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日本全国・移動運用記

第66回 大分県移動

JO2ASQ 清水祐樹

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遠方の地域に自分の車で長時間かけて移動するには、長期間の休みを確保する必要があり、様々な制約が伴います。そこで、土日の1泊2日で、飛行機とレンタカーを利用した移動運用を計画しました。今回は大分空港を利用して、大分県と、福岡県の一部で移動運用を行いました。

運用の計画

大分空港は国東半島の東側にあります。高速道路が整備されており大分県内各地への車でのアクセスは良好です。しかし、大分県の全ての市町村を2日間で網羅することは時間的に困難なので、事前に運用リクエストがあった市町村に限定して計画を立てました。1日目の夜には大分市のローバンドを運用したかったこと、大分県に近い福岡県豊前市・築上郡のリクエストがあったこと、県の南部や山間部は移動に時間がかかることから、運用局が多く需要が満たされている市町村(例えば別府市)はパスしました。

1日目は大分空港から南に向かって大分市で終わるルート、その後、北上して福岡県に入り、築上郡吉富町で宿泊して吉富町、豊前市、築上郡上毛町(こうげまち)で運用した後に東に進んで大分県に入り、大分空港に近付きながら、最後は空港がある国東市で運用するルートに決定しました。

運用開始

飛行機のダイヤの関係で、大分空港には11時に到着しました。事前に長崎県対馬市(2021年1月号に掲載)から直送しておいた荷物を受け取り、杵築市の海岸にある公園で運用を開始しました(写真1)。

九州地方で国内向けの移動運用をするには、東側が開けた場所が適しています。大分県は地形の関係で、海に面している市町村であれば、東側が開けた場所を確保することは容易です。事前に地図で広い公園や漁港を見つけておき、ほぼ希望通りの場所で運用できました。

荷物から無線機等を取り出してレンタカーにセットし、運用の準備ができると、次のサテライト(FO-29)までは15分ほどしかありませんでした。ここは思い切って7MHz CWの爆速で10分間に23局と交信し、サテライトの運用を始めると、猛烈なパイルアップになりました。大分県にはサテライト通信の移動局が非常に少ないため、待ってましたと言わんばかりのパイルアップでした。


写真1 杵築市の運用場所の様子

杵築市の次は、高速道路を利用して約80km離れた臼杵市に移動しました(写真2)。ここでの狙いはサテライト通信です。しかも、AO-73という、ダウンリンク信号が比較的弱く周波数の変動も大きい衛星で、MEL(最大仰角)はわずか1°台しかない、交信は困難な条件です。ある局がサテライトWACA(全市交信)を狙う上で、どうしても臼杵市が欲しいという重要なミッションなので、海に面したフェリー乗り場横の公園で、満を持して衛星からの信号を待ちました。アンテナを水平線ギリギリの角度に向けて衛星からの信号を受信できました。


写真2 臼杵市の運用場所の様子

夜は大分市で運用しました。あらかじめ調べておいた川の堤防上の空き地で、周囲に障害物は無く快適に運用できました。経験上、「県庁所在地では、移動運用のリクエストが多い」ことがあり、大分市でも1.9MHzや3.5MHzが未交信の方がおられました。県庁所在地は移動局の運用の優先順位が下がること、固定局同士は交信の機会が少ないことが、要因として考えられます。

機材は、1泊2日の移動運用のため最小限のものです。ローバンドは釣竿(7m)、オートアンテナチューナーAH-4、それに1.9MHz用補助コイルしか持ってきていません(2020年9月号を参照)。それでも、ロケーションが良かったこともあり、実用上十分な信号強度で交信できました。

大分市ではD-STARのリクエストもありました。最寄りのレピータは別府430で、20km以上の距離があります。ID-51の出力5Wとモービルホイップアンテナでは応答が無く、サテライト用の7エレにIC-9700の出力50Wで何とか届きました。D-STARといってもCQを出すわけではなく、運用情報を提供するインターネット上のチャットに情報を流して、CWやSSBで交信した局から「移動おつかれさま」の一言をいただく程度です。それでも、インターネット上での文字だけの意思疎通とは違った、音声通信における表現の楽しさを実感できます。

2日目は、福岡県から開始

翌朝は、大分県に隣接する福岡県豊前市、築上郡で運用を開始しました。限られた時間で多くの場所から運用するため、サテライト通信は午前4時台から開始する強行スケジュールでした。それでも多くの局からコールをいただきました。

豊前市は、冬至が近く日の出が遅いためまだ真っ暗な中、カーナビを頼りに広い漁港を探して運用しました。次の築上郡上毛町(こうげまち)に到着した頃から夜が明けて、7MHz CWでは短時間に猛烈なパイルアップになりました。

この後は大分県に入り、海岸に近い公園や漁港の広いスペースを探して運用しました(写真3・4)。サテライトの時刻に合わせた過密スケジュールのため、HF帯では1か所の運用時間が30分に満たず、7MHz CWだけしか運用できませんでした。


写真3 宇佐市の運用場所の様子


写真4 豊後高田市の運用場所の様子

最後は、大分空港がある国東市で運用しました(写真5)。豊後高田市から峠を越えるルートで、慣れないレンタカーで慎重に運転したところ、予想より早く到着できて、国東市では7MHz帯以外の運用時間も確保できました。コンディションはこの時期としては珍しく10MHzや14MHzの近距離が聞こえていました。これらの周波数は遠距離との交信に適している一方で、国内近距離との交信は逆に難しい性質があります。移動運用で国内の多くの局から呼ばれると、満足感があります。


写真5 国東市の運用場所の様子

結果

各拠点別のQSO数を表1に示します。太陽黒点数がほぼゼロで、Eスポ(スポラディックE層)の発生もほぼ考えられない12月の運用であったものの、7MHz帯はそれなりの交信数になりました。21~50MHz帯の各バンドは、伝搬のコンディションが悪くQSOできませんでした。サテライト通信では、どこも激しいパイルアップになり、1日671QSOの自己最多記録になりました。


表1 大分県・福岡県での運用地点ごとのQSO数。
1.9~21MHzはCW、430MHzはD-STAR、サテライトはCWとSSB。

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次号は 10月 1日(金) に公開予定

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