2014年5月号

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JO4GSH 河島悠太さん

山口県周南市の小学6年生河島悠太さん。無線との関わりは、幼い頃からもの作りが好きで小学生になると宇宙少年団に入会し、その少年団の指導者からアマチュア無線免許の取得を勧められたことからはじまる。その頃、もの作りが好きな大人達の自宅や仕事場を訪問させてもらうと、必ずと言ってよいほどそこには無線機が置いてあった。当時からすでにラジオを分解することなどが好きだった河島さんは、当然無線機にも興味を持った。

また、法事の時に河島さんが「真空管技術辞典」を読んでいるのを見つけた親戚が、「真空管が好きなら、真空管を使ったアンプで音楽を聴いたり、アンプを作ったりする会があるから行ってみる?」、と誘ってくれた。母親同伴でその会に参加してみると、アマチュア無線の免許を持っているメンバーも多く、そこでも免許の取得を勧められた。こうして河島さんはアマチュア無線免許の取得を決意し、小学校4年生の時にみごと国家試験で4アマを取得した。

ただ、機械いじりそのものが好きだった河島さんは、免許は取得したものの、交信にはあまり興味がなかった。無線機は自分で働けるようになってから購入すると、母親と約束をして、すぐには無線局の開局申請を行わなかった。

ところが、天体観測に参加したある日、星の説明をしてくれた講師の先生と無線の話になり、先生から使っていない無線機を譲り受けることになった。さらに、その天体観測の主催者が周南アマチュア無線防災ネットワークに所属するアマチュア無線家で、後日、河島さんに「今度の防災訓練に参加してみませんか」と声をかけてくれた。防災訓練に参加することを決めた河島さんは、譲渡してもらった無線機のほかにも、小学校1年生の時から貯めておいた小遣いでハンディ機を1台購入し、急いで開局申請を行ってJO4GSHのコールサインを受けた。河島さんの母親は、「もしこの出会いがなかったら、免許を取っただけで終わっていたと思います」と話す。

開局後、河島さんはさっそく防災ネットワークの一員となり、キー局を担当するための練習を重ねた。そして、昨年2014年11月に、周南市が主体となって行われた第1回周南市総合防災訓練において、アマチュア無線での通信のキー局を担当した。この訓練は、周南市において震度5強の地震が発生したことを想定して行われたもので、本部キー局となった河島さんは、シナリオに沿って、市内各所に置かれた避難所や病院、学校などの局との間で通信訓練をそつなくこなした。


通信訓練中の河島さん(周南市立桜木小学校にて)

このような訓練では、通常は運用に長けた熟練のオペレーターが担当するものだが、大人のアシストがあったとはいえ小学生が担当するとは驚きである。河島さんはこの通信訓練とその準備がきっかけとなって、翌12月には3アマ免許も取得した。

この頃から、毎週火曜日の夜に行われている防災ネットワークのオンラインミーティングに毎回参加するようになった。さらに、自らCQを出して、未知の局との交信にもトライするようになった。初めはうまくCQが出せずに苦労したが、ようやくCQにも慣れて来た頃、偶然にも河島さんに免許の取得を勧めてくれた、宇宙少年団の指導者に紹介してもらった局から応答があり交信できた。「その時は本当にうれしかったです」と河島さんは話す。

逆に残念だったのは、430MHz FMの呼び出し周波数で、これまで一度も電波を聞いたことがなかった熊本県の局と繋がり、指定されたサブ周波数に移動したところ、河島さん側ではあいにくその周波数が使えなかったため、応答できなかった。そのため再び呼び出し周波数に戻って、そのことを熊本県の局に伝えようとしたものの、熊本県の局はサブ周波数に移動した後で再び繋がらず、せっかくのチャンスだったのに交信に至らなかったことだった。

3アマも取得してアマチュア無線の楽しさに目覚めた河島さんは、休みの日には近くの山などからも積極的にCQを出すようになった。また本年年初のJARL主催のQSOパーティにも参加した。1月下旬に周南アマチュア無線防災ネットワークが、僻地におけるVHFの伝播状況調査を行った際には、河島さんも参加して、調査に協力している。その後、河島さんは社団局である徳山高専アマチュア無線同好会(地域防災研究会)に入会した。

この徳山高専アマチュア無線同好会は、周南地域の小中高校に社団局がひとつもないという状況を解消するため、市民の協力を得て徳山工業高等専門学校に再開局した局で、学校の社団局でありながら、小中学生を含む地元の受け皿として、一般のアマチュアにも構成員になってもらうという地域に密着した新しいスタイルの局である。

河島さんが今、一番力を入れていることは、受信機の製作である。材料を少しずつ集めて、コツコツと作っているところで、「完成がとても楽しみです。受信機が完成したら、つぎは手持ちの真空管で送信機も作りたいです。また将来は、HF帯を運用して遠くの局と交信してみたいです」、と抱負を話す。


製作中の受信機の説明をする河島さん

このコーナーでは、アマチュア無線の様々な楽しみ方に挑戦するハム(アマチュア無線家)を紹介します。
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