にRTTYを中心にQRVしたが、当初はFGへも行く予定でVP2EXXのシャックよりQRVした。その後予定を変更し、VP2EHF/VP2EEから借用したアンテナで別の所よりQRVし、多くのJAとQSOできた。(1991年9月記)」


写真3. (左)VP2E/N2HNQ右遠光政氏の運用場所と、(右)そのQSLカード。


写真4. (左)VP2E/N2HNQ右遠光政氏の免許状。
(右)1991年当時のVP2Eの相互運用協定による免許者リスト。

1991年 (セントマーチン FS/NZ2Y, FS/JA6TIT)

JA1PIG臼井五郎氏FS/NZ2Yの免許を得て、セントマーチンで運用したと、写真や書類のコピーを添えてアンケートを寄せてくれた(写真5~8)。「東京の会社のクラブ局のDXペディションを世話している内に、私も行きたくなり参加しました。同じ会社ではないのですが、事務所が近くのJA6TIT/W2山口さんも特別参加です。ライセンスを取るのは簡単ですが、運用開始の3ケ月前迄に申請することとなっております。私と山口さんは3週間前に申請したので絶望的だったのですが、フランステレコムに電話したところOKとのこと、おまけにライセンスのコピーをFAXで送ってくれ大感激でした。オペレートしたホテルも親切で何の不自由もなく、思いきりハムバケーションを楽しみました。但し、コンディションは今一でした。今回の参加者は JA1FUI, JA1IFP, JG1UZG, JG1TCB, JL1RUC, JP1FOS, JH9MJY, JA6TIT/W2, NZ2Y/JA1PIG でした。(1991年11月記)」


写真5. (左)FS/NZ2Yを運用する臼井五郎氏と、(右)そのアンテナ。


写真6. (左)アンテナの下でFS/NZ2Y臼井五郎氏達と、
(右)FS/NZ2Y臼井五郎氏達の写真が掲載された月刊59誌1991年7月号の表紙。


写真7. (左)FS/NZ2Y臼井五郎氏のQSLカード。
(右)臼井五郎氏の近影、右側はW6TDL飯田大樹氏(2018年東京・JANETの懇親会にて)


写真8. (左)FS/NZ2Y臼井五郎氏の免許申請書と、(右)その免許状。

JA6TIT山口賢一氏は、セントマーチンからFS/JA6TITの免許を得て運用したとアンケートを寄せてくれた(写真9及び10)。「NZ2Y(JA1PIG)臼井OMから、日本無線ハムクラブ(JJ1ZXE)のメンバー7名がFSへのDXペディションを計画している旨お聞きし、臼井OMと共にニューヨークより参加させて頂いた。免許は、日本の免許状のコピーと70フレンチフランの為替小切手を申請書に添付し、フランステレコム宛送付。約2週間で入手できた。運用は1991年4月27日夜から5月4日早朝までの8日間で、9名が各々の個人コールを使用した為、重複もあると思うが、延べ129カントリー、約12,000 QSOであった。無線の他に、ゴルフ、買物、海水浴、ヨットクルーズ、カーニバルパレードを楽しむ機会に恵まれ、素敵な島でのDXペディションならぬ、DXバケーションとなった。オペレーターはJA1FUI、JA1IFP、JG1TCB、JG1UZD、JL1RUC、JP1FOS、JH9MJY、NZ2Y、JA6ITT。(1993年11月記)」


写真9. FS/JA6TIT山口賢一氏のQSLカードの表と裏。


写真10. (左)FS/JA6TIT山口賢一氏の免許申請書と、(右)その免許状。

1991年 (ドミニカ国 J78DX)

JA7XBG坂部哲也氏は、ドミニカで免許を得て運用したと、アンケートを寄せてくれた(写真11及び12)。「[ライセンスの取得方法] 事前の準備期間がなかったため、入国後にライセンスを取得するつもりで必要な書類を揃えて現地入りした。ホテルへチェックインするとすぐに、フロントで担当官庁の場所を尋ね、タクシーで直行した。米国FCCライセンス(Extra級)をベースに滞在期間中有効な運用ライセンスが容易に入手できた。当初は、AA0EL/J7のコールサインと指示されたが、J7*** のコールサインを要求したら意外にすんなりと認めてくれた。空いていれば希望のサフィックスでOKとの事だったので、思い切ってJ78DXを希望し了承される。このあたりから判断すると、アマチュア用の運用ルール等はあまり整備されていない印象。ネゴシエーションが有効な国は、またそれで楽しくはあるが・・・。[入国時の問題] アンテナを入れたケースの内容を質問されリグ等を持っていることがばれた。ライセンスは有るのかとの問いに(本当は持っていなかったが)「既に取得済」と胸をはったらそれ以上は追及されなかった。最悪の場合はハッタリも有効という例ではあるが、無論お薦めは出来ない。[運用場所] 当地にはホテルの数も少なく、最も高級なホテルに宿泊したが、それでも2階建て。海に面したホテルではあったが、ロケーション的にはいま一つであった。運用期間が3日しか無かったこともありQSO数は伸びなかった(550QSO)。[現地の様子] Dominica島は自然が多く残った島としてPRされているが、地形的には山が多く海は砂浜ではなく殆どが岩場。珊瑚礁が広がる綺麗な海が多いカリブ諸島の中では異色の存在と思われる。また島内も比較的発展途上国を思わせる風景が多く、私にとっては無線以外の楽しみは見出せなかった。電源は私にとって初めての200V系であったが、テスターでチェックした限りでは電圧変動がやや大きかった様に思えた。ただし、停電等のトラブルは無かった。[現地のアマチュア局] 特に訪問はしなかったが、街ではHFのトライバンダーと思われるアンテナを3~4回見かけた。比較的アマチュア局の数は多そうだった。(1995年9月記)」


写真11. (左)J78DX坂部哲也氏のシャックと、(右)そのQSLカード。


写真12. J78DX坂部哲也氏の免許状の一部(6ページ中の3ページ分)。

1991年 (バルバドス 8P9CA, 8P9CN)

JR2BEF鈴木康之氏は、バルバドスで8P9CAの免許を得て運用したと、詳しくレポートしてくれた(写真13及び14)。「ハネムーンとして5月7日に日本を発ち、現地時間(JST-14時間)8日夕方8Pに到着しました。レンタカーを借りて島を走っているうちに大きなHFのアンテナを見つけて訪問したのが8P6PWジャーガンさんのシャックでした。彼はこの島の「ウエルチタウン」に有るプランテーションのマネジャー氏で、シャックは砂糖キビ畑の広がる小高い丘の頂上にありました。彼に免許の方法など手ほどき受けライセンスを申請しました。免許の発給オフィスですが、首都ブリッジタウンの中心部から車で数分のところにあったのですが、なかなかわかりにくいところでした(政府機関が市の郊外のガバナーズビルと中心部のオフィス街に点在し、同じテレコムでもセクションによっていろいろな建物に分れて入居しているためで、住所だけではどちらなのか全くわかりません。ジャーガン氏にオフィスの場所を聞くと「ブリッジタウンの中央警察署に行って地図を書いてもらうのが一番手っ取り早い」と言われたぐらいです。申請には1) 現地個人局(8Pの国籍を持ち、5年以上島に居住する21才以上の人)2局の保証、2) 12WPM以上のCW能力の証明、3) 無線設備の技術適合証明、の事項が必要でした。1)の保証人はジャーガンさんが段取りしてくださいました。2)のCWの問題ですがはじめJA(2アマ)の英文証明を出したのですがJA 2アマでは10WPMなので駄目と言われ、慌ててUSAのエクストラ(WR1J, これは20WPM)のコピーを出してOKを貰いました。USAの免許でもテクニシアン以下はWPM12が無いので駄目だそうです。昨年VS6からQRVするときも12WPM云々を言われましたが、8Pが英連邦の一員であることを考慮すれば、12WPMという基準は納得と後になって思いました。3) 設備の適合証明は自作品の場合必要になるそうですが、私の場合はすべてが既製品であったのでメーカー名と形式を書けばOKでした。申請書には国籍と住所、職業を書く欄がありました。私はFCCの免許を使いましたが、国籍は「日本」、住所は「アメリカ」ということで処理していただきました。職業は日本の職業である「畑灌漑技術者(イリゲーションエンジニア)」と書きましたら随分印象が良かったみたいでHi。書類を事務所で書き上げれば、後は担当官と若干の面接の後、10分程度でライセンスを発行して頂けました。手作業でしたが、思った以上に早い処理に感心致しました。免許の制度ですが、毎年12月31日までの免許期間で、最長1年、書き換えが可能です。申請料は各年度についてBDS$40(約\2800)の税金を納入する形です。免許手続きは郵送や代理人ではダメのようですが、納税は代理人でもOKだそうですから、更改の度に島に渡る必要はなさそうです。またWARCバンドを含むオールバンド、オールモードの包括免許で最大出力は500Wです。プリフィックスは現地局(8P国籍)が8P6、それ以外の者には8P9が、サフィックスの方は最近AAから順に空いているところを割り当てるそうです。コンテスト専用局などには例外的に8P0とか1文字サフィックスを与えそるそうですが、基本的にはコールサインのリクエストは出来ないそうです。私の場合は8P9JAとか8P0Jが欲しいとダダをこねましたが、担当官いわく「一度や二度の申請でいちいちリクエストを聞いていたらきりが無い」。ごもっともだと思いましたが、ということは逆に何度も足を運んで、5回、10回と更改を繰り返せば「可能性あり」と私は勝手に判断致しました Hi。運用ですが、私はHF/6mのリグやアンテナをもっていましたので、宿泊先のホテルに局を設置して運用することも出来ましたが、8P6PWのシャックはレンタルコーテージになっていることが判り、コーテージ利用者にはアンテナを貸していただけるということだったので、夜になるたびに車で1時間かけてシャックに向かいました(ちなみに妻はハムではありませんHi)。ここには80mのDP、40mの2エレ、3エレのトライバンダーなどが2本のタワーの上に整然と張られており、ロケーションも抜群だった為に短い時間でしたが満足なQRVが出来ました。レンタルコーテージの利用は一晩について60米ドル程度ですが、利用期間の長短に応じて交渉出きるそうです。最近では8P9XがWWコンテストで利用したそうです。(1991年5月記)」


写真13. 8P9CA鈴木康之氏と、(右)そのQSLカードの裏表。


写真14. 8P9CA鈴木康之氏の免許状。

JA7XBG坂部哲也氏は、バルバドスで8P9CNの免許を得て運用したと、アンケートを寄せてくれた(写真15)。「[ライセンスの取得方法] 事前の準備期間がなかったため、入国後にライセンスを取得するつもりで必要な書類を揃えて現地入りした。ホテルへチェックインするとすぐに、フロントで担当官庁の場所を尋ねタクシーで直行した。米国FCCのライセンス(EXTRA級)をベースに年末まで有効な運用ライセンスが容易に入手できた。サフィックスに関しては特にリクエストをしなかったためアルファベット順である"CN" が下りた。コンテスト参加等の理由があれば(短期間ではあろうが)1文字のサフィックスが付与される模様。[入国時の問題] ライセンスは無かったが、特にトラブルはなし。[運用場所] ホテルの6階のベランダにCushcraftのR5を設置しての運用。JAの方向には開けており、まずまずのロケーションと思われたが、JAとは殆どQSO出来なかった。後に、この時期にデリンジャー現象が起きていた事を知って納得。残念。[現地の様子] Barbados島は、カリブ諸国の中で最も開けた島の一つと思われる。地ビールの生産をはじめ地場産業の発達や西インド諸島大学の存在などが、それを裏付けている。従って生活面での心配は不要。それどころか、日本人が永住したとしても極めて快適に過ごせるであろうと感じた。(1995年9月記)」


写真15. 8P9CN坂部哲也氏の免許状。

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