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今月のハム

JH1ASG/JH0CEO 中村誠さん

東京都調布市からHF、CWをメインに運用されている中村誠さん。アマチュア無線を知ったのは、1975年「世界と友だちになろう」、「ハムをやろう」というフレーズを新聞で見た時だった。早速、電話級(現4級)を取得。小学校5年生の時だった。幸運なことに、両親からトリオ(現ケンウッド)のTS-520Xを買ってもらうことができた。安曇野(現在の長野県安曇野市)にある実家の田んぼにダイポールアンテナを建て、JH0CEOを開局した。

開局したものの、当事、中村さんは長野市に住んでいたため、運用するには安曇野の実家に帰る必要があった。そのため、運用は春や夏、冬の休みに限られた。その頃の一番の思い出は、Eスポが発生した時、28MHzで韓国と交信できたことだそうだ。これが中村さんの「世界と友だちになろう」の第一歩となった。母親が英語の教師ということで、小学生としては、英語は話せる方だった。

進学した長野県立松本深志高校(JA0YPU)では物理研究会に入部し、電信級(現3アマ)を取得した。しかし、その後、大学進学、就職のため、およそ25年の間、QRTすることになった。ただ、「また、いつかはアマチュア無線をやるだろう」との想いから、5年毎の局免の再免許だけは続け、愛着のあるJH0CEOというコールサインは保持し続けた。当時はCEO(Chief Executive Officer)という言葉は一般的ではなかったが、今は誰もが知るところとなり、今やこのコールサインの価値は高まっている、とのこと。

2008年、大がかりな設備がいらない、VoIPによる通信を知り、アマチュア無線を再開することにした。また、海外出張が多い仕事であることから、ぜひ、米国領土で運用してみたいと思い、その年、東京で米国のアマチュアエクストラ免許を一日で取得した。エクストラ免許の勉強では、もっぱら、JH7BZR岩渕OMの労作「エクストラ養成ギブス」http://mobile2000.ciao.jp/jh7bzr/というWebサイトを活用した。勉強のポイントはQuestion Pool http://www.arrl.org/question-poolsの問題と正解だけを読むこと(読み続けると、頭に入る)、無線工学は「エクストラ養成ギブス」を活用しての写経、とのことだ。徹頭徹尾、KA1Z福田OM「One Day Extraへの道のり」(http://www.qtc-japan.net/2001/の左メニューからARRL VEC Examsを選び、受験の欄の「One Day Extraへの道」をクリック)、KH0K三谷OM「お前は虎だ、虎になるのだ!」http://maaberu.fan.coocan.jp/fccexam.htmに倣った経験上、このサイトをまず一読することを勧めたい、と言う。東京での試験を主催するARRL VEC TOKYO VE TEAM https://sites.google.com/site/fccarrltokyovet/は、中村さんにとってハムにカムバックさせてくれた大変な恩人となった。今はその一員として、Volunteer Examinerとなった中村さんは、「ハムがハムを生み出す」FCC試験でサポートに務めている。なお、米国コールはW3FO、“W”で始まる1×2に拘ったVanity Callsignを、やっと探し当てたそうだ。

米国最高位のアマチュア無線免許『アマチュアエクストラ』級は、日本の1アマに相当する。つまり、中村さんは「第1級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作」を行うことができるのだ。しかし、あえて1アマを受験することを決意する。その理由の1つが、「エクストラ=1アマ相当・・」、この“相当”の2文字が気に入らなかったこと。中村さんはスキーのバッジテスト1級(現在は正指導員)、英検1級を持ち、アマチュア無線だけ1級“相当”では、どうにも納得できなかったのだ。

さらに、息子さん2人が勉強を頑張っている姿も、1アマ受験のモチベーションの1つとなった。逆に自分が頑張っている姿を見れば、子供たちも何か感じてくれるに違いないと思った。「50を過ぎると若い頃のように頭に入ってこない」、「頭が退化している」との不安を日々感じながらも、息子さんたちと切磋琢磨しながら、1アマの勉強に没頭していった。

勉強するにあたり、一番役に立ったのが、「皆空の中で」http://take103.blog.fc2.com/というWebサイトだった。本当に1アマに合格できるのだろうか、と不安に思っていたところ、2014年、当サイトと出会い、瞬時に「これならできる」と思ったそうだ。そこには、答えだけではなく、中村さんが長く切望していた、「答えにたどり着くまでの道筋」が書かれており、非常に理解しやすかった。TOKYO VE TEAMのAI9C川上OM、AB2ST河辺OM、W1XMN齋藤OM、N2QP幸谷OMから、2014年末の忘年会で激励され、固く固く握手を交わしたことで、1アマ受験に向けて計り知れないほどのモチベーションをいただいた。彼らの応援もあって、迎えた2015年4月、1アマに一発で合格。晴れて、“相当”が外れたのである。「エクストラも1アマもWebサイトで勉強したので、お金はかかっていません」と笑う。1アマに合格して一番嬉しかったのは、50歳を超えて自分が“目標に向かってジャンプするカエル”になれたことと言う。

2011年、現在の住まいのある東京調布市で、JH1ASGを開局。シャックはマンションの5階にあり、大家さんに許可を得て、ベランダにVダイポールを建てて運用している。最初はPhoneを中心に運用していたが、あることをきっかけにCWに熱中することになる。2012年6月、大パイルアップになっているマカオのペディション局XX9EをCWで呼んだところコールバックがあった。それまでは、CWは人がやっているのを見て、聞くだけだった。それが、この時から、自分も呼ぶ側になった。そのことに感動を覚えた。そして、続けてみると、CWならハイパワーとビームアンテナでなくてもパイルアップに勝てることがあるのがわかった。これをキッカケに、CWの魅力にはまり、今もCWが中心の運用となっている。

また、気が付けばコンテストに熱中していたという。これは「日本のトップ・コンテスターJE1CKA熊谷さんのところで、ゲストオペとしてコンテストに参加させていただいている」ことが大きく影響しているそうだ。ゲストオペレーターとして運用しているうちに、自分の家でも、CWのコンテストに参加しようと思うようになったのだ。スピーディーなコンテストが中村さんの性に合っていたようで、JARLのメジャーコンテストはもちろん、ローカル・コンテストにも積極的に参加するようになった。オールJA1や東京CWコンテストでは優勝した経験もある。今は調布アマチュア無線クラブhttp://www.jarl.com/jo1zqg/の会員として、FDコンテストを含むクラブイベントに積極的に参加している。JARL主催コンテストにおいて、地域クラブである調布が、全クラブ対抗を制覇(2012年、2016年)したことは、非常に思い出深いと言う。


マンションの5階に設置された7/14/21/28のV型ダイポールアンテナと、
V, UHFのGPアンテナ

マンション住まいということで、様々な制約があり、思うように海外局とは交信することができず、現在は国内との交信が中心となっている。しかし、海外からの運用経験は豊富だ。グアムや台湾、クウェート、オマーン、アラブ首長国連邦などからの運用経験を持つ。また、バーレーンやサウジアラビアでは、地元のハムとの交流も楽しんでいる。子供のころ憧れた「世界と友だちになろう」は、海外運用や地元ハムとの交流というカタチでも実現している。


オマーンA47RSのライセンス(写真左上)、FCCのライセンス(写真右上)、
運用や地元ハムとの交流で訪れた主な中東の国々(写真下)


中村さんの海外運用と地元ハムとの交流歴

海外運用、特に中東地域からの運用となるとパイルアップを受けるのは必至だ。そこで、中村さんに特にヨーロッパの局のマナーについて聞いてみた。「ヨーロッパの局のマナーは、良いとは言えません。まさしく“ZOO”、獰猛な野獣という感じです」と笑う。それでもクラスタに“Thank you for New One.”と書き込まれると、感動を覚えるそうだ。

今やハムログのモード欄に“CW”の文字が並ぶ中村さんだが、受け取ったQSLカードの管理も工夫している。受領後、ハムログと照合した上でスキャンしておくと、ハムログ連動で、後日のQSOの際、ヒットすれば、冒頭の写真のように、PCデスクトップに受け取ったQSLカードが表示される。このおかげで、特にフォーンでは、話題が激増したとのことである。コンテストログソフトN1MM+を活用し、通常QSOでもCQマシンとして、ハムログ併用で、N1MM+をフォーンでもCWでも使っている。

最後に、今後の夢について聞いてみた。「今はマンション住まいなので、大きなアンテナは建てられません。DXは諦めて、しばらくはここでCWの腕を磨き、JARL主催のコンテスト等で、CWを中心に楽しんでいきたいと思います。あと、デジタルモードでの運用、さらにはもっといろいろな国から運用してみたいと思います。そして、定年退職したら、実家に戻って、父祖伝来の土地にタワーを建てて、DXにチャレンジするのもいいかなぁと考えています」という中村さん。「世界と友だちになろう」から始まったアマチュア無線人生、まだまだ友だちは増えていきそうだ。


中村さんお気に入りの1アマの証「従免Tシャツ」(自作)。
ハムフェアなどのイベントに、このTシャツを着て参加するとのことだ。

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