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Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その11 SOTA:その過程をも愉しむ(JG0AWEさんの楽しみ方)

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

みなさんこんにちは、JH0CJH川内です。

今回紹介するのはJG0AWE 若麻績さんです。若麻績さんは長野県の北信地区中心に活動をされております。過去にはアメリカに住まわれたこともあり、ヨセミテ国立公園のシンボル、ハーフドームには5回登頂し、またジョン・ミューア・トレイルも歩かれたことのあるとてもエネルギッシュな登山家です。一方で「山頂で万歳はしない!」と言うポリシーをお持ちで山への畏敬の念を決して忘れない山岳愛好家です。その山を愛する気持ちから、清掃登山を行ったり、「AMラジオ工作教室」にボランティアで参加され無線と山の愉しさを若い世代に継承する活動も行っています。今回は家族で行った乗鞍岳、そして先月末に行かれた北アルプス表銀座の縦走の様子も書いていただきました。今日はそんなエネルギッシュなアルペンクライマー、若麻績さんのSOTAの楽しみ方を紹介したいと思います。

タイトル「SOTA:その過程をも愉しむ」

JG0AWE 若麻績宗亮


温泉好きなJG0AWE。山の帰りには秘湯に立ち寄ることも多い

アマチュア無線との出会い

今から約28年前、アマチュア無線が「The King Of Hobby」と言われていた当時、山に行くようになったこと、親戚が無線家だったことがきっかけで私もアマチュア無線を始めました。まだ携帯電話が一般には普及しておらず、時代はまだまだポケベル。そんな時に自宅の電話以外で免許のある人となら誰とでも話ができるHamは魅力的だったのを覚えています。自作のリグやC150、C520で夜な夜な同世代のローカルとラグチューをしていました。年齢・性別・職業・住んでいる地域をも越えた出会い=縁は私のその後に良い刺激になったと振り返っています。

東日本大震災が一つのきっかけに

そんな私も携帯電話の普及や海外移住などで暫く無線とは離れた生活を送っていました。11年前に実家に戻りましたが、日々の生活が多忙だったことも重なり無線機を目にしても懐かしいだけでHamに復帰するには至りませんでした。しかし、東日本大震災の時に固定電話・携帯電話などの通信インフラが途絶えた際、アマチュア無線が替わって活躍したということを耳にする機会が多々ありました。丁度、山登りも再開したことも重なり、再びHamの世界へカム・バックいたしました。街中に居る時、携帯電話が繋がらないと言うことは殆どありません。それが里山でも山に行けばキャリアにも寄りますが殆ど使えません。特に山では不測の事態に遭遇する可能性も上がります。パニック状態時にはスマートフォンの操作すら手間になります。それが無線機の場合、バックパックのショルダーベルトやウエストベルトに有れば手袋をしたままでも操作が可能です。また1対1ではなく複数と同時に情報の共有も可能です。今では山に行く際の必携アイテムになりました。 

自由なつながりのSOTAとの出会い

SOTA is an award program not a club or society; as such you can't be a "Member" of SOTA but you can certainly be a participant! = SOTAと言うクラブは存在しません。 第4回でJM3HRC山口さんも書かれていますが「SOTAの信条は、競争でなくマイペースで楽しむこと」。この「ゆるさ=自由なつながり」が私にはぴったりでした。故に天気が良い日に時間ができれば、握り飯と温かい一品が食べられるセット、無線機を背負ってSOTA山へ。樹氷を風よけに北アルプスを眺めながらのQRV。時にはFT-991M+鉛バッテリーを背負って雲海超の山頂に出かけたりもします。正に趣味の世界です。


焼額山山頂:FT-991Mと鉛のバッテリーを担いで真冬の焼額山山頂へ。樹氷の中でのQRV


焼額山鍋焼き:山の上での鍋焼きうどんはまた格別!

家族と山へ

未だ小学1年生の2ndと2人で山に行けば、無線機を持参していても中々CQを出しての積極的な運用はできません。ただXYLが一緒の時は短時間ですがQRVすることもあります。先月、乗鞍岳にハイキングを家族3人で行いました。眼界に広がる北アルプスや乗鞍岳の歴史などを家族で話しながら山頂で温かいランチを戴き、至福のひとときを過ごし、その後40m SSBで各局とQSOさせていただきました。いつかは、家族でSOTAあるいはS2S(Summit To Summit)ができればと夢を抱いています。


乗鞍道中:親子で登山、道中の話題に尽きず


乗鞍山頂:家族3人、無事に登らさせていただきました


乗鞍QRV:乗鞍岳ではFT-891M+リチウムイオンバッテリー+Radixダイポールで40M SSBにQRV

銀ブラ=北アルプス 表銀座

秋雨前線の位置について天気予報が時間毎に変化するという難しい気象条件の中、今年の8月30日から北アルプス表銀座を縦走しQRVさせていただきました。

●1日目(8月30日)中房温泉〜燕岳山頂(SOTA JA/NN-019)〜大天井岳山頂(JA/NN-010)。

●2日目(8月31日)大天井岳山頂から赤岩岳(JA/NN-018)、西岳を経たところで暴風雨と雷のため水俣乗越から槍沢大曲へ迂回し槍沢ロッジ泊。
●3日目(9月1日)槍沢ロッジから上高地へ。
(東鎌尾根と槍ヶ岳はまた次回。)
●結果的に悪天候の銀ブラとなりましたが、ショルダーにつけたVX-8Dは頼もしい存在でした。特に私の使っている携帯電話会社は北アルプスエリアでは使い物にならず、また約23キロのバックパックを背負って単独での縦走でしたので、何か有ればPTTさえ押せれば誰かしらと交信できると言う環境はメンタル的にも支えられました。 (ちなみにXYLに日程の変更を伝えられたのは山小屋の衛星公衆電話からでした。)
有名な1923年のニューヨーク・タイムズ紙とGeorge Malloryのやり取りの一部、 
Q: Why did you want to climb Mount Everest?
A: Because it's there. 
「そこに山があるからさ(K.F.氏訳)」とされていることが多い。でも私は「世界最高峰のエベレストがあるから(どんな所か行ってみたい)」かな?とも以前から思っています。 初めて登る山も、何度も登っている山も「お〜、こういう山だったんだ!」という喜びは毎回「必ず」あります。山頂へ立つことだけではなく、その道中も愉(たの)しみます。 今回の銀ブラ中も素晴らしい景色に出会えましたし、登山者も少ないこともあり雷鳥に会う機会も多々ありました。そして山頂についた時、万歳をするのではなく「無事、登らさせていただきました」と山に感謝します。決して山を征服することは無い。そもそもそんなことできません。Hamも似たところがあります。QRVするためにリグを調整したり、空中線(アンテナ)を作ってみたり、バッテリーを悩んでみたりしている電波を出すまでの時間も愉しい。銀ブラの直前にハムフェアが有ったことから、余計に愉しむ機会が増えラジオ少年の如く各ブースにもお邪魔しました。北アルプスでのUHFの運用ではVX-8Dとハムフェアで入手した4エレ円ループアンテナ=GH-4を使用しました。


表銀座:見えている尾根を一歩一歩進みます


大天井岳山頂:強風の為、HFのアンテナが建てられずUHFのみの運用。県内各局と埼玉県深谷市、愛知県安城市の局とQSO

今後の私のHamLife


ラジオ教室:小学生向けに行われる「AMラジオ工作教室」にも地元O.M.と共にボランティアで参加

2ndを始め若い世代に無線の愉しさと必要性を伝承していきたいと思っています。今回の表銀座の縦走中に2つの大学のワンダーフォーゲル部のパーティーと会いましたが、どちらも無線機は持っていませんでした。実際にアマチュア無線機も見たことがなかったようで、興味深く私の無線機を見ていました。

SOTAのキャッチフレーズは「地球規模で遊ぼう!」。日本も含め世界中に居るHamという同じ趣味を持つ局とご縁をいただければと願っています。そして背伸びはせず、永くHamLifeを続けたいと思っています。色々な山、QTHからQRVしますので聞こえましたらよろしくお願いいたします。


愛用の登山靴:愛用の登山靴。登山後は感謝の気持ちを込めて、リグと登山靴のメンテナンスは欠かさない

See You On The Air !

JG0AWE 若麻績宗亮 拝

いかがでしたでしょうか?

若麻績さんの山を愛する気持ちがわかる文章と写真ですね。装備の写真を見ていただけるとわかると思いますが重量級のザックにあらゆるものを積み込んで、これほどの高山を渡り歩く、とてもエネルギッシュな登山家です。SOTAの活動にも積極的に参加、協力をいただいております。若麻績さんの山を愛する気持ちを我々も見習いながらSOTA運用を楽しみたいと思います。

JH0CJH 川内 徹

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