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日本全国・移動運用記

第77回 広島県移動

JO2ASQ 清水祐樹

広島市とその周辺では移動運用に適した場所が少なく、移動運用を行う局が少ないようです。そこで、年末年始の休みを利用して、広島県のほぼ全ての市区町で運用する計画を立てました(広島県に村はありません)。

計画

全8日間で、1日に最大4か所で運用する計画を立てました(図1)。ただし、リクエストが多くて運用時間を長く確保したい場所や、面積が広く移動に時間がかかる地域は、1日に3か所としました。離島にあってフェリーで移動する必要がある豊田郡大崎上島町と、固定局が多くリクエストが無かった呉市を除く、28か所で運用しました。


図1 広島県移動の計画

12月25日(土) 1日目 世羅町(せらちょう)から南西へ移動

最初の運用場所は世羅郡世羅町で、前日の夜に到着しました。この場所を選んだ理由は、高速道路のインターチェンジに近く、夜間に視界が悪い道路での運転を回避できるのと、車中泊に適した場所があったためです。午前6~8時の運用を計画していたところ、10MHz CWのリクエストがあり、通常では国内近距離と交信できるチャンスが少ない午前7時台に信号が浮いてきて交信が成立して、幸先の良いスタートになりました。

三原市は山が多く、サテライトの運用に適した場所を見つけるのに少し手間取りました。建物の影響を何とか回避して運用できました。竹原市は海岸で運用を開始しました(写真1)。しかし、ノイズレベルが高くて運用に支障があり、すぐに海岸から離れて、別の場所で運用しました。ここでは海の向こうにある、愛媛県のD-STAR今治大三島430レピータで交信できました。東広島市でも海岸で運用しました。

夜は広島市南区の海岸に近い公園に移動して、1.9/3.5MHzとサテライトを短時間運用しました。


写真1 竹原市での運用の様子

12月26日(日) 2日目 安芸郡の4町を1日で巡回

運用リクエストが多かった、安芸郡の4町を1日で巡回しました。広島市に隣接しており人口が多く、なおかつ平地が非常に少ないため、運用場所の確保が困難です。

早朝は、坂町の公園で運用しました。7MHz CWでは早速のパイルアップになり、80局と交信しました。しかし、時間の都合で10MHzから上のバンドは断念して、次の場所に移動しました。

熊野町は、山に近い公園で運用しました(写真2)。周囲は山に囲まれているものの、サテライトは何とか運用できそうな場所でした。福岡県の方から10MHz CWのリクエストがありました。HF帯で近距離との交信を狙う場合、100kmくらいの距離では、見通しの良い場所でアンテナを高く上げて、直接波での到達距離を伸ばす戦略があります。しかし、200~300kmの距離では直接波が届く可能性は低いので、電波を上方に打ち上げて、電離層または大気中の電波の反射源で反射させることで、交信の可能性が高くなると考えました。そのため、ダイポールアンテナを低めに設置しました(給電点の高さは約4m)。運用中に吹雪が激しくなり、ギボシ端子を切り替えるたびに雪をかぶりながらの運用でした。リクエストを頂いた局とは無事に交信できました。

海田町は急斜面が多く、私がこれまで運用した市町村の中でも、サテライトの運用が難しいランキングの上位に入ります。山に近い公園で、東側にはそれよりも高い山があり、サテライトは短時間の細切れ運用で、何とか目的の局と交信できました。HF帯は熊野町と同様にダイポールアンテナを設置し、リクエストが多かった10MHz CWに対応しました。7MHz CWは100局を超えました。

府中町は日本で最も人口が多い町で、運用できる場所は限られています。幸い、雪のため公園の駐車場が空いていて、運用場所を確保できました。もし天気が良かったら、運用場所の確保に手間取ったかもしれません。夕方になり、時間も限られているのでHF帯は1.9/3.5/7MHzの3バンドに限定しました。

日没後に、広島市東区に移動し、1.9/3.5MHzとサテライトを運用しました。この日は日曜で、翌日の昼間は出勤で運用できない局への対応でした。


写真2 熊野町での運用の様子

12月27日(月) 3日目 広島市東部の運用困難区を攻略

3日目は、広島市の東部にある、安芸区・南区・東区で運用しました。特に東区は運用場所の確保が困難で、WAKU(全区交信)のラスト1の方もおられました。

安芸区も平地が少なく、運用場所の確保が難しい区です。工場や住宅に近い海岸で運用しました。しかし、北西側などには高い山があり、全方向に開けたロケーションではありませんでした。6時半過ぎから運用を開始し、8時近くには7MHzの近距離も聞こえると期待したものの、全く聞こえる気配が無いため、先に南区に移動して、再び安芸区に戻ることにしました。

南区は1日目の夜と同じ、海岸に近い駐車場で運用しました(写真3)。南側は海でロケーションは良いものの、北側には建物や高速道路の高架があり、サテライトの低いパスは見えません。衛星が集中する時間帯に効率良く運用して、サテライトの需要を満たしました。

東区への移動は、広島駅前など市の中心部を通る必要があり、時間がかかりました。東区では伝搬のコンディションが良く、HF帯の各バンドで多くの交信ができました。夕方からは雪が積もり始めて、安全上の配慮により早めに終了しました。


写真3 広島市南区での運用の様子

12月28日(火) 4日目 広島市内を北から南へ

安佐北区は、市街地に公園等が少ないため、山の上にある公園で運用しました(写真4)。山に囲まれておりサテライトの運用には苦戦しましたが、HF帯は順調に運用できました。安佐南区も公園で運用しました。しかし、隣り合う区であるにもかかわらず、移動中に渋滞に巻き込まれ、移動には100分近くを要しました。

西区と中区は海岸に近い駐車場を利用しました。中区も運用場所探しが困難で、運用した場所は東側が海に面しており、西側は建物があるので、サテライトは1パス当たりの時間が長いRS-44の東パスが運用できるように予定を組みました。また、1.9MHzが珍しいとのことで、運用時間を長めに確保しました。


写真4 広島市安佐北区での運用の様子

12月29日(水) 5日目 広島市から西へ

広島市の最も西に位置する佐伯区では、海岸にある駐車場にで運用しました。周囲に山や建物が少ない場所を選定したつもりが、住宅地で高い建物も多く、サテライトは建物の陰で突然聞こえなくなることもありました。また、全般にノイズレベルが高く、呼んだけれど拾ってもらえないというコメントもいただきました。

廿日市市は、宮島(厳島)の対岸にある公園で運用しました(写真5)。廿日市市は広い市で、山間部から島までの広い範囲が含まれます。しかし移動局はそれほど多くないようで、この市も多くのリクエストが寄せられていました。HF帯のコンディションは好調で、短時間の運用で多くの交信ができました。

大竹市でも、海岸にある公園で運用しました。すぐ隣の市町は山口県です。そこで、山口県のD-STARレピータにアクセスを試みたところ、県境付近にある山の影響で、電波が届きませんでした。ところが、80km以上離れた愛媛県の愛媛久万高原430がフルスケールで入感することに気づき、交信も問題なくできました。海上伝搬の面白さを実感しました。


写真5 廿日市市での運用の様子。後方にある島は宮島(厳島)

12月30日(木) 6日目 山県郡の2町と、安芸高田市

広島市から高速道路を利用して、山県郡安芸高田町に移動しました。みぞれが降り続き、アンテナの設置には苦労しました。アンテナに触れて手が冷え切ってしまい、温めて元の感覚に戻すまでが大変でした。CWでのリクエストが多かった場所ですが、コンディションがなかなか上がらず苦戦しました。

北広島町に移動すると乾いた雪になり、晴れ間も見られるようになってきました(写真6)。14~28MHzは、常連の強い局だけが聞こえました。

安芸高田市に到着すると、雪が再び激しくなりました。コンディションが徐々に低下してきたため、早い時間から3.5MHzを投入したところ、多くの局から呼ばれました。


写真6 北広島町での運用の様子

12月31日(金) 7日目 山間部で、積雪の中での運用

翌朝の三次市では、10cmほどの積雪になりました(写真7)。吹雪の中、路面状況を慎重に確認し、車の屋根などを除雪して運用を開始しました。雪雲によるノイズがバリバリと聞こえて、HF帯の受信に支障がありました。ノイズの影響で、HF帯は1.9~14MHzまでに限定しました。

庄原市に移動すると積雪が多くなり、公園などは雪で閉鎖されていて、除雪されている場所以外は車が乗り入れできなかったため、除雪されている高速道路のサービスエリアで運用することを思い付きました。吹雪の中、車1台分のスペースで長さ2.5mのアンテナを使用したにもかかわらず、7MHzでは61QSOできるなど、まずまずの成果でした。

南下して神石高原町に移動すると、積雪の影響は少なくなり、1.9~28MHzとサテライトの運用は問題なくできました。


写真7 三次市での運用の様子

1月1日(土祝) 8日目 初日の出は福山市で、最後に離島の江田島市へ

初日の出は福山市の公園で迎えました。池をバックに初日の出が見られる場所で、見物客が何組か来ていました。しかし、初日の出の瞬間にはサテライトの運用中だったので、その様子は確認できませんでした。

府中市は山に囲まれた地形で、サテライト通信の運用が難しい場所です。東西方向に流れる川があり、東から西に移動するCAS-4Bなどの衛星は長時間見える状態だったので、その運用に注力しました。

尾道市の高台にある公園で運用すると7MHzのコンディションが良く、ハイバンドを巡回する時間がありませんでした。

最後は、離島にある江田島市へ、2時間以上かけて移動しました。当初は、尾道市での運用までで帰宅する予定だったところ、リクエストが多く、その後に予定を入れました。本州と江田島市は1か所だけ橋でつながっています。しかし、広島市内などからはアクセスに時間がかかります。私自身は江田島市では3回目の運用で、以前にはWACA(全市交信)のラスト1をサービスしたこともあります。3時間ほどの滞在で、リクエストを頂いた局とは無事に交信できました(写真8)。


写真8 江田島市での運用の様子

結果

QTHごとのQSO数を図2に示します。8日間の合計は5,786QSOで、1日平均で723QSOになりました。最もQSO数が多かったQTHは、リクエストが多く2日間に分けて運用した広島市東区でした。

なお、私の移動運用は、自分のブログで運用予告を出していることと、移動運用専門の掲示板で常時情報発信していることの効果が大きいため、同じ設備・場所で運用するだけでは、これだけのQSOは難しいと思われます。


図2 各運用地点でのQSO数。広島県の呉市、大崎上島町以外の全ての市区町で運用した。サテライトはCW/SSB、430MHzはDV(D-STARレピータ経由)、その他のバンドはCW。

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次号は 9月 1日(木) に公開予定

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