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日本全国・移動運用記

第115回 沖縄本島移動

JO2ASQ 清水祐樹

2025年4月1日掲載

沖縄本島で、2022年の年末以来(2023年2月号3月号の記事)、2年ぶりに移動運用を行いました。前回は滞在日数が長かったため、沖縄本島の全26市町村で運用できました。今回は3泊4日の日程で、その約半分の14市町村で運用する計画を立てました。

運用計画

1日最大5か所で、計14か所での運用を計画しました。運用する市町村は、過去の運用実績や、最近の運用局の状況などを考慮して厳選した結果、市は沖縄市の1か所だけ、その他は全て町村で運用することにしました(図1)。この時期にはプロ野球のキャンプやオープン戦が行われており、地域によっては渋滞が予想されることから、その時間帯を避けるように予定を組みました。


図1 移動ルート

2月21日 沖縄としては異例の寒さ、雨天での運用

沖縄には無線機器を宅配便で発送し、航空便を使用しない「陸・海上輸送」を指定しています。この場合、到着までの日数は問い合わせても分かりません。これまでの経験で、鹿児島と沖縄間の貨物船の運航ダイヤを調べて日数を予想していました。

ところが2月は悪天候が続き、荷物の発送が遅延していました。日程に十分に余裕を持って送ったため、結果的には間に合いましたが、那覇市で宅配便を受け取ると、伝票に「割れ」と書かれており、輸送中に破損したのかと思ってドキッとしました。これは「複数口の荷物が別の日に分かれて届いた」の意味でした。

那覇空港に到着すると、大雨と強風で、沖縄としては異例の寒さを感じました。雨が強く、レンタカーでの運用は、大型のビニール袋を貼り付けて防水するなどの処置が必要でした。そのため、翌日に運用予定の中頭郡(なかがみぐん)北谷町(ちゃたんちょう)と嘉手納町(かでなちょう)を先に下見しました。この付近は広い公園などが少なく、移動運用の場所を確保することが難しいため、いくつかの候補地を事前に確認しました。

北谷町での移動中、14時台に衛星AO-73が来たため、雨が降る中で最低限の設備を準備してサテライト通信の運用を行い、続いて嘉手納町の運用場所を確認しました。その後は、時間に余裕があったため、過去の運用でいつも多くの局から呼ばれていた島尻郡南風原町(はえばるちょう)の公園で運用を行いました(写真1)。ここでは特に21MHz帯で多くの局から呼ばれました。夜には与那原町(よなばるちょう)の海岸の駐車場で運用しました。


写真1 南風原町での運用の様子

2月22日 運用場所の確保が難しい市町村での運用

この日の最大の山場は、沖縄本島でも特に運用場所の確保が難しい北谷町(ちゃたんちょう)での運用でした。北谷町は人口が多く建物が密集しているため、見通しの良い場所の確保が困難です。さらにこの日はプロ野球のオープン戦で、公園の広い駐車場が利用できませんでした。

前日に下見した公園は開門が午前7時でした。それ以前にサテライト通信やローバンドを運用するため、やむを得ず市街地のホテルに隣接した場所で運用し、7時を過ぎてから予定の公園に移動しました。その公園は北東側、すなわち本州側に建物があり、サテライト通信の運用は衛星からの信号が聞こえる時間が短く、苦戦しました。一方でHF帯のコンディションは好調で、28MHz帯でも多くの局と交信できました。

嘉手納町は、前日に下見しておいた場所で運用しました。12時近くになるとHF帯の伝搬のコンディションが低下し、パイルアップは少なめになりました。

午後からの沖縄市での運用時には、1エリアとの交信は18MHz帯まで可能になったものの、24MHz帯や28MHz帯の伝搬は良くありませんでした。北中城村(きたなかぐすくそん)では、いつも利用している海岸で(写真2)、中城村(なかぐすくそん)では、いつも利用している公園で運用しました。この付近の海岸には駐車スペースが無かったり、漁港や公共施設で夜間は閉鎖される場所があったりするため、夜間でも利用できる場所は貴重です。

夜になると7MHz帯の国内伝搬が強力になり、中城村では7MHz帯だけで92QSOを記録しました。この日は風が強かったため、長さ7mの釣竿アンテナ(2025年3月号の図2を参照)を終日使用して、1.9MHz帯でも何とか4局と交信しました。10MHz帯、14MHz帯、18MHz帯の伝搬が一日中良かったため、1日で1,300QSOを超えました。


写真2 中頭郡北中城村での運用の様子

2月23日 沖縄本島中部で運用

この日は、国頭郡(くにがみぐん)の9町村のうち、5町村で運用する予定でした。雨が断続的に降る中、宿泊していた那覇市のホテルから沖縄自動車道を利用して金武町(きんちょう)に移動しました。沖縄の高速道路は石灰岩を含んだ舗装のため、雨で滑りやすく慎重な運転が要求されます。

金武町では高台にある公園で運用しました。HF帯の伝搬のコンディションが良く、7MHz帯から28MHz帯まで各バンドで長時間呼ばれ続け、3時間半も運用することになり、当初の予定よりも大幅に時間を超過してしまいました。50MHz帯でも交信の可能性がありましたが、時間の都合で割愛しました。

宜野座村の公園で運用を開始すると、直前までの賑わいからは一変して、7MHz帯では全く信号が聞こえませんでした。電離層データを見るとデリンジャー現象が発生していました。ハイバンドは悪くは無かったものの、7MHz帯と10MHz帯は不調でした。

恩納村(おんなそん)の公園に移動すると(写真3)、7MHz帯は相変わらず不調だったものの10MHz帯以上は通常の伝搬に戻っており、14MHz帯に続いて18MHz帯でも長時間のパイルアップになって、終わりの時間が予想できなくなりました。伝搬のコンディション的には28MHz帯でも多くの交信ができたと思われますが、時間の都合により18MHz帯で打ち切りとしました。

雨が降り続く中、本部町の漁港に移動すると、7MHz帯の伝搬が良くなり、続いて10MHz帯でも長時間のパイルアップになりました。ここでも時間の都合により18MHz帯で打ち切り、さらに今帰仁村(なきじんそん)では雨が強くなって夜間の長時間運用は避けたいことから、7MHz帯と10MHz帯を爆速キーイングで運用して終了しました。


写真3 国頭郡恩納村での運用の様子

2月24日 国頭郡の2町で運用

最終日は午前中だけの運用で、国頭郡の2か所に限定して運用しました。那覇市ではプロ野球のオープン戦が開催されるため、渋滞を予想して早めに運用を終えることにしました。

大宜味村の海岸の公園に移動すると、台風のような猛烈な強風でした。沖縄は日の出が遅く、午前6時では完全に真っ暗です。1.9MHz帯では1QSOしかできませんでしたが、3.5MHz帯は好調で28QSOできました。その後、各バンドで順調に呼ばれ続けましたが、衛星の時刻が決まっており次の場所に移動する必要があるため、28MHz帯で交信できたタイミングで次の場所に移動しました。

東村は、いつも利用しているグラウンドの駐車場で運用しました(写真4)。終了時刻を厳守しなければならないところが、最後になって伝搬のコンディションが絶好調になり、もし全ての周波数帯で全ての交信希望局と交信したら、何時に終わるか見当もつかなくなってきたので、最終手段として送信出力を下げる作戦に出ました。それでも長時間のパイルアップが続き、最後に28MHz帯で運用した時には、本州の広い範囲が聞こえていました。


写真4 国頭郡東村での運用の様子

結果

QSO数を表1に示します。2月22日と23日は、1日1,300QSOを超えました。1か所での最大QSO数は23日午前の金武町446QSOで、28MHz帯でも多くの局と交信できました。数年前と比較して伝搬のコンディションが良く、昼間は多くの局から呼ばれました。


表1 周波数帯、運用日、QTHごとのQSO数。1.9~28MHz帯はCW、サテライトはCWとSSB。

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