2015年8月号

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JR6GV 平良勝也さん


8N6HAMを運用中の平良さん

JARL沖縄県支部長のJR6GV平良さん。アマチュア無線を始めたきっかけは、中学生の頃、友人と一緒にJR6AG高良さんのご自宅を訪問したことだった。そのころはすでにアマチュア無線という言葉は知っていたし、デパートなどでの公開実験を見たこともあった。またラジコンをやっていたため半田ごても持っていた。しかし、初めて見たアマチュア無線局のシャックは衝撃的だったという。

当時の沖縄は、米国の統治下に置かれており、アマチュア無線の資格試験は実施されていたが、日本のものとは異なるものだった。当時日本では第一級、第二級、電信級、電話級の4資格だったが、沖縄では第一級、第二級、第三級の3資格で、電信の実技試験が無い日本の電話級に相当する資格がなかった。従って、当時の米国同様に、アマチュア無線の資格を取得するには、電信をマスターすることが必須となっていた。

平良さんは、それから電信をマスターし、アマチュア無線に興味を持っていた友人らと一緒に第三級の試験を受験、「緊張しました」と話すがみごと合格。琉球政府が発行する無線従事者免許証を受領した。ただし琉球政府の発行とはなっていたが、米国の高等弁務官がサインした免許証だった。

それから平良さんは無線機の制作に取りかかり、同時に開局申請も行った。当時の3級は終段入力10Wだったが、14MHzにも出られたので、平良さんは、7、14、21、28、 50MHzの5バンドで開局申請を行い、1967年にKR8GVの予備免許が下りた。

免許が入力指定のため、落成検査についても出力の測定ではなく、終段管への入力の測定であった。ただ入力測定は問題なく終わったが、検査官が持ってきた周波数測定装置に不具合があり、周波数がうまく測定できなかったため、後日、再度検査を受けることになった。

再検査を経て、KR8GVの本免許を受領した平良さんは、電信をメインに運用を始めた。また、開局後すぐに第二級を取得して入力100Wに増力、さらにその後1級を取得して入力1000Wの免許となった。また、1972年、沖縄の返還にあわせて、コールサインはKR8GVからJR6GVに変更になっている。

平良さんがアマチュア無線をやってきてよかったのは、通常ではなかなか行く機会のない、アルバニア(ZA)や、ブータン(A5)に行き、そこから運用できたことだという。この2つのエンティティはそれぞれの国でアマチュア無線が再開された後、程なくして運用したため、世界中から大きなパイルアップになった。平良さんはいつも得意の電信を担当した。それ以外にも北マリアナ諸島(KG6、KH0)や、パラオ(KC6、T8)などからも運用した。

「沖縄からの運用で苦労しているのは、やはり台風対策です」と平良さんは話す。沖縄ではシーズンになると台風が次々にやってくるため、台風シーズンにはビームアンテナは下ろしている。具体的には11月~4月に集中的に運用し、毎年4月末頃にアンテナを下ろす。たとえクランクアップタワーをダウンしたり、エレベータを下ろしたりしてもダメで、アンテナは完全にタワーから外してしまわないと、ダメージを避けられないという。以前は台風のたびに何度も上げ下げを行っていたが、今は完全に下ろし、その後はワイヤーアンテナで細々と運用している。

一方、沖縄県の特徴として離島が多いため、平良さんは地域の活性化も含めて、非常通信のネットワークの構築に取り組んでいる。アマチュア無線は災害時に大変有効であるが、沖縄ではこれまで体系立ったものがなかった。そのため、4、5年前から支部として取り組んできた。今では宮古島と石垣島にも担当者(支部役員)をおき、一緒になって取り組んでいる。非常通信訓練は年2回程度行っており、VUHFでは遠方の離島まで届かないため短波を活用しているが、現在はD-STARの活用も視野に入れ、まずは那覇市にD-STARレピーターを開設した。

平良さんは、JARL沖縄県支部長として、災害時のアマチュア無線による協力網の構築に尽力した実績などが評価され、本年(2015年)6月の電波の日に、沖縄総合通信事務所長表彰を受賞した。「支部役員や支部会員の皆さんの支えがあったから、ここまでやってこられました。今後も非常通信網の充実には継続して取り組んでいきます。また、個人的には、アンテナをグレードアップし、Dxingにもっと時間を取りたいです」、と平良さんは話す。

このコーナーでは、アマチュア無線の様々な楽しみ方に挑戦するハム(アマチュア無線家)を紹介します。
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