Summits On The Air (SOTA)の楽しみ
2025年6月16日掲載
今月、6月1日にSOTA日本支部は発足してから10年を迎えることができました。これもSOTAを楽しみ、そして参加することで盛り上げていただいた皆様のおかげです。今回から数回に渡り、この節目としてSOTA日本支部の10年を振り返ってみたいと思います。
私は、2014年のハムフェアである光景を目にしていました。SOTAを日本にも導入して欲しいという当時ニュージーランドから日本に英語教師として来日していたAndrew E氏がSOTA設立の意志に賛同してくれる人が誰もいないと残念そうにしていたことです。
私にはその印象がとても強く残っており、何とかしてあげたいという気持ちが強く残っていました。おそらく日本の山をしらみつぶしに全部地形を調べてSOTAのProminenceの基準に合う山の特定が果てしなく難しいことが大きな課題であったと思われます。また英国発祥のSOTAのルールをはじめ関連資料が全部英語であったことも課題のひとつであったと思います。
その後、9月にそれまでに親交があった、日本でFlora Faunaアワードを展開されているJA1JCF百武さんから「オーストラリアのVK3ARR Andrew R氏が日本でもSOTAを開始したいと言っている。SOTAの日本での展開の協力依頼があるが興味がありますか」という問い合わせをいただきました。日本でSOTAに近い自然を大切にしている世界的アワードプログラムを展開されている百武さんに連絡が有ったものと思われます。
Andrew R氏は当時出張で頻繁に来日されており10月に来日した際に先のAndrew E氏とAndrew R氏の両名と会うことにしました。この時に彼ら2人の熱い想いを聴き、日本でのSOTA窓口になる事の決意を伝えました。
2016年Andrew R氏の来日時。撮影はJG1GPY安部さん
しかし、最大の難関は山国である日本でSOTAの条件を満たす山を特定していくことです。これについてAndrew R氏は日本の国土地理院のGISデータ(https://www.gsi.go.jp/GIS/whatisgis.html)からSOTAの条件を満たすアルゴリズムを作っており、これを使ってリストアップしてもらい、一応SOTAの条件を満たす候補のリストはできました。その後は山の名前の特定とその山がどのリージョンに存在するかの検討が必要ですが、ここは日本語を理解できることが絶対必要となります。日本でSOTAを始めることに興味を持ち、その意志に賛同していただけた人たちのご協力を得ながら、日本でのSOTAの山岳リストを作成しました。当時、ほぼ毎週のように海外出張にでかけていた私は2015年の5月の連休はほとんどの時間をこの作業に費やしてリストを作成したことが思い起こされます。
そして完成したSOTAの山岳リストをもとに日本でのルールをAndrew R氏と検討し、SOTA日本支部の支部マニュアルを完成させました。これを英国のSOTA本部に提出し、承認を得たのが2015年6月1日。実際にSOTAプログラムの日本での運用開始は7月1日としました。これで晴れて日本もSOTAに加盟することができました。
SOTA日本支部設立前から、ご協力していただいた方々も本当に喜んでおられ、早速、各地の山に登ってSOTA初運用を楽しまれていました。日本のSOTAの1st Activationはやはり富士山ということでJS1UEH齋木さんは富士山頂からSOTAのアクティベーションをスタートされました。
次回は設立したばかりでほぼ無名に近いSOTAのプロモーション活動について書いてみたいと思います。
SOTA日本支部設立10周年記念アワードプログラムを開催しております。開催期間は6月1日~12月31日です。詳しくはこちらのSOTA日本支部のホームページをご覧ください。
https://www.kawauchi.homeip.mydns.jp/sotajp/
SOTA日本支部ではSlackを使ったコミュニティプラットフォームがあります。すでに100人以上のSOTA愛好家の方々が参加されています。このコミュニティに新たに参加をご希望の方は私宛のメール、ja1ctvアットマークjarl.comでも結構ですし、SOTA日本支部のホームページの問合せのページから連絡を頂いても結構です。登録案内を送らせていただきます。
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