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日本全国・移動運用記

第76回 石川県移動

JO2ASQ 清水祐樹

石川県は南北に長い県で、県内を移動するだけでも時間がかかります。1泊2日の日程で、できるだけ多くの市町から運用できるように、計画を組みました。

計画

移動するルートは、運用のリクエスト、移動時間、運用場所の確保、宿泊を総合的に考えて決定しました(図1)。能登半島と内灘町・金沢市・野々市市を除く、県中部から南部の市町で運用する計画にしました。

自分の車で移動したため、HF帯の装備は、いつもの通り釣竿に取り付けた電線とオートマチックアンテナチューナー(AH-4)を主に使用しました。


図1 石川県移動のルート

1日目は加賀市から開始

1日目は、加賀市のサービスエリアで運用を開始しました。車1台分の駐車スペースを利用して、目立たない自作ホイップアンテナを使用して運用しました。雨が降り続いていたものの、気温は12月としてはかなり高く、雨の対策さえしていれば過ごしやすい天候でした。

12月は、夜間から早朝にかけての電離層のコンディションが悪い日があり、この日も午前5時台から1.9MHz帯と3.5MHz帯で運用したところ、5時台では3.5MHzの近距離がスキップして聞こえませんでした。6時を過ぎて明るくなると、次第に3.5MHz帯の近距離が聞こえるようになりました。

小松市はパーキングエリアで運用しました。ここでの7MHz CWは、コンディションがかなり悪くて 8エリア・6エリア・韓国の計4QSOしかできませんでした。7MHz帯の国内向け運用をされている方にとっては、この状況がいかに期待外れかを理解していただけるかと思います。なお、雨が強かったため、写真は撮れませんでした。

小松市からは、いったん富山県に出て、能越自動車道を利用して七尾市に向かいました。この間の移動距離は102kmでした。富山県と石川県の境界にパーキングエリアがあり、石川県側で運用しました(写真1)。10MHz帯から上のバンドは電離層反射が無く、10MHz帯で8エリアの1局ができた以外は、日本海に面する富山県や新潟県との、直接波と思われる交信でした。七尾市での運用中に天候が急速に回復して、太陽の暖かさを感じる陽気になりました。


写真1 七尾市での運用の様子

午後は七尾市から西に進んで、鹿島郡中能登町に移動しました。ここで、Masacoさん(JH1CBX)によるD-STARの運用が始まったと情報があり、D-STARのレピータ経由で交信するため、中能登430レピータの近くに移動しました。ID-52の付属ホイップアンテナでフルスケールで入感する距離だったので、アンテナを用意する手間が省けました。

HF帯は、7MHz帯ではそこそこの出来だったものの、10MHz帯では8エリアがギリギリで聞こえる程度でした。HF帯の運用は一旦中断して、リクエストが多かった羽咋(はくい)市に移動しました。

羽咋市は北側と南側が山に囲まれており、その間の平野に田んぼが広がるロケーションです。サテライト通信で衛星ができるだけ長時間見えるようにするため、広い田んぼの中の空き地で運用しました(写真2)。HF帯は14MHz帯で兵庫県が聞こえて、このまま近距離が一気に開けるかと期待したものの、そこからの浮上はありませんでした。


写真2 羽咋市での運用の様子

再び中能登町に戻り、先ほどとは別の公園でサテライト、3.5MHz帯、1.9MHz帯を運用して、日没後に再び羽咋市の同じ場所に戻って、3.5MHz帯、1.9MHz帯を運用しました。通常は、3.5MHz帯では夕方から夜にかけて国内近距離の伝搬が安定するはずです。しかし、伝搬が悪くて19時近くになると近距離が聞こえなくなり、運用はここまでにしました。

2日目は羽咋郡宝達志水町から開始

朝は宝達志水町にある駐車場で運用しました(写真3)。周囲には高い建物が無く、サテライト通信の運用には適した場所で、HF帯の飛びも期待できそうです。しかし、7MHz帯で国内局が聞こえる気配が無く、1.9MHz帯と3.5MHz帯の運用だけに終わりました。

かほく市は、水辺に面した公園で運用しました(写真4)。7MHz帯は7・8エリアとの交信が多く、時々1・2エリアの信号が浮いてくる感じでした。河北郡津幡町は広い公園の駐車場で運用しました。14MHz帯で1エリアと1局できただけで、HF帯では目立った成果はありませんでした。


写真3 宝達志水町での運用の様子


写真4 かほく市での運用の様子

午後は時間に余裕があり、まずは能美市の河川敷の公園で運用しました。伝搬のコンディションの上昇を期待してみたものの、14MHz帯で1局、それより上のバンドは後が続きませんでした。午前中は雨が時々パラパラと降る程度で、晴れ間ものぞいていたところが、午後からは風雨が激しくなり、車の窓を開けることも難しくなってきました。

白山市は河口に近い、広い河川敷で運用しました(写真5)。運用の途中で、風雨が激しくなりました。釣竿は風で大きく曲がり、HF帯でのノイズも激しくなって、14MHz帯より上では交信が難しくなりました。また、通常は難しいはずの昼間の13時台に、1.9MHz帯で3QSOできました。

続く能美郡川北町も河川敷で運用しました。降り続いた雨で駐車場が冠水しており、水が溜まった部分を避けて運用しました。このような天気のため、利用する人は誰もおらず、その意味では良かったかもしれません。15時台に10MHz帯が少しだけ良くなり、10数分後には国内局の信号は全く聞こえなくなりました。

日没後、再び雨が強くなる中で、能美市に移動して再び運用し、帰路に就きました。その途中、福井県坂井市のパーキングエリアで、サテライト(RS-44)とD-STARを運用しました。


写真5 白山市での運用の様子

結果

QTHごと、1時間ごとのQSO数を図2に示します。QSO数の半分以上がサテライトで、さらに7MHz帯よりも3.5MHz帯のQSO数が多くなりました。HF帯での1時間当たりの最多レートは、11日午前6時台の加賀市の50QSOで、通常では多くの交信ができるはずの7MHz帯や10MHz帯ではなく、1.9MHz帯と3.5MHz帯でした。


図2 各市町村、1時間ごとのQSO数。坂井市は福井県、他は石川県。サテライトはCW/SSB、その他のバンドはCW。これ以外に、D-STARのレピータ経由で14QSOできた。

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