2015年7月号

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JA3UNA 出口英昭さん

奈良県北葛城郡河合町からオールバンドにアクティブな出口英昭さん。大阪市に住んでいた小学生の頃、エレキットでラジオを作ったのをきっかけに無線に興味を持った。その頃、近所にアマチュア無線を運用しているOMがおり、時々訪れては3.5MHzなどを聞かせてもらったという。当時は、近所のアンテナを見つけては、アポなしでお邪魔し、アマチュア無線のことを教えてもらうことは珍しくなかった。またそのような少年の突然の訪問を歓迎するOMも多かった時代である。

アマチュア無線に興味を持った出口さんであるが、国家試験の受験を躊躇していたところ、近所のOMから、「早く免許を取得しないとコールサインが無くなるぞ」と背中を押され、中学2年のときに同級生たちと電話級アマチュア無線技士を取得した。コールサインが無くなるというのは、もちろんJA3プリフィックスのコールサインの割り当てが終わってしまうという意味である。

国家試験をパスした出口さんは1969年3月31日付けでJA3UNAの局免許を取得し開局した。ただ中学3年になった出口さんは高校の受験勉強もしなければならず、初めの1年間はあまりオンエアできなかった。翌1970年、高校に入学した後にFDAM-3を入手し、50MHzのAMでアクティブにオンエアするようになった。さらに約1年後にはTS-510を入手して、7MHzや21MHzにもオンエアするようになった。このころはもっぱら国内QSOに精を出したという。その後大学へと進学するが、趣味の対象がオートバイやマイコンに移り、一時的にアマチュア無線のアクティビティが低くなった時期もあったが、それでも止めてしまうことなく継続し、JA3UNAの免許を5年ごとに確実に更新して今に至っている。

出口さんは気象庁に就職し、主に観測や海洋関係の仕事に従事した。気象レーダー、ラジオゾンデによる高層気象観測、航空や海洋気象観測を担当したが、職場は近畿・四国内を中心に、これまでに12回転勤した。「このくらいの転勤は普通ですよ」と話す。もちろん転勤した先々でもベランダにアンテナを上げて細々ではあったがオンエアした。高層気象観測を担当している関係でチャンスがあり、南極昭和基地勤務の希望を出してみたが叶わなかった。また南鳥島勤務の希望もあったが、運悪く、たまたま勤務先の測候所から南鳥島へ派遣していない時期と重なり、実現しなかったことを出口さんは残念がる。それでも「南鳥島行きは定年になるまで希望を捨てませんでした」と話す。

潮岬測候所での勤務時代は、ちょうどサイクル22のピーク時期と重なって、簡単なワイヤーアンテナでもよく飛び、その頃から出口さんはDX QSOに熱中して行った。その後も転勤は続いたが、本格的に無線をやりたいという思いもあり、1994年に現在の住所に居を構え、自立タワー2本とパンザマスト1本を友人の応援を得て自力で建柱した。特にメインの自立タワーは、建てるのに約半年を要したという。これらのタワーに1.9~430MHzまでのオールバンドのアンテナを上げている。


サブタワー(左)、メインタワー(中央)、パンザマスト(右)。


貫通碍子を使用した1.9/3.5MHz用ロングワイヤーの室内への引き込み部分


ロングワイヤーの室内側。送信するとネオン管が点灯する。


ロングワイヤーの主要部分は3線式にしてある

出口さんの現在の目標は多々あるが、まずは各種アワードの取得を挙げる。80m DXCC(残23エンティティ)を完成させて5バンドDXCCの取得(WARCも入れると8バンドDXCC)、現役の間の到達を目標にしていたが達成できなかったDXCCオナーロール、10MHzのみのWAGAの完成、ご当地コールサイン(当該州に割り当てられたコールサイン)でのCW WASの完成などである。さらに、アンテナのグレードアップとQRO。また将来的には470kHzへのオンエアも目標にしている。

本年3月に気象庁を定年退職した出口さんはますますアクティブになった。しかし、「現役の頃、変則勤務で平日が休みのときはメリットがありましたが、団塊の世代がリタイアしてしまった今では、平日でも珍局に対するパイルがきつく、土日と大差がありません。そのため平日に出られるメリットが感じられません」と話す。

出口さんは、もっぱら趣味として自宅に様々な気象関係の測器を設置している。最後にその一部をここで紹介する。


自作の百葉箱。内部には最高温度計、最低温度計などを設置。


サブタワーに設置した日照計(上)と、電気式温度計 (下)。


テラスに設置した雨量計。


シャック内に設置した気圧計。

このコーナーでは、アマチュア無線の様々な楽しみ方に挑戦するハム(アマチュア無線家)を紹介します。
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