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海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その66 アルバニアが約40年振りに再開 1991年 (3)

JA3AER 荒川泰蔵

アルバニアが約40年振りに再開

この年(1991年)のアマチュア無線界のトピックスとして、アルバニアのアマチュア無線が約40年振りに再開されたことがあります。今回はそこから運用された方々のレポートから紹介します。

1991年 (アルバニア ZA1A, ZA1ZJ, ZA1ZPL)

JA1HQG有坂芳雄氏は、アルバニアから日本人として初めて、JA1BK溝口皖司氏と共に運用したとレポートしてくれた(写真1)。「ZA1Aは開局記念局で、日本人ではJA1BK溝口さんと私が運用しました。私は一応JARLの会長代理という立場でしたので、本来のアマチュア無線を楽しみに行けず多少ストレスがたまりました。ともあれ皆様のバックアップで、アルバニアから電波が出せたことは大変うれしいことでした。(1991年11月記)」


写真1. ZA1A有坂芳雄氏のゲスト免許状。

JA1BK溝口皖司氏は、上記有坂芳雄氏と共にアルバニアからZA1Aを運用したと、免許状のコピーを添えてアンケートを寄せてくれた(写真2)。「今後、誰でもアルバニアからQRV出来ます。(1991年11月)」


写真2. ZA1A溝口皖司氏の免許状。

JK1OPL小野彰彦氏は、アルバニアから日本人のグループで運用した経験をアンケートで寄せてくれた(写真3及び4)。「我々の運用はJARLからのアルバニア派遣団の第2陣という位置付けで行なわれ、団長JF1IST藤原氏以下JH1EDB, JI1DLZ, JR6GV及び私JK1OPLの5名であった。運用は、首都チラナから車で約1時間のアドリア海に面した保養地デュラスのホテル アドリアにおいてWWコンテスト(電話部門)に参加することを中心に、その前後数日にわたって行なわれた。コ-ルサインはコンテスト用にZA1ZJが、そのほか個人用にそれぞれの希望するものが(私の場合にはZA1ZPL)が与えられた。我々の運用の成果としては、50MHzにおけるJA-ZA間の初交信をはじめとしてWARCバンドやロ-バンド、更にはRTTYによる運用などを含め4,000局を越える交信を記録することが出来たことである。その後再び政情不安が伝えられたアルバニアであるが、その温かく純朴で、且つ誇り高い人情と、シシカバブに良く似た串焼きとアルバニアン コニャックの味は決して忘れることは出来ないであろう。FAREMINDERIT SHQIPERIZE, MIRUPAFSHIM !! (アルバニアの皆さん有難う、さようなら) (1992年6月記)」


写真3. ZA1ZJ/ZA1ZPL小野彰彦氏の免許状。


写真4. (左)ZA1ZJ/ZA1ZPL小野彰彦氏達が運用した海岸沿いにあるホテルと、
(右)そのQSLカード。

1991年 (スイス HB9ITU)

9V1UUとしてシンガポール在住のJA1RAR佐藤武久氏は、スイスで開かれた「TELECOM 1991」に参加する機会があり、HB9ITUのブースを訪れ交流したと、シンガポールから写真と共に英文の手紙を送ってくれた(写真5~7)。「(手紙の一部を意訳) スイスのジュネーブで開かれたTELOCOM 1991を10月14日と15日の最後の2日間に訪れる機会があり、IARUが出展するHB9ITUのブースを訪れました。そこには1200MHzのリグが設置され運用が可能な状態でしたが、HFのリグはありませんでした。しかし、そのブースでJR1OBC富岡祐司氏を含む何人かのハムとアイボールQSOをすることが出来ました。(1991年10月記)」HB9ITUのQSLカード(写真7)の裏側にはIARUの説明と共に、前述のアルバニアのZA1Aについても触れられている。また、このIARUのブースは、CERN(欧州原子核研究機構)のアマチュア無線クラブが準備したとある。尚、CERNについては2017年4月号の(その49)に、1988年(国連ITU本部 4U1ITU)の項で、JA1SC(DJ0UL)松村創氏が詳しく述べられている。http://fbnews.jp/201704/kaigai/index.html


写真5. (左)ジュネーブを訪れたJA1RAR(9V1UU)佐藤武久氏、後部にTELECOM’91の看板が見える。
(右)9V1UU佐藤武久氏がアイボールQSOをしたHE9JPCのQSLカード。TELECOM’87の時のHB9/4U1ITUのQSLカードを使っている。


写真6. (左)IARUのブースにて、左からJR1OBC富岡祐司氏とJA1RAR(9V1UU)佐藤武久氏。
(右)HB9ITUのスタッフ達とアイボールQSOをするJA1RAR(9V1UU)佐藤武久氏(中央)。


写真7. HB9ITUのQSLカードの表と裏。

1991年 (国連ITU本部 4U1ITU)

JE1NWL丸山俊一氏はドイツ駐在時、4U1ITUで運用したとアンケートを寄せてくれた(写真8及び9)。「RTTYの機材持ち込みでQRVしました。コンディションが悪くあまり多くの局とQSO出来ませんでしたが、それでも数十局のJAとQSO出来ました。(1992年1月記)」


写真8. (左)4U1ITUを運用したJE1NWL丸山俊一氏の運用許可証。(右)4U1ITUのQSLカード。


写真9. (左)4U1ITUを運用するJE1NWL丸山俊一氏と、
(右)その写真などが送られてきたドイツから英国宛の封筒。

JA9IFF中嶋康久氏も同じ時に4U1ITUを運用したと、別途アンケートを寄せてくれた(写真10)。「欧州出張時の週末に4U1ITUから運用をと思い、Genevaに仕事でよく出張されるDJ0UL松村先生にお願いをした。個人用の運用免許は週末であったため発行してもらうことが出来なかったが、松村先生のクラブ員運用許可証を使用して運用した。同時期にDJ0MBG/JE1NWL丸山氏がRTTYのギヤを持って来られたので14MHzのRTTYを少し運用した。(1991年10月記)」


写真10. (左)屋上に4U1ITUのアンテナが見えるITUビルと、
(右)JA9IFF中嶋康久氏が運用した4U1ITUのシャック。

1991年 (ハンガリー HA/JA9IFF)

JA9IFF中嶋康久氏は、ハンガリーでHA/JA9IFFの臨時免許を得て運用した経験を、2度にわたりレポートしてくれた(写真11及び12)。「1991年の夏、ブタペストの仕事のついでに運用をと思い、以前にQSOしたことのあるHA5DQに手紙を書いて免許の可能性について問い合わせたところ、約1ケ月間で許可されるということで申請をした。申請書とJAの免許のコピー、申請書には運用する無線機のタイプを記入しなければならないのでHA5DQのリグを記入しておいた。残念ながら9月8日の夜だけしか運用出来なかったが、HA5DQとアイボールQSO出来た。免許の記載事項によると、1991年中は有効のようで、ハンガリーに入国して1ケ月間の運用がOKである。コールサインもHF帯ではHA/を使用し、V/UHF帯ではHG/を使用するとのこと。HA5DQは2年前までHAの無線連盟の事務長だったためかPTTに友人がいて、免許もスムーズに発行された様だ。彼の話しによると、HAからの1st日本人の運用だそうである。1992年9月に再度ブタペストを休暇で訪れる予定で、2度目に運用を計画している。(1991年10月記)」そして、2度目の運用についても後日アンケートを寄せてくれた。「1991年は仕事でブタペストを訪問したので、十分な運用時間が取れず、QSOも僅かであったが、今回は休暇のため丸一日、友人のHA5DQ, Pistaの休暇用のシャックから運用した。当日は21MHzのコンディションが良く50局のJAとQSOすることが出来た。ハンガリーは大平原の地形であるため、大きなアンテナをあげれば周囲の影響は少なく、打ち上げ角も低くなりそうだった。免許の申請は今回もHA5DQにお願いした。運用免許の周波数は通常のHF/UHF帯のみで、WARCバンドとトップバンドは含まれていない。これは, HA5DQの設備を使用する申請を行なったので。彼の免許範囲内ということであった。出力電力は50W、これはJAの免許が50Wなので50Wが指定されたと考える。ハンガリーの物価は年々上昇している様であったが、農作物や果物の価格は信じられないくらい安く、一般の人の月収は5,000 - 10,000フォリント(1-2万円)。(1992年12月記)」


写真11. HA/JA9IFF中嶋康久氏の免許申請書(左側)と、2枚の免許状(1991年と1992年)。


写真12. HA5DQ, Pistaさんのシャックで運用するHA/JA9IFF中嶋康久氏(1991年と1992年)。

1991年 (ポーランド SO5IFF)

JA9IFF中嶋康久氏から、SO5IFFの免許を得て運用したとアンケートを頂いた(写真13~15)。「ワルシャワでの仕事のついでに運用と思い、以前にQSOしたことのあるSP5AHZとSP5DRHに手紙を書いて免許の可能性について問い合わせをしたところ、約1ケ月間で許可されるということで申請した。申請書には運用する場所についての記入欄があるため、SP5AHZのQTHを借用した。実際にはSP5AHZ, Andyのシャックから14MHzのSSB/CWのQRV、SP5EWY, Richardのシャックから21MHz, SSB (AA Phone Contest)のQRVを行った。ワルシャワ滞在中はSP5DRH, Jackがアテンドしてくれて大変助かった。SP-DX-Clubのメンバーのシャックを訪問したり、SP5SSが経営するハムショップを訪問したりと楽しく過ごせた。ワルシャワではSP-DX-Clubのネットが、144.45/431.975MHzである。ポーランドの免許制度は1st class VHFのみ10W入力、2nd classはAll Band 50W入力、6年間の経験ののち申請して250W入力、10年間で高出力の必要性の申告で750W入力、QSO数3,000も条件のうち。(1991年10月記)」


写真13. SO5IFF中嶋康久氏の免許申請書。


写真14. SO5IFF中嶋康久氏の免許状。


写真15. SP5AHZ, Andyさんのシャックにて、AndyさんとSO5IFF中嶋康久氏。

1991年 (ドイツ DJ0MBG, DK0IFA, DL/JA3AER)

JE1NWL丸山俊一氏は、ドイツでDJ0MBGの免許を得て運用しているとアンケートを寄せてくれた(写真16)。「アパートにアンテナが上げられないので、会社の一室を借りて21MHzを主にQRVしています。当初ベアフットにモービルホイップで始めましたが、現在は7エレ八木にグレードアップしたので、JAもよく入感するようになりました。又、アパートからはパケットでEUやJAの局とメ-ルを交換しています。(1992年9月記)」


写真16. (左)DJ0MBG丸山俊一氏の免許状と、(右)そのQSLカード。

JH3FNC村上満氏は、ベルリンでの経験を、写真を添えてレポートしてくれた(写真17)。「ベルリンでは、2年に一度AV(Audio Visual)関係の国際的な見本市、ベルリンショーが開催されます。今年(1991年)もその開催年でベルリンに行く機会があり、ハムの方でも色々とアイボールQSOを楽しんで来ました。 EUにきてからこのショーを見学に行くのはこれが3回目で、ドイツに来て早々の4年前、ここでDARCの特別局DK0IFAがPR用にブ-スを開いているのを知り、見に行ってDARCへ入会の手続きをしました。2年前の前回まではまだU.K.の免許を持っていなかったため、ブースでコーヒーをご馳走になっただけで帰って来ましたが、今回はCEPT協約で運用出来ると思い免許を持って行きました。ショー見学の合間にDK0IFAに行きOPの可能性を聞き、JAIGネットの時間に合わせて9月1日の10時から運用させてもらう事にしました。特別局は狭いブースでしたが。HFから2m, 70cmのパケットまで幅広く運用していました。驚いた事に、この時話しをした cq DL の編集をしていると言うSchwalz氏(DK5JI)はJAIGのメンバーでした。さて日曜日の朝、ショー会場に着くとすぐにDK0IFAに行き、リグの前に座ってネットの時間を待ちました。ところが横に座って操作を説明してくれるLiebe氏(DL7AN)によれば、4年間の間特別局にあると信じていた3エレトライバンダーが実は隣の放送博物館用で、 目の前のリグにはつながっていないとの事。気を取り直してバーチカルでも聞こえるだろうと21.360MHzをワッチしましたが、聞こえるのはS5まであるノイズばかり。結局30分余りワッチして時間の制約もあり後ろ髪を引かれる思いでブースを後にしました。(1991年10月記)」


写真17. (左)DK0IFAのQSLカードと、(右)DARCのブ-スにて、スタッフとJH3FNC村上満氏。

JA3AER筆者は、1991年にハンブルグからDL/JA3AERでQRVした時の事を次のように記録していた(写真18及び19)。「JAIGミーテイングに出席しようと、DF2CW,壱岐さんにお願いして日本の免許をベースに臨時運用免許を取って頂いたが、例の湾岸戦争の影響で残念ながら出席出来なかった。その後運用許可の切れる寸前の5月下旬に仕事でハンブルグを訪れる機会があり、DC0HR佐々木さんのシャックからQRVさせて頂いた。ここで湾岸戦争後初めて9K2(クウェート)を聞いたが、パイルを浴びていてQSOは出来なかった。(1991年3月記)」


写真18. DL/JA3AER筆者の短期免許状。


写真19. (左)DL/JA3AERのQSLカード。
(右)DC0HR佐々木和彦氏のシャックにて、佐々木ご夫妻と筆者(中央)。

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