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日本全国・移動運用記

第79回 長野県伊那地方移動

JO2ASQ 清水祐樹

2021年11月号の記事では、長野県下伊那郡の13町村のうち8町村での運用について紹介しました。その時に運用しなかった町村にも行きたくなり、さらに移動運用を計画しました。下伊那郡で未運用だった5町村のほか、その北側にある駒ヶ根市、伊那市、上伊那郡の6町村でも運用しました。

計画

2月に入ると太陽活動が活発になり、昼間は7MHz帯や10MHz帯の国内向け伝搬が安定するようになりました。一方、14MHz帯から上の周波数では、国内が強力に聞こえる機会は、ほぼありません。そこで、昼間は7MHz帯と10MHz帯の2バンドに限定し、1拠点当たりの運用時間を少なくして、多くの拠点で運用しました。

今シーズンは雪が多いため、天気予報を見ながら、雪の予報から数日後の天気が良い日に、2日間に分けて運用を計画しました(図1)。


図1 長野県伊那地方移動のルート

1日目(2月12日) 下伊那郡喬木村から北へ、伊那市まで

1日目は、飯田市に隣接する下伊那郡喬木(たかぎ)村で運用を開始しました(写真1)。朝の最低気温は-6℃で、地面はガチガチに凍結しており、タイヤベースを踏むために土が平坦になっている場所を探しました。この場所は天竜川に近い空き地で、北側は川の上流方向で低い仰角まで見渡せます。そのためサテライト通信の運用には適した場所で、喬木村ではいつもこの場所で運用しています。

7MHz帯の国内向け伝搬は、コンディションが良い日には、日の出から30分くらいで日本全国が強力に入感します。この日の朝は、コンディションの立ち上がりが遅めで、空が完全に明るくなっても近距離がなかなか聞こえない状態でした。時間ギリギリまで粘って17局と交信できました。


写真1 喬木村での運用の様子

8時頃に下伊那郡豊丘村に到着した時には、7MHz帯の近距離が強力に聞こえていて、すぐにパイルアップになり、短時間で多くの局と交信できました。10MHz帯も近距離が強力で、電離層の状態が上がってきました。

下伊那郡高森町は堤防上の空き地で運用しました(写真2)。北上するにつれて天竜川の上流になり、周囲は山が多くなっていきます。この場所は周囲が比較的開けており、運用には適した場所でした。コンディションが良いことは分かっていましたが、サテライトの運用時間の都合で、CQが空振りになったタイミングですぐにQSYしたため、QSO数はあまり増えませんでした。


写真2 高森町での運用の様子

ここまでは下伊那郡で、中川村からは上伊那郡になります。中川村は地形の起伏が激しく、道路が狭い場所もあって、移動運用場所の確保が難しいと感じました。ここでは高台にある公園の駐車場を利用しました(写真3)。


写真3 中川村での運用の様子

上伊那郡飯島町に入ると、中川村から10数kmしか離れていないにもかかわらず、路面に雪が多く残っていました。雪に覆われている野球場の駐車場で運用しました(写真4)。この場所は山に囲まれており、サテライト通信の運用には苦戦しました。広い空き地などがあっても雪のため進入が難しく、このまま妥協しました。


写真4 飯島町での運用の様子

駒ヶ根市に入ると、山間部から抜け出した感じで、広い平地がありました。路面の雪は少なくなり、公園で運用しました(写真5)。ここは以前、1.9MHz帯のリクエストが多かったことを思い出し、まだ明るい17時台に運用したところ、短時間で連続して19局から呼ばれました。


写真5 駒ヶ根市での運用の様子

上伊那郡宮田村に到着した頃には暗くなっており、1.9MHz帯と3.5MHz帯の運用に専念しました。この日はローバンドのノイズや侵入電波が無く、コンディションもまずまずで、設置時間の短縮のため長さ5mのアンテナで運用したにもかかわらず、1.9MHz帯では30局を超えました。

宮田村の運用場所から伊那市へは数100mの距離でしたが、近くに運用できそうな場所が見当たらず、数km離れた川の堤防上の空き地で運用しました。冬季に伝搬のコンディションが悪いと、夜遅い時間に3.5MHz帯の近距離がスキップする現象がみられます。しかし、この日はスキップ現象は無く、多くの局と交信できました。

1日目の最初の交信は6時21分、最終は20時54分で、サテライト通信が半数以上ではありますが、1日で1,000QSOを達成できました。9か所の運用で、最初の喬木村以外では1か所当たり100QSOを超えました。

2日目(2月26日) 上伊那郡南箕輪村から辰野町へ、そして山間部の大鹿村へ

早朝、上伊那郡南箕輪村に到着した時の気温は-8℃でした。筆者の車は寒冷地仕様ではなく、ウォッシャー液が凍結していました。天気は快晴で、寒さよりも乾燥による静電気の発生が気になりました。前回の最初の運用場所だった喬木村と比較して、遠方のため運用開始時刻が遅くなった違いはありますが、7MHz帯のコンディションはこの日の方が良好でした。

上伊那郡箕輪町は、平地は比較的多いのですが、公園などが少なく、運用場所の確保には少し手間取りました。住宅地の中で人が通らない場所を確保し、目立たないようにアンテナを上げて運用しました。

続く上伊那郡辰野町は、公園の駐車場が利用できなかったので、農道の道端で運用しました(写真6)。北西側には高い山があったものの、サテライトは山がある方向をうまく回避して運用できました。コンディションが上がってきて、10MHz帯では1か所での最多となる34QSOができました。ここまで開けると、14MHz帯でも多くの局と交信ができたと思われます。しかし、次の大鹿村までの移動に時間がかかるため、パイルアップが収まったタイミングですぐに終了しました。


写真6 辰野町での運用の様子

下伊那郡大鹿村は、集落が谷底にあり、冬季は村にアクセスする道路が1本しかないため、移動運用が難しい村です。高台にある公園は、西側にさらに高い崖があり、西方向には電波が飛びそうにない感じがします。

山に囲まれた場所で、電離層反射を有効に使うため、逆L型のロングワイヤーアンテナを設置しました(写真7)。垂直型のアンテナは打ち上げ角が低いため、山に囲まれた場所での使用には適していません。逆L型アンテナや水平型ダイポールアンテナは、地上高を波長に対して低めに設置すると打ち上げ角が高く(上向きに放射される電波が強く)なり、電離層反射による近距離交信に有利になります。


写真7 大鹿村での運用の様子

大鹿村には5時間近く滞在しました。7MHz CWは1時間以上の長時間のパイルアップになり、116局と交信できました。10MHz帯は辰野町のような近距離オープンは無く、28MHz帯まで上がってみたものの強力な伝搬はありませんでした。夕方からの3.5MHz帯、さらに1.9MHz帯は、逆L型アンテナの効果で強力に入感しており、多くの局と交信できました。

帰りに下伊那郡阿智村のパーキングエリアでサテライト(XW-2A)だけを運用して帰宅しました。2日目は運用拠点数が少なく、また辰野町から大鹿村への移動に時間を要して運用時間自体も少なかったため、1日目より少ないQSO数になりました。

結果

QTH、バンドごとのQSO数を図2に示します。昼間は7MHz帯、10MHz帯が安定していましたが、大鹿村の10MHz帯だけはあまり交信できませんでした。


図2 各運用地点でのQSO数。サテライトはCW/SSB、その他のバンドはCW。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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