日本全国・移動運用記
2024年10月1日掲載
今年の夏は記録的な猛暑でした。夏休みは気温が低い地域で移動運用したいと考え、これまで運用実績が少なかった秋田県の全25市町村を6日間かけて移動しました。
愛知県から新潟県経由で日本海側から秋田県に入り、海側を北上して内陸に移動して、そこから南下するように、秋田県の全市町村を回る計画を立てました(図1)。
図1 移動の計画
前日(8月7日)の夜に山形県に到達し、夜は鶴岡市、8日の午前中は酒田市・東田川郡三川町・飽海郡遊佐町で短時間の運用を行いました。
その後、秋田県の最初の運用地として、にかほ市の海岸にある公園で運用を開始しました(写真1)。快晴で気温が上がり、暑さ対策をしながらの運用でした。Eスポの発生は無く、昼間は7~14MHz帯を中心に運用しました。その後の由利本荘市、秋田市とも、海岸で運用しました。
写真1 にかほ市での運用の様子
この日は八郎潟周辺の5市町で運用しました。潟上市で運用を開始し、続く男鹿市では、イオノグラムでは強力なEスポは確認できなかったものの、HF帯の伝搬のコンディションが非常に良く、50MHz帯でも交信できました。
午後の1か所目の南秋田郡井川町では、伝搬のコンディションが悪くなってしまいましたが、その後の五城目町で持ち直し(写真2)、夕方の八郎潟町では7MHz帯の伝搬が安定して強力に入感しており、予定の終了時刻を延長して対応しました。
写真2 五城目町での運用の様子
この日の最大の目的は、珍グリッドスクエアPN90での運用です。国内・国外を問わず人気のアワードの一つとして、経度・緯度で区切られた区域との交信をカウントするWASAアワードがあります。その中で、PN90(説明はhttps://www.jarl.org/Japanese/1_Tanoshimo/1-2_Award/gl.htm)は青森県と秋田県のわずかな地域にしか陸地がないため、運用が難しくなっています。
南秋田郡大潟村のPN90で運用を開始すると、コンディションがイマイチで24MHz帯から上は入感がありませんでした。山本郡三種町の海水浴場では、台風接近の影響で風が強まり、空電ノイズもありました(写真3)。Eスポの気配もなく、10MHz帯や14MHz帯でも空振りが続き苦戦しました。
午後の能代市、山本郡八峰町とも24MHz帯から上では交信できず、日没後の山本郡藤里町では、ローバンドが好調でした。
写真3 三種町での運用の様子
8月12日から13日にかけて、台風5号が岩手県と秋田県を通過しました。12日の夜に最接近するとの情報を受けて、この日は終了時刻を17時に繰り上げることにしました。
北秋田市では森に囲まれた公園で運用しました(写真4)。至る所に熊出没注意の看板がありました。時間の都合で1.9~14MHz帯の運用で終了になりましたが、伝搬のコンディションは悪くなさそうでした。続く北秋田郡上小阿仁村では、28MHz帯で9QSOできて、なかなか良い感じだったものの、50MHz帯では交信できませんでした。
写真4 北秋田市での運用の様子
午後からは大館市、鹿角郡小坂町の公園で運用しました。次第に風雨が強くなり、空電ノイズも激しくなる時間帯がありました。小坂町では17時の運用終了直前に3.5MHz帯を運用して、台風接近のため終了しました。
台風は日本海に抜けていき、風が弱まってからも雨は降り続いていました。前日に終了時刻を繰り上げたためサテライトの運用が十分にできなかった鹿角郡小坂町で、RS-44のみ運用した後、鹿角市で運用場所を探しました。道路や駐車場は冠水している場所が多く、水が溜まっていない安全な空き地を探して、何とか運用できました(写真5)。9時頃には50MHz帯でも交信できました。
その後、鹿角市から仙北市まで、隣接する市ではありながらも100km以上を移動して、鹿角市の運用終了から仙北市での運用開始まで2時間40分を要しました。
仙北市、大仙市での運用は太陽フレアの影響で、HF帯の伝搬は厳しい状態になりました。夕方の美郷町では時間の都合で、7MHz帯と10MHz帯を重点的に運用しました。夜には再び雨が激しくなりました。
写真5 鹿角市での運用の様子
台風が接近した後、雨が断続的に降り続く日が続きました。横手市、雄勝郡羽後町とも太陽フレアの影響で伝搬のコンディションが悪く、時間を持て余しました(写真6)。
午後からの雄勝郡東成瀬村では、伝搬が悪すぎてHF帯がほぼ聞こえない時間帯もありました。山間部でサテライトの運用が難しいロケーションだったものの、意外に多くの交信ができました。
湯沢市は、横手市との境界に近い堤防上で運用しました。伝搬のコンディションが悪く10MHz帯は早々と近距離がスキップしていました。しかし、3.5MHz帯は好調でした。台風と伝搬コンディションの不良でモチベーション維持が難しかったものの、秋田県全市町村の運用を完走できました。
写真6 雄勝郡羽後町での運用の様子
周波数帯、運用日、QTHごとのQSO数を表1に示します。10日にEスポが発生して1,000QSOを達成しました。中盤以降は天候不良による運用時間短縮と、伝搬コンディションの不調でQSO数は伸び悩みました。
表1 周波数帯、運用日、QTHごとのQSO数。1.9~50MHz帯はCW、サテライトはCWとSSB。鶴岡市・酒田市・三川町・遊佐町は山形県、他は秋田県。
日本全国・移動運用記 バックナンバー
アマチュア無線関連機関/団体
各総合通信局/総合通信事務所
アマチュア無線機器メーカー(JAIA会員)
©2024 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.