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日本全国・移動運用記

第73回 移動運用に便利な、サテライト通信用アンテナの製作

JO2ASQ 清水祐樹

事情により県外への移動運用を休止しているため、今回は移動運用で使用しているアンテナについて解説します。

本連載の写真によく登場する、三脚に取り付けた八木アンテナ(図1)は、サテライト通信と144/430MHz帯の遠距離通信に使用している自作品です。設置や撤収が容易にできるように、メーカー製のアンテナには無い、独自の改良を重ねています。今回の記事では、その製作方法を詳しく説明します。




図1 アンテナの全体図

エレメントの支持

基本構造は、144MHz帯が4エレ、430MHz帯が7エレ、ブーム長が約1mの八木アンテナです。サテライト通信のアンテナは、エレメント数が多すぎる(指向性が鋭すぎる)と衛星からの信号を見失うことがあるので、手動で動かすには、この程度が最適です。144MHz帯のエレメント長が約1mで、エレメントとブームを束ねるとコンパクトに収納できます。

このアンテナは三脚に取り付けて、仰角(上向きの角度)を調整して使用するため、重いアンテナでは三脚が倒れやすくなります。ブームには断面がコの字型になっているアルミ材を使用し、軽量化しました。

エレメントはφ6mmのアルミパイプで、ナイロンクランプというケーブル類を壁面に固定する部品で挟んで固定しています(図2)。アンテナが倒れたり周囲の物体に当たったりしても、エレメントが外れて衝撃を吸収するので、アンテナの破損を防げます。固定局での使用は想定しておらず、移動運用の現場で組み立てることを前提にしています。公共交通機関で移動する場合は、分解して釣竿ケース等に収めて運搬しています。

ナイロンクランプは、ユニバーサル基板を切り出したものに固定しています。当初はアクリル板で製作していましたが、衝撃で割れることが多く、丈夫なガラスエポキシ(ガラスコンポジット)製のユニバーサル基板に変更しました。たまたま手持ちがあった、IC用の配線パターンが付いているサンハヤトICB-86Gを使用して、4分割の大きさにしました。2.54mmピッチの穴あき基板で厚さ1mm程度であれば、パターンは問いません。

ユニバーサル基板を、図3で示すエレメントの位置に合わせてコの字型チャンネルにビス止めして、エレメントの支持部分を作ります。




図2 エレメントの取り付け方法

エレメントの加工

エレメントは、外径φ6mm、内径φ5mmのアルミパイプで製作します(図3)。外径φ6mmのアルミパイプは、内径φ4mmの肉厚のものも市販されていますが、軽量化のため内径φ5mmを使用しました。

市販のアルミパイプは長さ1,000mmが一般的です。144MHz帯の反射器は長さが1,000mmより少し長くなるので、先端に細いパイプを差し込んで延長しています。エレメントの先には、エンドキャップと呼ばれる保護用の部品を取り付けます。最近は通信販売で容易に入手できるようになっていますが、入手できない場合は熱収縮チューブで代用可能です。

同軸コネクタを接続して給電する放射器は、規定の寸法より2~3mm長く製作しておき、組立て後に両端を鉄工ヤスリで削ってSWRを調整します(後述)。


図3 エレメントの加工と配置

給電部の加工

給電部は、SMA-J L型コネクタに圧着端子・アースラグをハンダ付けして、エレメントにネジ止めして接続しています(図4)。2本のアルミパイプをアクリルパイプで接続して、SMA-J L型コネクタにハンダ付けしたアースラグ・圧着端子にビス止めで導通させています。SMA-Jコネクタは、ストレートタイプで同様の加工をするとセンターピンが抜けやすいので、L型を使用しました。

430MHz帯の給電は、損失を少なくするために5D-FBを使用しています。SMA-Pコネクタは、太い同軸ケーブルが取り付けできないため、SMA-P⇔BNC-Jの変換コネクタを使用して、BNC-Pを取り付けた5Dの同軸ケーブルに接続しました。144MHzは給電部の近くで同軸ケーブルが大きく曲がるので、この部分だけ3D-2Vの同軸ケーブルに変更しました。


図4 給電部の加工

三脚の取り付け

三脚とブームの取り付けは、集成材の棚板(t=9mm)を使用しました。棚板は250×40mmにカットして、肉厚のステンレス金具を使って、三脚の雲台に内蔵されたカメラネジと適合する、W1/4の蝶ネジで締め付けて固定しています。

集成材の棚板は耐水性が弱く、水に濡れた状態で放置すると変形・劣化するので、水性ペイントなどを塗って防水して、数か月に1回の頻度で交換しています。棚板よりも適した素材を探すことが今後の課題です。


図5 アンテナと三脚の取り付け方法

調整方法

組み立てが完了したら、周囲に物体が無い場所で、アンテナアナライザ等を使用してSWRを測定します。この時、SWRが最低となる周波数が、バンド内の高めの周波数になるように放射器の長さを調整します(図6)。放射器を短くすると、SWRが最低となる周波数は高くなります。

実際の運用では、アンテナに物体や人が近付いた状態で使用することが多く、その場合SWRが最低の周波数は低い方に変化します。結果的に、バンド内全域でSWRが下がります。

長さを調整するには、アルミパイプの両端を鉄工用のヤスリで削っていきます。放射器の長さは0.5mm変わっただけでもSWRに影響が出るので、慎重に作業します。万一、短くしすぎてしまった場合は、両端にφ5mmのアルミパイプを差し込んで延長します。


図6 SWRの調整方法

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次号は 11月 1日(月) に公開予定

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