2014年9月号

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JF3CGN 滝澤修さん

独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の10周年を記念した記念局8J10NICTのマネージャーとして、全国各地から精力的な運用を行っている滝澤 修さん。


8J10NICT/3を運用中の滝澤さん

小学生の頃からテレビやラジオといった電波系に興味を持ち、色々な電波を受信するのが楽しかったという。小学5年生の頃にアマチュア無線を知り、資格取得に向けての勉強を始めたが、当時の国家試験は独学の小学生にはまだまだ難解だった。1975年、中学2年生で電話級アマチュア無線技士の資格を取得した滝澤さんは、翌1976年3月、京都市伏見区でJF3CGNを開局した。

初交信は、開局から4ヵ月ほど経った1976年7月21日、滝澤さんが発した21MHz SSBでのCQに応答してきたJF3CGQ局と行った。そのときの交信の様子は滝澤さんのHPで公開されている。成功するかどうかも分らない、初めてのCQを出す前にテープレコーダーをセットするとは、記録好きだったという滝澤さんならではである。

「自分の人生はアマチュア無線が軸になっています」、と話す滝澤さんは、大学では電気工学を専攻し、郵政省電波研究所(RRL)に就職した。RRLは滝澤さんが就職した翌年に郵政省通信総合研究所(CRL)と改称され、今から10年前の2004年にNICTに改組された。8J10NICTは、RRLの職員が40年前に開局した社団局JR1YPUを滝澤さんが復活させ、指定事項(コールサイン)を時限変更している局である。

滝澤さんは、一時的にアマチュア無線から離れていた時代があったが、仕事で非常用通信や、災害対策通信を手がけるようになったことがきっかけで、アマチュア無線の役割を自分自身で見直し、2000年頃にカムバックした。当時は、特定小電力トランシーバーでの遠距離通信も流行っており、滝澤さんはわずか10mWのハンディ機で、東京都昭島市の自宅から富士山と繋がり、無線って面白いな、と見直したという。

カムバック後、滝澤さんはコンテストを中心にオンエアしている。その理由は、短時間で多くの局と交信ができ、自局の電波がどのくらい飛んでいるか分るのが面白いからだという。

「アマチュア無線は老若男女を問わず、一生涯楽しめます。もちろん災害時にも有効です。そのためもっともっと世の中で受け入れられるべき趣味だと思っています。ニューカマーもさることながら、昔やっていた人にもぜひカムバックして欲しいと思います。今、記念局の運用に力を入れている本当の理由は、アマチュア無線そのものを多くの方に知ってもらいたいからです」と話す。

一方、滝澤さんは自身のホームページで「あなたの学校にもあったアマチュア無線クラブ」というリストを公開している。かつては多くの学校(小学校、中学校、高等学校ほか)に開設されていた社団局だが、現在ではその大半が廃局となっている。総務省の無線局情報検索では、廃局された局はヒットしないため、昔はあったが今はもうない社団局を検索することができない。

滝澤さんは、昔のアマチュア無線局名録(コールブック)をもとに、社団の名称から学校のクラブと推測される社団局を、エリア別、コールサイン順に手作業で入力していった。このリストを作成するきっかけになったのは、職場の廃棄図書の中に、1967年版の日本アマチュア無線局名録があったのをたまたま見つけたことだった。

「1967年版の社団局欄には、各エリアの社団局第1号JA*YAAから当時の最終割当コールまで、ほとんど抜けが無く載っていましたが、当時の社団局はほとんどが学校名を冠したクラブ局だったことに驚き、リストアップしてみたいと思ったのです」と話す。

滝澤さんは、入力を終えたエリアから順次公開して行ったが、本年5月、ついに、全エリア(JD1含む)の公開を開始した。ただし滝澤さんの手持ちのコールブックは欠落が多く、特に1970年代後半から90年代にかけての、アマチュア無線が最も盛んだった時代の局が大きく抜けており、リストの完成までは長期戦で考えているという。「このリストがきっかけとなって、自分の学校に昔あったクラブを復活させようという機運に、もしつながることがあれば、私にとってそれに勝る喜びはありません」、「今では毎日のように、誤りなどのご指摘をいただいており、適時修正を行っています。間違いに気づいたらぜひご連絡をください」と話す。

滝澤さんの当面の目標は、電信の習得と運用である。その理由として、電信なら小さいアンテナや、またローパワーでも遠くまで飛ぶことを挙げ、今ではアマチュア無線でしか使われていない電信の技術をぜひ身につけたいという。滝澤さんは、3級免許を所持し、電信運用ができる局免許も受けているが、まだ交信には至っていない。「電信を聞いていて、大体は分るようになってきたのですけど、まだ一部とりきれないところがあります。もう少しがんばればできるかな、というところまできました。私は無線歴が長く、無線に縁の深い業界にいますが、奥の深いアマチュア無線の世界では、まだまだ初心者です」と話す。

このコーナーでは、アマチュア無線の様々な楽しみ方に挑戦するハム(アマチュア無線家)を紹介します。
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