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日本全国・移動運用記

第119回 沖永良部島移動(3回目)

JO2ASQ 清水祐樹

2025年8月1日掲載

沖永良部島は鹿児島県の九州本土から約500km離れた、大島郡知名町と和泊町の2町で構成される島です(図1)。筆者による沖永良部島での移動運用は3回目で、1回目は2016年4月号の記事、2回目は2022年5月号の記事で運用記を紹介しています。

これまでの2回の運用は、いずれも3月で、スポラディックE層(Eスポ)による異常伝搬があまり期待できない時期でした。そこで、Eスポが発生しやすい時期に移動運用したいと考えていました。Eスポは、5月中旬から6月下旬にかけて最も活発になります。6月中は梅雨の影響で天候が悪化する可能性が高いため、天候の安定を期待して7月に移動運用を計画しました。


図1 沖永良部島の位置

7月11日(1日目) 和泊町での運用

1日目は夕方からの運用を予定していたため、空港から近く、短時間で移動できる和泊町で運用を開始しました(写真1)。運用場所は、2022年3月と全く同じにしました(写真2)。

この日は雨模様で、空港に着いた時から運用を準備するまで小雨が降り続いていました。アンテナを設置して運用を始めると、雨は次第に強くなり、日没後には本降りになりました。自分の車であれば雨具などの装備があり、車内が多少濡れても対応できますが、今回はレンタカーだったため装備が限られており、車内を汚すわけにもいきません。そのため、設置に時間がかかり、全身が濡れてしまう1.9MHz帯と3.5MHz帯のダイポールアンテナの設置は断念し、7~50MHz帯とサテライト通信のみ運用しました。

夕方以降ということで伝搬のコンディションはあまり期待していなかったものの、28MHz帯では6QSOできました。ただし、50MHz帯は聞こえませんでした。


写真1 レンタカーでの運用設備


写真2 和泊町の運用場所の様子

7月12日(2日目) 知名町と和泊町を行き来して運用

2日目の朝は、知名町で運用を開始しました。これまでの2回の運用は、知名町の市街地に近い島の南側で運用しており、本州方面へのロケーションが完全に開けていなかったため、特にサテライト通信には物足りなさを感じていました。

そこで、今回は島の北側で海に面した場所を探して、島の北西部に広い公園を見つけました(写真3)。自動販売機とトイレもあり、猛暑の中でも水分補給がしやすく、快適な運用環境でした。

7MHz帯から順に運用を開始すると、伝搬のコンディションは良好で、イオノグラムでも国分寺の臨界周波数の上昇が確認できました。山川と大宜味も上がってこないかと期待していると、10MHz帯や14MHz帯で長時間のパイルアップになりました。3回目の運用とはいえ、珍しい町での運用だったため需要が多かったようです。やがて本格的なEスポが出現して、28MHz帯までパイルアップが続きました。

この強い伝搬ならば50MHz帯も交信できると確信し、ダイポールアンテナ(2013年11月号の記事)を、北東方向(1エリア)に向けて最適な角度で設置しました(写真4)。50MHz帯でもすぐにパイルアップになり、伝搬の変化に備えてスピーディーに交信を進め、最終的には43QSOを記録しました。

その後、わずかな望みをかけて144MHz帯のEスポにもチャレンジしましたが、50MHz帯でも激強といえるほどの伝搬ではなかったため、0QSOに終わりました。

早朝から猛暑の中で5時間近く連続して運用したため休憩が必要になり、知名町での運用は一旦終了して、和泊町の前日の場所に移動しました。

しかし、移動中に伝搬のコンディションが急激に悪化して、黒い雲に覆われて激しい雨が降り出しました。ここでは、どのバンドも空振りCQの連発が続きました。ただし、14時台に、なぜか28MHz帯だけ信号が強力になる時間帯があり、このタイミングで13QSOできました。

夕方、再び知名町に戻って、伝搬のコンディションの回復を待ちましたが、状況は改善しませんでした。雨は止んだので、1.9MHz帯のダイポールアンテナ(長さ約80m)を設置してみたものの、夏場特有の伝搬不良もあり、5QSOに終わりました。


写真3 知名町の運用場所の様子


写真4 ダイポールアンテナを50MHz帯に設定した様子

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