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Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その14 SOTAにチャレンジ(JL1NIEさんの楽しみ方)

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

みなさんこんにちは、JH0CJH川内です。
今年も気が付けば師走、2018年も残り少なくなってまいりました。今回は関東地区で登山とSOTA運用を楽しまれているJL1NIE友部さんを紹介したいと思います。友部さんは山岳移動運用だけではなく、山岳解析ソフトやSOTAWatch2と言われるSOTAのクラスターとAPRSを関連付けたソフトの開発を独自に行って、より便利な使い方を提案していただいています。2015年にVK3ARR Andrew Ryan氏の多大な協力のもとにSOTA日本支部は膨大な山岳リストを完成させ設立されましたが、その1年後に大きな山岳リストの修正と追加を行いました。この時に友部さんの山岳解析ソフトを使って修正点や追加の山岳リストを作る時に多大な協力を頂きました。また山岳移動で使う、さまざまなアンテナの研究なども楽しまれております。それでは今日は友部さんのSOTAの楽しみ方を紹介していただきましょう。

SOTAにチャレンジ

JL1NIE 友部実

SOTAとの出会い

10年程前、数十年振りに再開局しHFでDXを中心に細々と無線を楽しんでいました。その後ソーラーサイクルは下降気味となり、市街地のノイズの多い環境ではDXは難しく無線のアクティビティは下がる一方でした。そんな中、移動運用を中心に無線を楽しまれていたJG1GPY安部さんと知り合い、移動用QRPリグのキット製作やアンテナの自作など、ふたたび無線熱が高まる中、SOTAに出会いました。
まだ雪の残る丹沢の仏果山にHB-1BというCW専用のQRPリグと自作のアンテナを担いで登り、WやVKとQSOしたのが最初のSOTA DXでした。ノイズのない静かな山頂で自分の出すCQに深いQSBに伴うDX局がコールしてくれる。数ワットのパワーと小さなアンテナでもDXと交信ができる。SOTAの魅力に取りつかれた瞬間でした。


残雪の中でアクティベーション

SOTA山捜しにチャレンジ

SOTAの対象となる山頂(SOTA山と呼んでいます)はコルとの標高差が150m以上と機械的に決まっています。信仰の対象にもなるような山をずいぶん乱暴に扱っていますが世界共通のルールとするためには仕方がないことかと思います。
日本には1万8千もの山があり人手でSOTA山を見つけるには限界があります。これを自動で見つけることができないか?国土地理院から日本全国を10mのメッシュに区切った60GBにも及ぶ標高データを入手し解析にチャレンジしてみました。
まずは標高データをプログラムに扱い易い形に変換し、Contour Treeと呼ばれるデータ構造に変換します。次にデータを再帰的にたどり、山頂とコルが150m以上あるものをしらみ潰しにリストアップしました。24GBものメモリを積んでも解析できるのはせいぜい160km四方。日本全土をいくつかの領域に分けて5時間程で全国の解析結果を得ることができました。最後に解析結果をJavaScriptを使って可視化しています。


丹沢から中央線沿線のSOTA山候補

上の図は丹沢から中央線沿線の山々を解析した結果です。青いマーカは既に山岳リストに登録されているSOTA山、赤いマーカが新しく発見されたSOTA山です。山頂から延びる青い線がコルの位置を示しています。
プログラムの解析により150mルールを満たす山々を日本全国で新たに2000座以上見つけることができました。SOTA山候補リストを作成後、SOTA愛好家の皆さんのご協力のもと山頂の名称を特定し、JAの山岳リストをアップデートすることができました。

山岳移動の準備も楽しい

東京近郊の低山を中心にアクティベーションしていますが、低山とはいえ装備は軽くしたいもの。リグやバッテリー・アンテナなど軽い装備でどこまで飛ばすか山岳移動のための装備作りもSOTAの楽しみの一つになっています。特にアンテナはギボシダイポールやマグネチックループ、グランドプレーンなど様々なタイプのものを作り、山頂で展開のしやすさや飛び具合等を比べています。

HF帯で一番出番が多いのがEFHW(Endfed Half Wave)というダイポールのエレメントを片側から給電するタイプのアンテナです。リグに近い場所から給電するので同軸ケーブルが短くすみ軽量化できること、バーチカルや逆Vなど伝搬状態に応じて色々な形に展開できることが気に入っています。インピーダンス変換の為のトランスをスティック糊のケースに入れて同軸ケーブルと一体化した「Glue-EFHW」(JG1GPY局が命名しました)というアンテナを作り愛用しています。


Glue-EFHW

また作ったアンテナはWSPR BeaconというHF帯のデジタルモードのビーコンを使って性能を比較しています。同時刻にアンテナを切り替えながらビーコンを出すと、各国のレポーターがSNRを報告してくれるのでその結果を比較しアンテナの性能を比べています。


WSPRだとQRPでも思わぬ距離まで飛ぶ

気まぐれな電離層の状態を予測しながら軽い装備で可能な限りDXに飛ばすという試行錯誤のプロセスそのものが楽しみになっています。アンテナ作りとWSPRによるアンテナ評価に関する詳しい記事を2018ハムフェアで展示しました。文末にリンクがありますので興味のある方は是非ご覧下さい。
V/UHF帯ははじめたばかりなのでまだまだ研究中ですが、50MHzはスカイドアアンテナが気に入っています。簡単な構造のわりにはゲインも稼ぐことができ、高く登れば登るほどQRPでも良く飛ぶ50MHzの面白さが判りました。430MHzは手軽に持ち運ぶことができるコリニアアンテナが一押しです。多段にするとビームが切れすぎじゃじゃ馬となりますが、山岳回折などで思わぬところへ飛ぶので使っていて楽しいアンテナです。


JA/KN-020 権現平 SOTA忘年会での運用風景

アクティベーションに行こう

SOTA山には一般のハイカーにとってはマイナーで山頂からの眺望もないところも多くあります。そんな山でも我々にとっては1人静かにDXからの信号に耳を澄ますことのできる最高の環境です。逆に人気の山では他のハイカーの邪魔にならないよう山頂を離れ(標高25m以内ならOKというルールがあります)あえて眺望の悪い木々の中にシャックを構えることもあります。


眺望が良く広い山頂がお気に入りの
JA/YN-075 雁ヶ腹摺山

最近「車窓の山旅 中央線から見える山」という中央線の車掌を40年近く務められた山村正光さんが書かれた本を入手しました。中央線の車窓から見える山々がイラスト付きで紹介されており眺めているだけで楽しい本です。いつかはここに載っているSOTA山を制覇したいと思っています。


イラストが楽しい「車窓の山旅 中央線から見える山」

仲間と登ると楽しい

SOTAを始めた頃はソロで登ることが多く、如何に早く山頂にたどり着いて無線をやることばかり考えていました。一人で休みも取らず淡々とストイックに登るのも好きなのですが、最近は仲間とのんびり風景を楽しみ無線談義をしながら登ることも増えてきました。
SOTA仲間のJG1GPY安部さん、7M4EZB山内さんと「枡形山無線倶楽部」(小田急線向ヶ丘遊園にある丘の名前から命名しています)を名乗りあちこちの山をアクティベーションしています。


JA/YN-012北奥千丈岳をアクティベーション中の
JG1GPY局(左)と7M4EZB局(右)

アクティベーション後は持ち寄った機材や食材を使って料理を楽しんでいます。山頂で食べる食事は格別です。


ラジウスを使って山頂でパスタ作り

また2017年末には関東近郊のSOTAアクティベータ(お一人は島根から参加!)が集まり、SOTA忘年会をJA/KN-020権現平で開催することができました。SOTAの一番の収穫はこのような仲間と知り合えたことだと思っています。


SOTA忘年会を上空から撮影

最後に

今回はアクティベーションの話題が中心となりましたが、SOTAはチェイサーとしてポイントを集める楽しみ方もあります。週末どこかの山からアクティベータがQRVしていると思います。TwitterやAPRSでもスポット情報を展開していますので、ぜひコールをしてみて下さい。皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。


Twitter (@SOTAwatchspotJA)
※JL1NIE-10宛に空のAPRSメッセージを
送ると最新3スポット情報を返します

関連文献
JL1NIE’s Blog 「ハムフェア2018」

いかがでしたでしょうか?友部さんは子供さんともいっしょにサッカーやアウトドアを楽しまれている素敵なパパさんです。大自然の中でおおいに遊び、そしてご自分のソフトウェアの開発力を生かして便利なツールやシステムを作る、そんな形でSOTA日本支部を大いに盛り上げていただいている友部さんの楽しみ方や運用の様子が解ったのではないでしょうか?ぜひ皆さんも一緒にSOTAを楽しみませんか? 
SOTA日本支部では常時メーリングリストの申し込みを受け付けております。私宛、コールサイン@jarl.comでも結構ですし、SOTA日本支部のホームページの問合せのページから連絡を頂いても結構です。

JH0CJH 川内 徹

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