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楽しいエレクトロニクス工作

第79回 バッテリーアイソレーター

JA3FMP 櫻井紀佳

アマチュア無線の移動運用するときに車から電源を取ることも多いと思います。車のバッテリーから電源を取ると、うっかりして使い過ぎてしまい、エンジンがかからなくなったと言うようなトラブルもあると思います。そのため無線用にサブバッテリーを用意することがありますが、充電は車のメインバッテリーと同時に行うと便利です。

この場合、単に並列に繋なぐだけでは同じ使い過ぎの危険性がありますので、電圧が下がってくると先に車のメインバッテリーを切り離す必要があります。

この切替えスイッチ(上図のSW)にできれば半導体スイッチを使いたいところですが、いろいろ調べてみると難しい問題を含んでいます。このスイッチON時はできるだけ電位差0にしたいのですが、10A以上の電流が流れる可能性があり、トランジスターではON時に大電流で0.6V以上の飽和電位差が残ってしまいます。FETの大電流のものはもう少し電位差を小さくできそうですが、今回の回路では切り替え時にソースとドレインの電位が反転するのでFET内部の保護ダイオードが導通して思うように働きません。

そこで仕方なくリレーを使うことにしました。幸いにも通販で30A切替え可能な適当なものが見つかりましたのでこれを使ってみました。詳細は巻末の資料をご覧ください。


12V動作、30A切替え可能なリレー

今回考えた全体の回路は次のようになりました。

この回路でBT1が車についているメインバッテリーで、BT2が無線用に追加したサブバッテリーです。メインバッテリーへの接続はBT1とGNDで、無線機への接続はBT2とGNDで行います。メインバッテリーの電圧の検出はIC1Aで行い、R1とR2で分圧されたBT1からの電圧がR4で調整された電圧より上ならIC1Aの出力のピン1がHになり、Q1がONになってリレーRL1が動作してBT1とBT2が接続されます。逆にIC1Aのピン3の電圧がピン2より下がればピン1がLとなってQ1がOFFとなってRL1の接続がはずれます。その時DS1のLEDが点灯してBT1の低電圧を知らせます。

鉛バッテリーの放電終止電圧は一般的には10.5Vのようですが、BT2のサブバッテリーにはこの電圧を適用し、メインバッテリーの切り離しは安全を見越して今回は11.0Vに設定しました。他に適当な電圧があれば調整できます。

BT2の電圧はBT1より下まで使ってもいいので別回路で動作します。BT2に接続されたR11とR12で分圧された電圧がR9で調整された電圧より高ければIC1Bの出力のピン7がHになってIC4AをコントロールしてQ2はOFFのままです。BT2の電圧が低下してIC1Bのピン5がピン6より低くなると出力のピン7がLとなって、IC3EとIC3Fの発振回路で作られた0.44Hz程度の矩形波がIC4Aを通過します。従ってQ2はこの矩形波で駆動されブザーを間欠的に警報として鳴らします。同時にDS2のLEDが点灯します。

間欠的に警報のブザーを鳴らすロジック発振回路はIC3E、IC3F、R17、R18、C4で構成され発振周波数はf=1/2.2・R18・C4で決まります。R17は発振周波数に直接影響ありません。計算上は0.47Hzで2秒間に1回程度です。C4は容量が大きいのでケミコンにしたいところですがバイポーラーのコンデンサーが必要です。極性のない大容量のセラミックコンデンサーでも使えます。

3桁のデジタル電圧計はBT2のサブバッテリーの電圧を表示してモニターします。

サブバッテリーの電圧低下を知らせる警報用ブザーは12Vの電圧さえかければ鳴る単純な電子ブザーでケース後面に両面テープで貼りつけています。BT2に関する部分は「第70回 警報付電圧計」とほぼ同じ回路、構成になっていますのでこちらもご覧ください。

主な部品は72mm x 48mmの穴明き基板にハンダ付けしました。

このユニット全体は90mm x 120mm x 50mmのアルミのケースに入れました。このケースは以前、他のものに利用していたので無駄な穴が少し残っていますが我慢しました。BT1、BT2への配線は大電流が流れる可能性があるので端子板は少し大きなものを使用しました。外装ケースもそれに見合うような大きさにしましたが特に発熱する部分がある訳ではありません。

出来上がったユニットは電圧の設定が必要です。BT2に関係する部分は、BT2の端子に電圧可変の定電圧電源を接続して放電終止電圧の10.5Vを与えます。この時このユニットのデジタル電圧計も10.5Vを表示しているはずです。R9を調整してDS2のLEDが点灯して、ブザーが鳴り始めるギリギリの所に設定します。

BT1に関係する部分の調整は、先にBT2に12V系バッテリーか同等程度の電源を繫いでおいて、BT1に電圧可変の定電圧電源を接続します。BT1とBT2を切り離す電圧は11.0Vとすると、この電圧をBT1に与えてR4を調整します。R4を回してDS1のLEDが点灯しリレーがOFFとなるよう設定します。

このように設定しておくと運用時に電圧が低下すると、まずバッテリー間の接続が切れ、その後サブバッテリーの電圧が下がって終止電圧になれば警報のブザーが鳴って知らせてくれます。

このユニットの前面と後面は次のようになっています。


前面(左)と後面(右)

このユニットとサブバッテリーを持って移動運用すれば車のバッテリー上がりを心配せず運用できると思います。

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次号は 12月16日(月) に公開予定

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